廓育ち

劇場公開日:

解説

川野彰子の同名小説を「肉体の門(1964)」の棚田吾郎が脚色「続・王将(1962)」の佐藤純彌が監督した文芸もの。撮影は「鮫」の飯村雅彦。

1964年製作/105分/日本
配給:東映
劇場公開日:1964年9月23日

ストーリー

たみ子は六つの年、京都島原の芸妓だった実母に捨てられお茶屋“末広”の女将お仙の養女となった。十三の時から身体一つで女将の地位を築いたお仙は、たみ子が自分と同じ道を歩むのを当然としていた。たみ子は幼い頃から七十近い万春のおとうさんによって、男を喜ばす女として育てられた。たみ子の伯母のお春は格式を誇る“美よし”の女将であった。美よしの養女雪枝が、美しい廓女に変貌してゆくのを見たお仙は、激しい対抗意識を燃やした。遠縁の娘宮子をひきとったお仙は、足の悪い宮子を家事につかせると、たみ子に厳しく芸事を仕込んだ。だがたみ子は、お仙の反対を押しきって高校に進学し、色街の空気になじもうとしなかった。だがお仙の執念には抗しきれず、たみ子は国会議員大木に水揚げされ、芸妓となった。高校生芸妓という評判から、退学となったたみ子は、医学生新田茂己と、固く誓った将来に、廓から出るきっかけを求めていた。十九になったたみ子は、脳溢血で倒れたお仙と、障害者の宮子を抱えて、前よりも色街にしばりつけられた。すさまじいまでの女の憎しみの間で、宮子は牛のように働きつづけた。売春禁止法のあおりをくって、末広の家運も傾いていった。だがたみ子には、茂己との結婚を実現させるために、廓女とあなどられたくないという意地があった。しかしその茂己は大学教授の娘との縁談が起ると、母の反対を口実に、冷い態度を取った。その上、廓のボス塚田の圧力で遂に二人の恋は破れた。間もなくお仙は死に、宮子は嫁いだ。足枷から離れて自由になった、たみ子は、今は何の望みもなく、すすめられるままに塚田の二号になった。幸せも希望もない毎日、酔いつぶれた塚田の口から出た、無神経な言葉に、たみ子は廓をとりしきるボスへの憎悪がつのった。「子供の時から苦しんで来たのはこんな人がいるからや!」毒殺した塚田をあとに、殺人犯として連行されるたみ子の顔は、人生の再出発を祝うかのように晴々としていた。

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