劇場公開日 2023年4月29日

「これこそ映画だ!」はなればなれに(1964) 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5これこそ映画だ!

2023年6月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この映画には、原作も脚本もあったに違いないが、かなりの部分まで即興で撮られたのだろう。圧巻は、アンナ・カリーナの演技。最初は憂鬱そうだった。その時の彼女の心の状態を反映していると思われる。それが、小津の映画との一番、大きな違い。
しかし、深夜のカフェのダンスで一変する。可憐なアンナ!動き出しの瞬発力(加速度)が素晴らしい。残念ながら、わが同胞との違いがここにある。しかも体が動くと気分も活発になる。有名なルーブル美術館のシーン。私が何より好きなのは、買い物に行くと叔母に偽って家を出て、小道を走り、セーヌの支流に設置されているボートを伝って川を渡るところ。かっこいい車と犯罪も、主人公たちの動きの下地となる道具か。ただ、叔母の家に、仲間と押し込むところから、また表情が曇るところは、残念。ゴダールとの仲が影響しているのかも知れない。
ヌーベルヴァーグの雰囲気もあちこちに。男友達の一人の名は、アルチュール。途中で出てくるのは、ルイ・アラゴンの詩。ミッシェル・ルグランの音楽には「シェルブールの雨傘」の一節も聞こえる。ゴダールのナレーションもよい。この映画の続編が「気狂いピエロ」であることを教えてくれる。
それにしても、邦題は何とかならなかったのか。原題はbande à part, 英語のタイトルは、band of outsiders, もし私が訳すのなら「はずれ者たち」か。

詠み人知らず