劇場公開日 1983年12月17日

「靖子十四歳」アイコ十六歳 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0靖子十四歳

2019年6月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

幸せ

萌える

同名小説を基にした1983年の青春映画。
監督の今関あきよし、主演の富田靖子のデビュー作。親友役の松下由樹も本作でデビュー。

デビュー尽くしでフレッシュ。
とにかく当時14歳の富田靖子のナチュラルな魅力! これに尽きる。
100年に一人の超美少女登場!とか、期待の超大型新星現る!とか、そんな感じではない。
何処にでもすぐ近くに居る普通の女の子。
それがダイヤモンドの原石のようで、稀有。
最近、そういうナチュラル・タイプで見出だされる新人女優、あまり見掛けなくなったなぁ…。やれルックスとか、やれ演技力とか。
演技も悪くない。伸び伸びリラックスした自然体。
あるシーンでは、胸中の複雑な思いを訴える熱演。
昨年も『友罪』で好助演を見せ、いい女優さんになっている。

話の方は…
剣道に明け暮れる16歳の女子高生アイコの青春の日々。
富田靖子の魅力や今関監督の演出で、一定の瑞々しい感性の作品には仕上がっているものの…
ちと思ってたような作品とは違った。

好みのジャンルである何か(本作では剣道)に打ち込む王道の熱血青春ストーリー…のように一見思えるが、それほどメインではなく。
序盤の漫画チックな描写や演出に少々地雷臭したかと思いきや、
多感な時期の女の子の感情や心境が、時々シリアスに。
冒頭で幼い頃可愛がっていた猫を亡くした経緯、合宿中首吊り死体を部員が発見、憧れてる若い女の先生(紺野美沙子が美人!)が自殺未遂を図ったり…と、生死感も見え隠れ。
緩かったり、真面目だったり。
女子高生のふんわりとした姿を描きたかったのか、楽しいだけではない青春のほろ苦さを描きたかったのか。
様々な経験をして、前向きに明るく生きていく…的な爽やかなラストではあるが、全体的にどっち付かず。
この作風は、原作の精神がちゃんと描かれているのか、監督の個性かも分からず。

まあでも、この雰囲気はそう嫌いじゃない。
十四歳靖子も含めて。

近大
2019年6月16日

富田靖子といえばBUSU

巫女雷男