劇場公開日 2006年11月25日

「極彩色の悪夢が迫り来るSFスリラー」パプリカ 千早慎太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0極彩色の悪夢が迫り来るSFスリラー

2024年4月21日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

怖い

夢を読み取る事の出来る機械・DCミニ。
それを巡り登場人物たちが織りなすドラマが、恐ろしくも楽しい傑作。
人類は長い時間をかけ、地球の隅々を踏破し、謎を解明してきた。しかし、未だ人類そのもの、精神や心に対しては分からないことも多い。心という変数は、数字で扱うには柔らかすぎる。実体はないのに、確かにそこにあるもの。DCミニで介入できる、夢もそうだ。「同じ夢を見られたら」という純粋な願いは、精神疾患の治療、そして夢を伝ったテロへと転じられていく。
生々しく体温まで感じられるほどの筆致、荘厳で不安を掻き立てられる音楽、林原めぐみさんをはじめとする声優陣の熱演、それのどれが欠けても、この爽快感と恐怖は味わえなかっただろう。
おぞましいもの、美しいものがお好きならば、必ず見るべき一本だと言えよう。
オセアニアじゃあ常識ですよ、なんて……。

千早慎太郎