劇場公開日 2000年1月22日

「日本で『スプリット』を作れないのは20年前から分かっていたようだ」ISOLA 多重人格少女 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5日本で『スプリット』を作れないのは20年前から分かっていたようだ

2022年6月29日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

寝られる

萌える

『リング0 バースデイ』と同時上映の2000年の作品。

阪神淡路大震災の被災地でケアボランティアに参加した由加里。彼女は自分の意思とは関係なく周囲の人々の心の声が聞こえる不思議な力を持っていた。
そこで由加里は一人の女子高生、千尋と出会う。彼女は多重人格者だった。
千尋の周囲で起きる不審死。それには、千尋の13番目の人格“ISOLA”が関係していて…。

多重人格は映画の題材としてはそう目新しくもない。古今東西、ホラーやスリラーの定番。
多重人格の題材は興味惹き付けられるし、邦画としては初めて阪神淡路大震災を舞台設定にした意欲作のだったろうが、全てにおいて空回り。氾濫する凡作Jホラーの一つ。

多重人格という題材を活かしきれていない。この手の作品の宿命なのか、多重人格と謳っておきながら出てくる人格は2~3人。
あの『スプリット』でさえ全人格を捌けなかった。それに、『スプリット』と比べると…。
由加里の他人の心の声が聞こえるという能力の必要性も感じられない。どんな意図があったの…?
多重人格や由加里の能力がメインになると思いきや、ある実験中に死亡し、幽体離脱した女性が絡んでくる。一応それが千尋の多重人格に関与しているのだが…、
どれを主軸に置きたかったのか、散漫し、一貫性に欠けた印象を受けた。
原作があるとは言え、監督の狙いは何だったのだろう…?
多重人格を題材にしたディープなサイコ・スリラーではなく、ヘンにオカルト色を出し、グロい死亡シーンなど、監督はどうやら本来の原作を読み違えたかのよう。

多重人格を演じるキャストの熱演こそ見ものなのだが…、この少女には偉大な祖父のような“天皇”の才も凄みも皆無。
若い木村佳乃が可愛いだけ。今も充分お美しいけど、別人のよう。

にしても、つまらんホラーって美人女優が居なければ目も当てられないね。

近大