パプリカのレビュー・感想・評価
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極彩色の悪夢が迫り来るSFスリラー
夢を読み取る事の出来る機械・DCミニ。
それを巡り登場人物たちが織りなすドラマが、恐ろしくも楽しい傑作。
人類は長い時間をかけ、地球の隅々を踏破し、謎を解明してきた。しかし、未だ人類そのもの、精神や心に対しては分からないことも多い。心という変数は、数字で扱うには柔らかすぎる。実体はないのに、確かにそこにあるもの。DCミニで介入できる、夢もそうだ。「同じ夢を見られたら」という純粋な願いは、精神疾患の治療、そして夢を伝ったテロへと転じられていく。
生々しく体温まで感じられるほどの筆致、荘厳で不安を掻き立てられる音楽、林原めぐみさんをはじめとする声優陣の熱演、それのどれが欠けても、この爽快感と恐怖は味わえなかっただろう。
おぞましいもの、美しいものがお好きならば、必ず見るべき一本だと言えよう。
オセアニアじゃあ常識ですよ、なんて……。
世間一般で言われているほどではない
今だによくSNSなどで、よく絶対に見た方がいい映画として挙げられるほど、根強い人気を誇る本作。良い点としてよく出されているのは、映像美と、難解なセリフの言い回しの2点で、映像美に関しては凄まじくとても満足がいった。しかし肝心のストーリーとセリフの言い回しに関しては、あまり入り込めず、それっぽいことを合わせるだけ言わせておいて、ストーリーは淡々と進み、ラストは、意外ではあるがそこまで、引っ張る必要のない恋愛話を持ってくるのでそこまで盛り上がることができなかった。 キャラの発言も達観していると感じるものが多く、難解な台詞回し故に感情移入しづらいものだった。(だから終盤の展開に納得いかなかったのかもしれない)あと男同士のベットシーンも露骨で不要だと感じた。
しかし映像に関しては満足いったので、2.5点とさせていただきます。
実際に映画館で見た方が映える映画であることは間違いない
主人公は粉川だよね
劇場鑑賞以来、二度目。
原作がとにかく好きで、公開当時も足を運ぶ。
やはり文字からの脳内補完に、具体は勝てぬという印象が拭えない。
というか、原作はかなりユング、フロイト色が濃く、全年齢アニメには向かないかも。
内容も、ブレードランナーのように原作に忠実、ほどではない印象(記憶があやふや)
ということで観方を変えてみたら、これはこれでまとまっていて在りかと思えた。
DCミニ争奪戦より抑圧からの回復物語で、
ひきだすために夢と現実を混同させるというシカケが発動する。
タイトルはパプリカだが、ゆえに主役は粉川だと思った方が理解しやすい。
アニメでよく分からなかった方はよければ、原作を読んでいただけると
何が起きていたのか、わかるのではなかろうかと思う。
カオス。なんでもアリが織り成す現実。
今敏の長編最終作。
いうなれば今敏版『千と千尋の神隠し』であり、画面上の情報量は彼のどの作品よりも多量である。
夢のバレードはどこまでも進行していき、遂には現実までも犯し始める。夢と現実の境が消失したからこそ、人はより自意識に目を向けるようになり、また歩み始めるのだろう。
正直に言って何が何だかわからない世界なのだが、そういう世界がそうあ...
