劇場公開日 1979年8月

「ここに無敵のブギーマン誕生!」ハロウィン(1978) だいふくさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ここに無敵のブギーマン誕生!

2024年1月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

70年代に低予算で作られた映画ですが大ヒットとなり、ジョン・カーペンター監督の才能を世に示した作品ともいえるでしょう。しかも、脚本、音楽までも作っているというびっくり監督です。

音楽に関しては、これまた名曲。名作ホラー映画には名曲ありとよく言ったもので、一度耳にしたら絶対忘れられず聴いたものを不安に掻き立てられるような音楽は、映画ハロウィンの代名詞にもなりました。

冒頭ではいきなりの殺害シーン。これが一番ショッキングなのかもしれません。マスクからの視点で覗いた映像では淡々と殺害していく。いったい犯人は誰なんだ!?っと思ったら小さな子供なんです…。まさか、幼い子供がこんなにも残酷な殺し方するとは思わずギャップに衝撃を受けます。

その後の話は、なかなか展開が進まないので少し退屈な感覚になります。殺害シーンも、血吹雪やグロ場面など全く無いので、現代のホラー映画の感覚で観てしまうと少しつまらなく感じてしまうかもです。

ただですよ!先述したとおり、まだジェーソンなんかも登場していない時代に、残酷描写が全くなく、たたずむだけで不気味な存在の怪力殺人鬼に世界は恐怖したんです。それだけでも、やはり名作と言えるでしょう。

では、本作で残酷描写もなく恐怖してしまう理由はなぜなんでしょう?まずはブギーマンことマイケル・マイヤーズの殺人の動機の不明さ。よくあるのは幼少時代に虐待されてその反動とかですがそういうことは全くなし。劇中では「生まれながらの邪悪」とまで言われています。どんなに刺しても拳銃で撃っても死なない不死身な人間離れした部分も恐怖を感じさせられるのです。

さらにこの映画を後世に語られる伝説的にした要素は2つ。1つ目は不気味なマスクです。単に遠くでたたずんでいる姿が出てきますが、立っているだけなのにその冷酷なマスク姿が強烈なインパクトを残します。もう一つの要素はやはり音楽です。名曲が要所要所に挿入される、視覚だけではなく聴覚でも不気味さが体験されるため、観客はスリリングな体験を味わうのです。

そういった理由もあってでしょうか、本作は「文化的、歴史的、美学的に重要」としてアメリカ議会図書館の国立フィルム登録簿に登録までされている映画でもあり、世のスプラッターホラーの先駆けともいえる作品でしょう。

シリーズとしては8作も作られ、さらにはリメイクも多く行われ、最も稼いだインディペンデント映画ともいわれており、後世の他の映画にも影響を与えたとなった映画です。

だいふく