スイミング・プール

劇場公開日:

解説

新作の筆が振るわないイギリスの人気ミステリー作家、サラは、出版社の社長ジョンの勧めで、彼が所有する南仏の別荘にやってくる。静かな土地と自然に囲まれ、執筆活動を始めるサラだが、そこにジョンの娘と名乗るジュリーが突然現れる。夜な夜な違う男を連れ込むジュリーに当初は辟易したサラだったが、彼女の奔放な魅力に注目し、ジュリーを題材にした物語を書こうとするが……。「8人の女たち」のフランソワ・オゾン監督が、シャーロット・ランプリング、リュディビーヌ・サニエという新旧の人気女優を主演に描くミステリー。

2003年製作/102分/R15+/フランス・イギリス合作
原題:Swimming Pool
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
劇場公開日:2004年5月15日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第56回 カンヌ国際映画祭(2003年)

出品

コンペティション部門
出品作品 フランソワ・オゾン
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映画レビュー

3.0見た。

2023年12月31日
PCから投稿
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プライア

5.0硬派の、女たちの怪談。

2023年9月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

フランソワ・オゾンは
カメラが良い。
屋外の景色はもちろん、室内の光もすべてが計算し尽くされている。
緑も、 家も、 道も、 水も、オゾンの狙う演出にそれら万象が従っているようだ。

映画館ではなく、自宅のモニターで映画を観ると、スクリーンに投影される拡大された、そして色味と輪郭がボヤケてしまった映画館の残念な景色ではなく、液晶の画面で画角がクッキリするのがなお良い。

モニターで鑑賞すれば、オゾンが多用する直線がよりよく判る。
そこをまたさらに斜めに走る直線が、まるで刃物の振り下ろされた跡のように画角を鋭く切り取っていることがよく判る。
直線のぶっちがいをバックにした登場人物たちの投げかける人間たちへの視線の鋭さが、より一層あれで鮮明になる。

ふしだら娘ジュリーを題材に利用して、盗作まがいの原稿書きの筆が進むイギリス女。
予想もしていなかった南欧でのジュリーとの出会いが、作家サラのスランプを助けてくれるわけで。
仕事だけでなく、サラの人生のスランプをも変えてくれるわけで。

・・・・・・・・・・・・

僕はシャルロット・ランブリングのサスペンス顔が苦手。
とにかくあの鎹(かすがい)のような口と、他人を見下げる灰色の目の半眼、三白眼が苦手なんです。

「わたしを離さないで」では、“人間を養殖する施設の番人”となったランブリング女史。人間の命をとことんまで追い詰めて、絶望の淵に突き落としてしまうあの妖女の顔には、耐えられないほどの恐ろしさを覚えるし、
「さざなみ」では、“ラスト3分の衝撃”という映画宣伝の謳い文句。高まる恐怖。迫るラスト・・
恥ずかしいけれど怖じ気付いて、ついに僕はデッキを止めて、DVDをレンタル屋に返してしまった思い出があるのです
(だから僕は結末は知らずじまいで、笑)。

ランブリングのあの口。あの目。
台詞を発していない時の、彼女の唇の動きと呪詛の表情が、僕は例えようもないほど怖い。

・・・・・・・・・・・・・

【分かったこと】
作家サラと、こじらせ娘のジュリー。
【本作の大筋】は?
何のことはない、世代を超えて、彼女たち=女のことを愛さない“ある男”への報復と、そのために肌感覚で共感し合った女たち二人の結託。

サラの“人恋しい気持ち”に応えない編集者=チャールズ・ダンス。
その(遊び人の)チャールズ・ダンスを父親に持ち、父親がいつも不在だったことの寂しさと、母親を不幸な死に至らしめたその男への憎しみ。
(中年男を漁るのはその反動)。
サラとジュリーは、寂しさと心の傷で説明不要で触れ合ったのですよね。