正直に言って何が何だかわからない世界なのだが、そういう世界がそうあるということか得心させられてしまうような、作り込み。ストーリーを追うというレベルにしか追いつけない、観る人をのっけから突き放すような映画なのだけれども、そういうところも含めて、筒井康隆の小説世界を映像で表すとこんな感じになるのかと思った。並大抵の才能やセンスで作れるようなものではないでしょう。それが感じられただけでも十分よかったかな。
当初の予想通り独特の絵に慣れるまでには時間がかかったけども。
麿赤兒さんかスケキヨかw
新文芸坐さんにて『東京ゴッドファーザーズ』と本作『パプリカ』を同日二本立て観賞🌟今敏監督作品初見の身としては贅沢過ぎるデビュー戦。
『東京ゴッドファーザーズ』が大人も子供もエイジレスに観て欲しい作品だとしたら、『パプリカ』は完全にオトナ向けアニメ。というか、お子様には理解ができないかと。でも映像の美しさを楽しむのはみんなウェルカム (*´∀`*) ノ
内容は『インセプション』とか『ドミノ』みたいに頭の中で混乱しちゃう作りになってるけど面白い。混乱しちゃうからまた観たいと思わせてくれる。一通り観た後でもう一度最初から観てみたくなる。これ、絶対再観賞しちゃうやつだな。
それにしても、理事長が麿赤兒さんにしか見えなくて、『え?そこだけ実写?』ってなってた。
個人的にエンディングが最高すぎる
今敏映画のエンディングは続きが気になるような展開でブツっとコンセントを切られたかのようなエンディングが特徴的な気がする。それがまたいい。
よく分からんけどいい映画だなぁ、よく分からんけど。
本当によく分からない。「オセアニアじゃ常識じゃよ」などの本当に頭がおかしいセリフはもちろん意味がわからないとして、作中に登場するマシンの説明も専門用語が多すぎてよく分からないし、細かいところまでは理解しようとしたら折れます。
でも良かった。場面転換が夢の物語のようで、アニメの持ち味を最も上手く活かしてる。
シナリオもデブ博士と結婚するのは共感は出来なかったけど、恋なんてそんなもんですからね。
刑事の過去の清算も良い。
終わり方は「これで勝ったの?」みたいな感覚はありますが夢も突然(目覚まし時計によって)終わりますからね。
見終わったあとには爽やかさが残ります。
改めて凄い作品
文芸坐での記念上映で行ってきました。
今敏監督四作目の劇場作品、そして遺作でもありますね。
夢を共有できる装置を巡る、幻想的なSFサスペンス作品。
何より今敏の集大成感がすごいです。
「パーフェクトブルー」や「千年女優」などにみられた虚実曖昧な境目が、これ以上ないくらいにダイナミックに広がっていました。
また声優陣が本当に分厚く、この面子の芝居だけでも何だか贅沢。
それとアイディアに満ちた、刺激的なビジュアルが実に冴えてます。
そんな今敏の幻想的な映像と、平沢進のサウンドがものすごいフィットしているんですよね。
これはのちに知ったのですが、先に音楽を作ってもらいそこに絵を当てて仕上げたらしいですね。何かすごい納得したのを覚えてます。
それにしてもこれを観ると、やはり亡くなった事が惜しまれますね。
改めてすごい作品でした。
惜しい人
めまぐるしく変わるイメージの氾濫。
特異な設定の中に人間臭い感情も交じり。
なんともいえない薄気味の悪さも日本ならではのモチーフをふんだんに盛り込んでこの映画化を海外にもっていかれなくて良かったとまで思う。
大筋というか、オチは案外、あ、そこ?って気にもなりますが。
何よりもこの豊かなイマジネーションをもった原作者筒井さんが絶筆してるのが
心から悔やまれます!
昼メロなんか出なくていいいから、書いてくださいよ…!
インスピレーションと多幸感
圧倒的な想像力と表現力。不気味なキャラクター造形。エピローグは綺麗に物語としてまとめられているけど、多層的に観客を作品の中へ引き込むような構図が見えて、実験的意図が完全に成功した稀有な作品だと思います。
ドリームランドと共に終わった。
クリストファー・ノーランの『インターセプション』は、このアニメに影響受けていると思う。不条理で、しかも、ストーリーに大きな落ちはないが、極力、CGを使わない所が評価できる。
2006年の公開だが、スペシャルウイークがポスターになっていた。もっとも、馬主が違うし、年代が違う。隣のレース結果の瞬間は、仮にスペシャルウィークを差し切った馬と仮定すると、1999年12月26日の有馬記念で、スペシャルウィークを差し切った伝説の名馬『グラスワンダー』だ!
