劇場公開日 1956年3月18日

「うちヴィーナスや!八頭身や!」赤線地帯 osmtさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0うちヴィーナスや!八頭身や!

2023年2月19日
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鑑賞方法:映画館

京マチ子の不良な登場シーン、イイなあ〜
カッコいいなあ〜
くわえ煙草で颯爽と現れて、鯔背やな〜
その後のコメディエンヌな魅力(うちヴィーナスや!八頭身や!)も凄くイイ。

そして、とにかくモノクロで映し出される映像が素晴らしい。流石の宮川一夫。
ていうか、ホント、4K万歳!
配信で観れる映像より、格段にグラデーションやコントラストの精度が上がってる。
21世紀になって、あのクオリティで観れるとは、なんだかんだで、デジタルのテクノロジーの進化は有り難い限り。

肝心の内容は、というと、もっと映画史に残るような名ショット続出かと思っていたが、そうでもなかった。
少し期待していた黛敏郎の音楽もオープニング以外は殆ど印象に残らなかった。
あと、この頃の日本映画アルアルだが、マイクの性能が悪いので、台詞が聞き取りづらかったりする。
映像と一緒に音声の方もアップデートして欲しかった。
但し、台詞の声のリストアというのは映像以上に繊細で難しいのかもしれない。
こういう時、英語版で英語の字幕が付いてると助かるんだけどなあ。

尚、脚本は、いわゆる典型的な群像劇なので、登場人物たち各々のストーリーが並列に進んでいく。
その個別のストーリーは、それぞれ殆ど接点が無く、それぞれが複雑に絡み合ったりだとか、最終的に意外な接点が生まれるといったような事も一切ない。
なので、特定の主人公にフォーカスしない話が苦手な人や、凝ったストーリーテリングを期待している人などには、あまりお勧め出来ない。
京マチ子や若尾文子のお目当て以外は。

osmt