劇場公開日 1987年3月

「地獄のFワード」フルメタル・ジャケット marさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5地獄のFワード

2021年6月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

たとえば今の若者に、スマホのなかった時代の話をしてもピンとこないと思うんですよ。
おじさんの世代ではPHSってのがあってね、とか
友達同士で”ワン切り”してじゃれあったりしてね、とか。
それこそJ-PHONEがカメラ付きケータイを、とかiPhoneが発表された時の衝撃だとか。

だから僕は過去の名作ってちょっと得意じゃなくて、いかに当時センセーショナルだったとしても
現代の感覚で見て「面白い」っていうのとはちょっと違うんじゃない?と。

なんだけど本作は、全編を手放しでは褒められないけど今とは違う趣きっていうか、
当時だから取れた映像ってあるんだな、と気づかせてくれた。

特に印象的なのは”主人公”がいないってところ。
いちおう全編に登場するジョーカーが主役ではあるんだろうけど、
別に特別でもなければヒーローでもないっていう。まぁちょっと面倒見が良いくらい。
むしろ前半はその、今ならグレーゾーン満載の”ほほ笑みデブ”レナードが主役級だしね。

ともかく、莫大な金がかかってそうな映像は迫力満点だし、
30年以上経った今でも古びてないのはさすがだった。
ただね、ストーリーって部分でいくと、そんなにだったかなって。
総合すると「教養として見てよかった」ってとこに落ち着くかなと。

mar
NOBUさんのコメント
2021年6月4日

今晩は
 仰る通り、映画の技術はドンドン進歩していますよね。
 只、私が今作が忘れ難い理由としては、それまでアメリカ国民の大多数の声としては否定されていたベトナム戦争の意義を”映画”で、否定的に描いた作品であった、という事です。
 前年に公開された名作「プラトーン」は、スタンスとしては米軍正義と言うトーンで描かれていましたが、今作はスタンリー・キューブリックが米国の軍
国主義に対し、シニカルなトーンで描いた作品だったことに衝撃を受けた作品だったからです。あくまで、私見です。

NOBU