劇場公開日 1984年10月6日

「海ゆかばからシング・シング・シングへの変化♪」上海バンスキング(1984) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0海ゆかばからシング・シング・シングへの変化♪

2020年7月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 まるで『蒲田行進曲』の続編かとも思える登場人物。今回はジャズといった雰囲気。ラリーという嫌な奴もいるけど、音楽が出来ればそれで最高だと思ってたジャズメンたち。マドンナことまどかもボーカルで参加し、バクマツ(宇崎竜童)の恋人リリー(志穂美悦子)も参加していた。そんな楽しい時代も戦争に巻き込まれたため波乱の人生を送ることに・・・

 バクマツが日本人でリリーが中国人ということもあり、日中戦争では凄惨な光景も目撃するも二人の絆は一層強くなる。バクマツの同級生である軍人・白井中尉(夏八木勲)やマドンナの実家の書生だった弘田(平田満)も彼ら仲間の運命に関わってくるが、白井は特に自由人である彼らを羨望の眼差しで見ていた。

 バクマツ家の舞台劇のような展開にダンスホールや戦争写真を混ぜ、ほぼ9年間の生きざまを見せられた。『蒲田行進曲』とは雰囲気も違い、音楽の楽しさと戦争を対比させ、一般庶民が戦争をどうとらえているのか・・・さらに租界という特殊な地域だけに外国人の考えも浮き彫りにしていた。そして戦争被害と残された女たち。本国にいたらジャズさえ出来ないのだから、ある意味、幸せだったのかもしれません。

最初に出てきた台詞。
「イギリスは競馬場とアヘンをもたらし、フランスは劇場と売春宿をもたらし、アメリカはスロットマシンとダンスホールで大儲けしている」「じゃぁ、日本は?」

kossy