劇場公開日 2001年1月20日

「超絶LOVEな作品だが、当時の日本での扱いの酷さには落胆した」ギャラクシー・クエスト アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0超絶LOVEな作品だが、当時の日本での扱いの酷さには落胆した

2023年11月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

泣ける

笑える

興奮

『TMP』のレビューに書いたように、『TOS』のリアルタイム世代なので、アメリカのトレッキーには及ばずとしても『宇宙大作戦』愛は深い。
だから当時、この作品を知った時には“大画面での劇場観賞を期待”して心待ちにしたものだった。

しかし、その期待は裏切られ、公開の可能性すら危うく、結果的にはミニシアタークラスでの公開に留まった。

その扱いには余りにもショックが大き過ぎて、結局は劇場へ足が向くことなく見送ってしまった。

当時、こうした扱いの作品の殆どはビデオ化前提みたいなところがあって、間も無くソフト化されるであろう事も想像がついていたという事もあったので。

そして予想通りビデオ化されて間もなく、鑑賞を果たした。
そして、想像通りというよりも、想像よりも遥かにスケールも大きく、面白く、マジメに取り組んで制作された作品であった事を確認出来、大きな感動と満足、そして口惜しい気持ちが入り混じった、複雑な感情を覚える事となった。

本当に、配給会社の判断には疑問を覚えざるを得なかった。
宣伝次第では大ヒットしても良い、俳優陣も当時としても無名クラスなどでは無いし、笑いと感動も盛り込まれた良く考えられたストーリーと、それぞれが個性的で秀逸なキャラクター設定により、立派な大作SF映画として扱うことも可能な作品に仕上がっていたのに?

今となっては、この作品の後にこのメンバーの殆どは評価も上げて知名度も高まり、現在ではそれぞれが代表作(シリーズ)を持つに至っている面々である。
そうした事で、当時感じた腹立たしさや悔しさに対して、多少は溜飲が下がる気がした。

しかし、どうしてもっと早い時期に「続編」や「TVシリーズ」化が果たされなかったのか?、という事も不思議に思えた。
個人的には「きっと、いずれはそのような動きがあるだろう….」と踏んでいたが、その期待も裏切られた。
逆に考えたら、あの時期だったからこそ、あのようなメンバーが一度でも顔を揃えられたという事だけでも、ある意味奇跡的だったのかもしれない。

最近では、遅ればせながらサム・ロックウェル氏もすっかり存在感を強め、「モンク」のトニー・シャルーブ氏は近々同作の映画版とか、まだまだ活躍目覚ましい一方、「スネイプ教授」のアラン・リックマン氏が早逝されたりもあり、最早あのオリジナル・メンバーでの再結集は幻となってしまった事は悔やまれてならない。

因みにこの作品は、『スター・トレック』の出演陣からの称賛は勿論、2013 年には『スター・トレック』のファン投票で史上最高のスタートレック映画の7 番目に選ばれるという栄誉も受けているほど。
批評サイトのロッテン・トマトでも、129 人の批評家レビューのうち の90% が肯定的、平均評価は 7.3/10 となっているなど。

また、この作品の存在から影響を受け継いだ感がある作品として、2018年あたりから我が国でもHuluやDisney+で配信されたセス・マクファーレン製作・主演による『宇宙探査艦オーヴィル』というSFコメディドラマシリーズがあり、現時点でシーズン3まで製作・配信されている。
本家の『スター・トレック』シリーズと見紛うほどのスケールとクオリティには驚かされた。
SFコメディドラマというカテゴリーを謳いながらも、その範囲に囚われない、テーマ性や社会性、文明批判などといった面も持ち合わせた優れたストーリーと、特に第3シーズンでは本格的な恐るべきスケールの宇宙艦バトルも展開し、その質の高さには脱帽させられる。

これもまた、我が国では殆ど知られることもなく、スルー状態なんだろうなと.....
つくづく、他人の評価に左右される感のある我が国の事情では、こうしたコメディものなんかは特にダメってこと感じざるを得ない。

本作のその後の動きとしては、2008 年 8 月と2015 年 1 月からの2シリーズにて、アメコミによる映画版の『ギャラクシー クエスト』の続編が描かれている。
最近、リブート的なTVシリーズ企画が持ち上がっているとの情報も伝わってきているので、今後もまだ希望は残されているかな(?)。

いつの日か我が国でも本作がもっと正しく(海外のように)再評価され、午前10時の映画祭などでスクリーンでの再鑑賞が果たされる日が来る事を願って。

アンディ・ロビンソン