サイダーハウス・ルールのレビュー・感想・評価
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【following様の鑑賞リストから選んで観てみた】 豊かな、あ...
【following様の鑑賞リストから選んで観てみた】
豊かな、あまりにも豊かな対話に、ため息が出ます。
Tranquillo Ma Deciso(’おだやかに、決然と)。
人物たちのことばの波に、心が浮かび、押し流され、引き戻される。
見終えて、そのまま一人になりたくなりました。
しゃべりたくないし、聞きたくもないこころ持ち。
字幕が意味不明で、途中で吹替えにしたら、なんとか、それでも深くひたることができた。
M.ケインの声で物語を追えないのは悔しいけど、中村正さんの語りは素晴らしい。
大事なとこだけ後で原語再生した上で、両雄甲乙付け難し。
Wキャスト。
【印象深い会話を3つ】
「・・・みんな信じるかな?」
「信じるさ。。。信じたいからね」
「女性は大勢見てきたけど何も感じなかった」
※註:孤児のメアリ=アグネスに失礼(^^;)
「僕は医師じゃない。すみません、戻れません。」
「謝るのか?私は、謝らないゾ。何も後悔していない。お前を愛したこともね」
※ホーマーが涙を流す理由、こんな厚い心情、説明できない。
・・・BGMのピアノがズルいよ~モぉ(泣)。
【子供が成長するための通過儀礼】
子は、親のくびきから脱し、成り行き任せで振舞って、行き詰まり、自ら道を切り開く。
一方的に押し付けられた就業規則(Cider-house Rules)を破り捨て、己が人生の王座に着く。
それは、親が毎夜毎晩、子供に向けて願う希望。
「おやすみ、メイン州の王子達、ニューイングランドの王達よ。」
親の愛、子の成長に尊さを感じる。
すべてが美しく紡がれたお話をたどり、心が静かになる心地よさ。
半面、観念的な物語でもあり、細かい突っ込みどころも少々。
かなりブランク経ってるのに施術、危なくない?
あと、ラストシーンの演技はみんなちょっとクサいかな(ご愛嬌)。
からだの中に
深いさけびがあり
口はそれ故につぐまれる
(谷川俊太郎「からだの中に」抜粋)
まあ徘徊型ではあるが。
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孤児院で育った主人公は大人になり、産婦人科の手伝いをしていた。
舞台は戦時中で、孤児院で出産したり堕胎したりする人は多かった。
生まれた子はそのまま引き取られるケースも多く、主人公もそれだった。
主人公は親同然の医師から仕事を教わっていたが、手伝いしかしなかった。
自らが医者として動く事に抵抗があったからだった。
逆に、外の世界に出てみたいという思いは日々強くなって行った。
そんなある日、堕胎しに来た夫婦について行く形で村を出る。
夫婦に紹介してもらったりんご園で働き、活躍するようになる。
また上記夫婦の夫が戦争に行っている間に嫁と不倫したりもする。
そんな折、農園主が自分の娘と関係を持ち、妊娠させてしまう。
やむを得ず、主人公が経験を生かして堕胎することになる。
成功するが、娘は父をナイフで刺して村を出てしまう。
父は死の間際、自分は自殺した事にしてくれと言い残し、死亡。
その後どうしようかとなったところに、上記の医師死亡の知らせが入る。
また不倫相手の夫も戦争で半身不随になって帰って来る知らせが入る。
これを潮時と思ったか、主人公は孤児院に戻り、医師の後を継ぐ。
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徘徊型の映画だが、見てて辛くはなかった。
倫理観やそれぞれのコミュニティのルールの中で生きて行く、
そうするには何が大切か、ってなやや重めのテーマの映画。
主人公、何か見たことあるなと思ったらスパイダーマンだった。
原作が好きで
サイダーハウスルールは原作が好きで、映像化されたのを知り楽しみにしていました。