有馬記念のその時の個人的収支は、マイナスだったが。ディープインパクトと同様に伝説に残るレースだと、個人的に感じている。
さて、このアニメは色々なアニメや映画の良いところをかき集めた良い作品だが『平成ポンポ○』と『ええじゃない○』ダネ。
所で、『ロボットドリームランド』が登場するが、横浜にあったドリームランド(くるみ割り人形を意識していたはずだ)を覚えている方はいるだろうか。幼い頃(多分、今から60年くらい前に)親父に連れられて、行ったのを思い出す。開園直後だったのかもしれない。その後、スペシャルウィークのレースの頃(20世紀末)行った事があるが、閉園間近だった記憶がある。私個人の夢は時田くんの様には行かずに、ドリームランドと共に終わった。モノレール乗りたかったなぁ。
夢の世界の支配者。
天才科学者時田が開発したサイコセラピーマシンDCミニ。その装置は他人の夢の中に侵入できる画期的な発明だった。しかし、このマシーンにはそれ以上の能力が備わっていた。
装着を繰り返した人間は覚醒したままでも他人の夢の中に侵入でき、その意識下にほかの夢を植え付けることもできるという。
現実社会を悲観し夢の世界こそけして侵されない聖域と誇大妄想を抱いた黒幕の理事長はこのDCミニによる自身の世界への侵食を阻止して逆にこれを利用し夢の世界の支配を目論む。
現実世界では不可能でも夢の世界では支配者になれると考えたのだろうか。
原作は1993年から連載された小説。いま見ると他人の意識下に自分の夢を埋め込むとか、夢から醒めたと思ったらまだ夢の中だったとか、「インセプション」の元ネタに使われたのかも。
十代の頃にハマった筒井康隆作品。フロイトやユングの夢分析なんかは彼の小説で知ったくらい夢は彼の小説に度々モチーフとして使われていたように思う。
本作の原作は読んでないけど、とらわれたパプリカが皮膚の下に手を突っ込まれて身体をまさぐられるシーンは筒井氏のスラップスティック小説の一場面を思い出す。
今となっては「ザ・セル」とか「インセプション」みたいな他人の意識や夢に侵入するという作品が多く作られているが執筆された時期を考えるとやはり筒井氏の先見性には目を見張るものがある。
黒幕である理事長の口からはなにかと「支配」とか「テロ」なんて言葉が出てくる。テロを警戒する者、それはテロによって脅かされる体制の側の人間である。
テロの危険性を声高に叫びながら実は自分の野望のためにテロを起こしていたという矛盾。ありもしない他国からの侵略を警戒して戦争に突き進む為政者の姿を彷彿とさせる。
夢と現実の境界線が失われたようなクライマックス、DCミニの影響が大きくなって世界中の人々が覚醒したまま同じ夢を共有してしまったがために現実と夢が混在したような状況になったのだろうが、そうなる危険性をセリフでもいいから伏線として描いておいて欲しかった。
確かにアナフィラキシーで装置を装着しなくても敦子が夢の侵食を受けたというくだりはあったけど、世界中の人間までがいきなりそうなるのはちょっと飛躍しすぎでは。観客もあの展開にいまいちついてこれなかったのではないだろうか。
あと、敦子が理事長を夢ごと吸い込んで解決してしまうあたりもいまいちわからなかった。原作は読んでみようと思う。
映像はさすがに今監督作品だけに素晴らしい。筒井作品独特のシュールリアリスティックな世界観を表現するにはやはりアニメーションでなければ難しいだろう。実写化されたものは「時かけ」以外ろくなものがなかった気がする。
私の理解力が乏しいのか理解させようとそもそも監督が思ってないのか ...
私の理解力が乏しいのか理解させようとそもそも監督が思ってないのか
夢の中に入るとパプリカってヒーローになるってこと?
はあ?分からん
なんか殆どのキャラが鼻につくし愛嬌なし
かわるがわる繰り出されるシーンは色鮮やかで面白いけど
一生え?なに?が繰り返されるのである
上映当時に観るべきだった
ヒロインの画から何となく観なかったけど、高評価から原作、予備知識ナシで鑑賞。映像、音楽、声優どれも良かった!二役のギャップ(声優さんのおかげ)や細やかな仕草でヒロインが特に可愛かった。他の作品も観てみたい。
夢とは儚いのです。
~さよなら興行~「テアトル梅田を彩った映画たち」にてリバイバル上映。
存在は存じ上げておりましたが初鑑賞です。ずばりめっちゃ面白かった。と、言っても多分半分も理解できてないけど。日本が世界に誇る大人向けアニメーション。
他人の夢をスキャンしてその中に入り込むことで精神的な治療を行うセラピー機器DCミニ。しかしそれが何者かに盗まれ悪用されてしまう。現実世界と誰かの夢の中を縦横無尽に飛び回るパプリカ。ストーリーはかなり難解ですが、映像はさすがのクオリティ。色彩豊かで細かな描写、加えてちょっとグロい。あとパプリカがかわいい。
現実なのか夢なのか。その区別さえつかなくなってゆき、やがて正常な生活を送れなくなってしまう。どれだけ素敵な夢でも夢は夢。人の夢と書いて儚い。そういうことです。
難しいス!
とても難しい。
構造が何層にもなってて、
頭がぐちゃぐちゃになるんだけど、
それは今敏監督の意図のようにも思える。
君はどこまでついて来れますか?と問われてるよう。
なので、この作品はまずは映像美、構図、演出を
何も考えずに楽しむ事。まずはそこなのかな?と
思いました。
分かったふりもせず、分からないけどすごかった。
これで良いのかな?って感じです。
ただ、監督はパプリカを踏まえて千年女優を作られた
のかなとも思いました。
もっと分かりやすく誰にも分かるように、
だけど画面転換の演出はパプリカでやった事を。
そんな気がしました。
今敏監督の頭の中を少し覗けたような気もする
作品でした。
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