七人の侍

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

数多くの傑出した黒澤監督作品の中でも、特に観客のみならず世界中の映画人に多大な影響を与えた代表作。これ以降「荒野の七人」「宇宙の七人」など、この映画を手本とした作品が多く作られたのは周知の事実。時は戦国時代のとある貧しい農村。農民たちは野盗と化した野武士たちの襲撃を恐れ、おののいていた。そこで村を守るために用心棒を雇うことを決意、食うに窮する七人の侍を探し出し、彼らとともに野武士に対抗すべく立ち上がる……。複数のカメラワークによる迫力ある立ち回りのシーンは見事。

1954年製作/207分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1954年4月26日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第29回 アカデミー賞(1957年)

ノミネート

衣装デザイン賞(白黒) 江崎孝坪
美術賞(白黒)  
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写真:Album/アフロ

映画レビュー

5.0黒澤時代劇の傑作

2024年3月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

泣ける

笑える

興奮

感想

神も仏もない、戦乱が続く世界。
秩序は乱れ、その日を生きることさえ、
かなわない世の中。

野伏の襲撃が横行し、苦渋し、疲弊しきった
農民が、野伏退治を託す侍を傭おうと町に
出てくる。生きる事も死ぬ事も紙一重の世界
で、農民達は島田勘兵衛という義と理を
兼ね備える侍に巡り会う事になる。

勘兵衛は農民の苦渋の想いを人の理として
受け止め、農民の意に賛同する侍を集める
事になる。勘兵衛が剣の腕が立ち、心根の
良さを認める者、勘兵衛を慕う若き侍との
出会い、戦場の古女房と呼ぶ古参の武士との
再会、さらに十戦無敗の強者武士、喧嘩巧者
で荒くれ者の自称侍を名乗る男など、勘兵衛
とその選ばれし者が、様々な人間的な魅力に
溢れる人々を集める事になる。

さらに里山での野伏軍団とのダイナミック
かつ痛快、壮絶な戦いが描かれていく。
その激動の状況下に生きる武士、農民、
それぞれの立場の人間としての生き様を
生々しく克明に描き出す事により、人とは、
生きるとは、どういうことかを、
観るものに考えさせ、強烈な印象を残す。

とにかくよく考えられた完成された脚本。
細かい人物描写の上の大胆な物語の展開。
世界的にも評価の高い黒澤明監督の傑作の
ひとつである。

映画冒頭部分、
角を横切る侍に若き日の無名時代の
仲代達矢氏が観れる。それだけでも興奮する。

志村、三船、稲葉、加藤大、宮口、千秋、
木村、各氏の名演は知っての通り。
農民達の想いを代弁する人足役の多々良純氏
の熱演が印象的で感動する大好きな場面の
一つである。

視覚効果的にも数多くの仕掛けを創造した、
黒澤作品だが、その中でも人が斬られた時の
高速度撮影は、画期的な描写であったと
あらためて感じる。

劇画とはまさに是なり。
息が止まる感覚に緊張感は増すばかりである。

死の描写に殺しの美学があると言わしめた、
鬼才サム・ペキンパーはこの映画に感銘し、
黒澤を師と仰ぎ、自身の作品に絶対的
オマージュとして、映像スタイルを確立し、
その後の映像クリエイター達に
大きな影響を与えたのは有名な話だ。

⭐️5

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共感した! 2件)
Moi

5.0視点を変えなければ、ものの本質には迫れず、取捨選択はできない。

侍を雇いに宿場町に、顔に傷がある侍が強そうだ、と百姓が、侍には、その傷を傷つけた侍を探すんだ、と。野盗を撃退後、百姓が田植えしているのを見ながら、勝ったのは、我々では無く百姓だ、と。個性的な侍と百姓、侍と百姓を繋ぐ△、脚本の素晴らしさ、雨の中の死闘、侍も百姓も△も野盗も戦国の世を必死に生きていた、と思わせる、歴史に残らない、それでも生きて行く、庶民の生活の力強さ、歴史上の英雄やスーパーヒーローは出て来ない、人間ドラマ。奈良のYHIで出会ったフランス人はSEVENSAMURAIを観たから日本に来た、と。接客したフランス人老夫婦は、ヤスジロウオズ、ショウヘイイマムラ、アキラクロサワ、SEVENSAMURAIと、言っていた。世界のクロサワ。
オーストラリアでもDVD売っていた。
1991年東京国際映画祭、初リバイバル上映で鑑賞、上映が開始されると拍手と歓声で盛り上がり、日本の映画館でもこんなことがあるんだと、びっくりした、休憩が入りお茶をしていると、プレスの外国人がいたので話しかけるとBBCの記者で初リバイバル上映といことで取材に来たと。

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共感した! 0件)
全国連加盟国不可侵条約締結、武装中立主義、多様性男女平等自由主義、5名作4良作3いい作品なので他は2以下です。

4.0さすがの脚本。ハリウッドが真似をしたのはわかる

2024年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

知的

集落を守るために侍を七人集めて、数に勝る野武士を知力でやっつける、という全体の構成が素晴らしい。侍の中心になる勘兵衛(志村喬)、狂言回しであり道化役でもある菊千代(三船)、優れた剣技の久蔵ら、魅力的なキャラクター設定もよく練られている。話の展開がハリウッドにリメイク版を作らせるほどなわけで「さすが」と思った。

農民をただおろおろするだけの弱い存在ではなく、したたかさを描いているところが作品の深みを感じさせる。人の価値は強さだけで測るものではないし、ずる賢くても命をつないでいくことなど、人間はいろいろな側面があるということだろうか。

ラストシーンで晴れやかに田植えをしている姿は、壮絶な戦いで勝利したことを「過去のこと」と振り返らず、今の目の前の仕事に集中するしたたかさを示しているのだろう。窮地を救ってくれた侍を「ただの強いやつ」と忘れてしまっているかのよう。
また、この集落の人々が過去に落ち武者狩りも行っていたことがわかり、それを菊千代が大演説をして「ただの弱いやつらではない」と説明するシーンも印象的。

1点減点は、上映時間が長いこと。特に勝四郎と志乃のラブシーンはなくても良いと思った。

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共感した! 4件)
p.f.naga

5.0大地

2024年2月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

こんなに長い映画とは、知らなかった。でもおもしろかった。農民と武士の違いの描き方が、なんというか、率直というか、やはり最終的に両者は相容れないんだな、と思った。農民は土地が第一で、危機を脱したらもう通常運転。協力しあったのに、武士たちに村に残れば、とも誘わない。農民が頑固なのは、職業病なのかもしれない。

三船敏郎がいい体だからなのか、すぐ脱がされる(笑)。はだか甲冑じゃ身を守れないじゃない。さすがサド黒澤。

志村喬って、あらためてすごい役者なんだと思った。今なら役所広司が相当するんじゃないだろうか。

BSプレミアムの放送にて。

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ぷにゃぷにゃ
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