映像になっても原作の世界観がしっかり感じられ、個人的にとても好きな映画です。
映画では語り尽くされなかった物語の片隅を覗くのに、映画を見るとまた原作が読みたくなる映画です。
希望に繋がるルール破りに…
少し前に「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」を
久々に観た勢いで、
この作品も懐かしく再鑑賞した。
ハルストレム作品は、「マイライフ…」
「ギルバート・グレイプ」「ショコラ」同様、
大きな事件が起きることもなく
坦々と進む展開のイメージだが、
飽きることなく作品の世界に引き込まれる。
さて、この作品では、
沢山のルール破りが描かれた。
サイダーハウスでのルールはもちろん、
医院長の堕胎処置や意思免許証偽造と
そして嘘のレントゲン写真渡し、
また、主人公の友人の彼女との情事も
その一つなのだろう。
しかし、ここでは、
それらは全て希望へのルール破りだった。
私が観たハルストレム作品の全ては、
充分に練られた演出の印象が強く、
また、希望に繋がるラストシーンには
心地良く浸れるばかりだ。
文学映画として完璧
ずっと心に引っかかっていて、いつか再視聴したいと思ってたが、Netflixで見かけたので視聴。最近のスーパーヒーローも楽しいけど、たまにはこういうずっしり来る映画も良きかな。無理なくこの時間にまとまってるのが素晴らしい。
やっている事はブラック・ジャックで、ここだけのルールって事だ。
先ずは原作を読んだ事が無いので、原作との比較が出来ない。
単純に映画の事だけ言えば、余りにも都合よく事が進み、堂々巡りして、予想した結果に収まったって思う。
それでも、この映画に惹かれる。何故なんだろう。
題名にあるのだろうと思う。やっている事はブラック・ジャックで、ここだけのルールって事だ。つまり、
途中のサイドストーリーに矛盾があったり、その後の事が余りにもあっさり描かれているので、少し不満は残るが、キリスト教でありながら、中絶と言う難しい問題を、納得のいく解釈をしている事に共感せざるを得ない。という事だ。
重い決断
リアルタイムでは見れず、その後も見る機会のなかった映画。たまたまネトフリで見つけ、見てみました。
まず、シャーリーズ・セロン。昔も今も全然変わらず。でも、今の方がいいかも、洗練されたというか。
最後、セロンが下半身不随になった恋人と生きていく決断をし、トビー・マグワイアは孤児院に帰って、恩師の後を継ぐ決断をする…
ハッピーエンドのようにも感じられるんですが、冷静に考えれば、それぞれ今後重いものを背負って生きていく事になると考えると、果たして本当にハッピーエンドなのか?
当時の時代背景もあったと思うけど、作った人は見た人にどう感じて欲しかったのかな…と、色々考えさせられる映画でした。
元さや、めでたし
こういう映画は好きだな、と思った。
タイトルは知ってたが、なぜか観る機会がなかった。
ようやく、という感じ。
「自分の役割(仕事)は何だ?」
何度かこういうセリフが出てくる。
自分の居場所、役割について考えさせられる。
たくさんの子どもたちの父親代わりとして生涯を送ったラーチ先生は素晴らしい。
あんな山の上に、いわば隔離されているような施設で働くナースお二人も。
里親に引き取られるのを待ち望む子達の作り笑顔が切ない。
寝る前の読み聞かせ、キングコング(いつも同じ場所でテープが切れる)を繰り返し楽しむ素直な子供達。
ホーマーが施設を出る時も「大きいのにずるい」という小さな男の子。泣ける。
ローズ親子は悲劇だったけど、ホーマーやキャンディ達みんな最後は元さやで、めでたしめでたしかな。
サイダーハウスのルールと施設の関係性はやや不明だったけど、農園や山々の美しい自然など、見応えがあった。
顔ぶれはすごいのに、文芸作品の消化不良
トビー・マグワイヤがまだ少年っぽくて、役にぴったりはまっている。といっても、原作を読んだりしたわけでもなく、この映画の世界観には、やや戸惑いを感じる。ちょっと特殊な業務を請け負う医者と、その手伝いをするようになった少年の不思議な関係。