そんな単純なストーリーなんだけれど、名優が演じて名匠が撮ると、これが大変な物になるという見本ですね。

ジュリーの泣いて暴れる錯乱をついに抱きしめ、
ジュリーの母親がクローゼットに遺した赤いワンピースをまとって、
女たちの胸の想いを引き裂くように、真一文字に乳房をかき晒して、作男に見せつけるサラの立ち姿。
サラの母親に成り代わり、プールサイドに母親の亡霊を呼び戻し、サラとジュリーは男たちを地面に葬る。
「ジュリー!本当のことを言うのよ!」。サラの叫び。
ジュリーの美しいヌードには縦一文字の手術痕。子供時代に受けた深い傷手イタデを閉じ込められた跡。
縫い合わされて、口を封じられた傷の跡が。

これは、硬派な怪談でした。

アルモドバルは、土臭く女を描き、
オゾンは、実にスタイリッシュに女を描写します。

シャルロット・ランプリングのこと、少し好きになりました。

·

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きりん

5.0何回観てもわからない、それが最高!!!

2023年8月13日
iPhoneアプリから投稿

リュディヴィーヌサニエの映画の中で1番好き。フランソワオゾンの映画の中でも1番好き。

何回観ても、どんなに注意深く観ても、今回こそは絶対見破ったるねんと意気込んで観ても、全くわからん。どれが本当の出来事?誰が実在の人物?全くわからないのは、やっぱりそもそも正解が用意されてないからだろう。現実と虚構の境界は、スイミングプールの水面のゆらめきのように曖昧だ。

ここまで曖昧な映画って実はあまり無いように思っていて、観るたびに不思議な感覚になる。いつの間にか眠ってしまったときに見るぼんやりした夢のような感覚。この体験はこの映画でしかできないと思う。

あとはやっぱりリュディヴィーヌサニエがめちゃくちゃ可愛い。舌ったらずな喋り方と成熟した大人の身体のギャップがめちゃくちゃ魅力的。奔放でオープンに見えるのに終始ミステリアスで、捉えどころが無い、まさにスイミングプールの水面に見え隠れするような存在だ。ただ若い美女なら誰でも良いってだけではなく、彼女が演じるからこそこんなに魅力的なキャラクターになっていると思う。

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ケロケロケロッピ

4.0謎は残る・・・いい意味で

2022年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 いつ殺人事件が起きるんだ?!と中盤過ぎるまでイライラ感が増すばかり・・・そして、いよいよ犯人は誰だ?!と、想像力・推理力という脳内の片隅に格納されたモノを引き出すと同時に“偉大なる謎”によって奈落の底へ突き落とされたような感じ・・・

 もしかして自分だけ理解できなかったのか、頭が悪かったのじゃないだろうか、と心配したけど、皆さん謎だったみたいですね・・・ホッ。とにかくストーリーそのものを謎のまま残して、観客にアレコレと想像させるのが狙いの映画(原作も似たようなものか?)でした。しかし、誰も文句を言わないところは、さすがオゾン監督なのだ。

 終盤、フランクの死体を物置小屋で発見したのに、その後、プールサイドでのジュリーとフランクの濡れ場シーンに戻り、プールのそばにサラとジュリー共同で死体を埋めるという映像。果たして、どちらかが小説の中味、若しくはサラの妄想であろうことが想像できたが、ラストになってまた混乱してしまう。ジュリーではなくジュリアという歯の矯正ソバカス娘が編集長ジョンの本当の娘。別荘だって全くの別物だったということは、全てが小説に書かれていることなのでしょう。後から色々と考えた結果、「ジュリーは自由奔放、ふしだらすぎて毛嫌いすべき娘」だったが、自分にも落ち度があり、愛情の足りない性格を直して最終的には「憎むべきはジョンであって、娘のジュリーには罪はない」と考え始めた。それが二つの死体の意味するところであり、最初は「ジュリーが殺したんだわ!」くらいの気持ちだったのに、「一緒に死体を埋めましょう」と協力的に、そして使用人に死体を発見されそうになったら、自ら体を張って出た!と、このように偏屈で高慢な小説家が徐々に愛情溢れるくらい精神的に成長する過程を表現したのではないでしょうか。そうして、ちょっとだけジョンを裏切った形で出版社を変え、「スイミングプール」を発表した。

 全体的には、エロチックシーンやシャーロット・ランプリングのきわどいヌードも全て綺麗なプールサイドの中に溶け込んでしまい、いやらしさが感じられない・・・これが良かった。

【2004年11月映画館にて】

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kossy
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