劇場公開日 2005年6月11日

「はっきり言ってしまえば、原作者:福井氏の人気と自衛隊全面協力のリアルさだけが売り物の映画。戦車やヘリがリアルな割に設定がしょぼいし・・・」戦国自衛隊1549 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0はっきり言ってしまえば、原作者:福井氏の人気と自衛隊全面協力のリアルさだけが売り物の映画。戦車やヘリがリアルな割に設定がしょぼいし・・・

2023年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「調べたら、七兵衛は間違いなく1547年の人間だとわかりました」「的場一佐は1547年の戦国時代に行ってる」等々。どうして知ってるんだろうと疑問に思いつつも、北村一輝の演技に騙されてストーリーに見入ってしまった。しかし、彼がただの歴史オタクの狂人だということも考えられるのである(実際事件が起こったら、間違いなくコチラ)。タイムスリップしたという事実も演習場に穴が開いただけですし、タイムパラドクスものの良質作品を観た直後なだけにがっかりしてしまいました。

 それでも意外な展開も用意してあり、日本史好きで戦国の武将の幼名や家臣の名を知ってる方ならば十分に楽しめるのかもしれない。そして北村一輝、伊武雅刀、鹿賀丈史がいい演技してますので、これだけでも満足といったところでしょう。伊武はお茶目な斉藤道三だし、鹿賀は織田・的場の心理を把握しきれてないし、北村は我が道を突き進んでいるし・・・

 全体的には、強い平成日本を築きあげたいと願う思想をどう取り扱うかが評価の分かれ目になるのかもしれない。戦国時代で織田信長となって歴史をやり直そうとする的場と、歴史を変えずに平和な日本を守ろうとする鹿島。役者の演技力のバランスから見ても、今の世の中の潮流を考えてみても、平等というよりは、「強い日本」がいいと思わせる意図が見え隠れする。原作は未読だが、映画そのものは福井氏の思惑とはずれてしまっているのではないかと想像できます。

 オリジナルの『戦国自衛隊』が公開されていた頃は、自衛隊の存在そのものが違憲裁判などの背景もあり、SFや人間ドラマに主眼を置くことによってかなり配慮されていたと記憶しています。今回はむしろ自衛隊PR映画になるのではないかと危惧されたけど、ラストシーンにてやはりそれが証明されました。気をつかいすぎだよ・・・

 北村一輝の生首がケタケタ笑うシーンでもあれば4点くらいになったかもしれない・・・

【2005年6月映画館にて】

kossy