そして、患者としてその医者を訪れた女性と、恋に落ち、やがて。。。
それにしても、表情に出ないというか、トビーは感情の振れ幅があまり大きくない。喜びも、悲しみも、怒りも、全部小っちゃいチャートの中で披露するので、よく言えば、抑制のきいた、悪く言えば無表情。こののちに、スパイダーマンで大ブレイクするまでは、はっきり言って何の興味もなかった。
それに、シャーリーズ・セロンも古いタイプの女性を演じているので、全然彼女じゃなくてもいい。確かに美人だけど、この場合それが、役作りにプラスになってないように感じる。
2018.7.4
【”人の役に立つ存在になれ”人間の限りなき善性と少しの愚かしさを、温かい視点でラッセ・ハルストレム監督が描き出したヒューマンドラマ。】
ー ご存じの通り、ラッセ・ハルストレム監督は人間の善性(犬も・・)を信じて映画製作を続ける監督である。今作は、その基本姿勢が最良の形で具現化された作品である。-
■内容は、ジョン・アーヴィングの原作とともに、巷間に流布しているので割愛。
◆感想
・久しぶりに鑑賞したが、孤児院で生まれ、育っていくホーマーをトビー・マグワイアが好演している。
・だが、矢張りラーチ先生を演じたマイケル・ケインには唸らされる。
誰もやりたがらない法に抵触する堕胎手術も手掛けながら、孤児院を運営する姿。
良心の呵責を和らげるために、常に眠る際には痛み止めをマスク越しに服用している。
・ホーマーは長じて、外界を知りたい気持ちを抑えきれずに、堕胎に来た軍人ウォーリーとキャンディ(シャーリーズ・セロン)との関係性を深めていく。
そして、二人と共に初めて外界に出ていくホーマー。
・そこで、彼が経験したウォーリーの親が経営する林檎園で経験した事。戦地に旅立ったウォーリー。残されたキャンディとの初めての情事。
・林檎園を取り仕切るミスター・ローズと彼の娘、ローズ・ローズとの許されざる関係性の描き方。
<久方振りに鑑賞したが、矢張りとても良い作品である。
シャーリーズ・セロンの出世作でもあるし、寛容な思想を持つラーチ先生を演じたマイケル・ケインの姿には唸らされる。
アクセントとして、”キングコング”の第一作も効果的に使われており、ラッセ・ハルストレム監督のセンスの良さが伺える。
ホーマーの将来を想い、ラーチ先生が遺した僅かな嘘。
ジョン・アーヴィングの原作も素晴らしいが、今作はそれに比肩する素晴らしさを維持している稀有な作品である。>
蜘蛛に噛まれる前のマグワイアと男前になる前のセロン
劇場公開時鑑賞。原作未読。ジョン・アーヴィングやマイケル・ケインすら当時はよく知らなかったので、100%ハルストレム監督目当てで。
もちろん全然関係ないけど、後半は勝手に『ギルバート・グレイプ』その後を見てるような気分になってしまった。狭い世界しか知らなかったナイーブな青年が外へ出ていってどうなるのか。いいことも悪いことも、どう受け止めてどう答えを出すのか。派手さはないけど、じんわり染みる。
心温まる映画
扱っているテーマは堕胎の問題や近親相姦だったりで重苦しいはずなのに、孤児院とサイダーハウスの雰囲気がそれを打ち消してくれる。「メーン州の王子、ニューイングランドの王」という言葉が家族愛を感じさせ心地よく眠らせてくれるような・・・また、子供にトラックの運転を習得させたり、無免許産婦人科医を育て上げたりと突飛なのだが、妙に現実感を帯びている不思議な映画。
バスター君(キーラン・カルキン)はマコーレ・カルキンの弟だったのですね。シャーリーズ・セロンやマイケル・ケインもgood。ピタリと役にはまってました。
サイダーハウス・ルールの意味はわかったのだが、「よそ者にルールを作らせないぞ」というテーマが本筋にどうからんでいるのかが不明だ。観る人によって様々な考えになりそう。何となく米共和党と米民主党との政治プロパガンダにも触れているような気がしてしかたないのですけどね・・・
文学的な雰囲気がにじみ出る
個人的にはあまり得意では無い感じであったかな?と。
ラッセ・ハルストレム監督の「ワンダフル・ライフ」シリーズは非常に良かったが、こちらの作品は時代背景等も一昔前でその時代に変換しながら観ているから忙しいw
また孤児院も馴染みがなく、イメージできるのが閉鎖的で暗〜いものであったが、非常に明るく家庭的でみていてほんわかとする。また修道院とごっちゃになっているのかもしれないが、キリスト教を良く思っていない院長もどうなの?wって感じた。
それが堕胎との関係もあるのかは知識不足でわからなかった。
堕胎が違法となっているのも驚いた。
キャストはどれもすばらしく、マイケル・ケインの優しさと意志の強さ、トビー・マグワイアの頼りない感じがまた良いw
そのトビーも徐々にしっかりとした医師になっていく過程も見逃せない。
孤児院の子どもたちの表情も非常に素晴らしく、作品を支えている。
長い間、鑑賞が後回しになっていたが、たぶん上映時に観ていたら今以上に評価が低かったかもしれない。
ゆっくりと自分の人生を模索し、選択を重ねた上で、また人を愛し、失った上で観ることでまた評価が変わっていく作品だと思う。まあ多くの作品に言えることだが、、、。
ラストは非常に良かった、子どもたちの表情が光り輝いており、爽やかな感動と共に観終える事ができた。
外の世界に出てみる大切さというメッセージ
安全地帯にいる事より外の世界に出てみる事が大切というメッセージが伝わってきました
その人によってはなかなか勇気のいる事かもしれないけど、経験してみてこそわかる事もあるし
高評価ばかりのレビュー、いろいろな賞を受賞作品、豪華キャストならではの見応えのある作品には思えましたが、観るタイミングが良くなかったのか私には響かず退屈な作品に感じました
ストーリー上の事ですが、観たくないシーンが何回もあった事も私には合わなかったのだと思います
アカデミー作品賞にノミネートという事ですが、そういう作品とはいつも相性が良くない事がわりとあります
すべてが美しい映画です
映像も音楽も美しく、登場人物すべて愛おしい、後味のよい映画。トビー良いですね。当時は「サイダー」がりんごとどう結びつくのかピンとこなかったかも。美しさは色あせていなかったです。
自身の世界を切り開く勇気。
名匠ラッセ・ハルストレムが描いたヒューマンドラマ。
孤児院で生まれ育ち、その中の医者として、働く青年。
孤児院の中の世界しか、知らないその青年が、自身の一生の問いを抱え、その孤児院を飛び出し、リンゴ農園で働く決断をする。
そこでの人たちとの生活や交流を通して、
自身の世界を広めていく物語。
人が自身の一生を考えた時、迷った時、
どういった選択をするか、
また、自身に何が出来るか、
そして、どんなに離れても、帰ってくる場所がある。
そんなメッセージが込められた作品だと感じました。
ある孤児の物語、良薬口に苦し
不幸な境遇の子供たちを見るのは辛い、孤児院の設定に加え堕胎や近親相姦、恋人の裏切り、法の欺瞞性など愚かな人間社会の陰の現実を淡々とあぶりだして見せる。ラーチ院長(マイケル・ケイ)は孤児に人生をささげた無類の仁徳者である反面、世情のルールにあいそを尽かした現実主義者、孤児院しか知らないで育ったホーマ(トビーマグワイア)が垣間見た世間というものは束の間の白日夢だったのだろうか、2度も里子から出戻ったホーマーは今度は自分の意思で孤児院へ戻ってゆく。
矛盾だらけなのが人の生き方であることも事実、人間をどの視点から描くかによりヒューマン・ドラマでもこうも差がでるのかと感心しながら観た。鈍感なのか純粋なのか主人公の生き方に胸打たれながらも危うさを禁じ得ない。メッセージ性は強いが映画は一つの例示であって答えではない、製作陣は若者たちに人生と言うものを見つめ直してもらいたいと願ってあえて辛口の物語を創ったのであろう。感想としては良薬口に苦しである。
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