劇場公開日 2003年5月3日

X-MEN2 : インタビュー

2003年5月9日更新

人気シリーズ第2弾の新キャラ、青い肌に尖った尻尾を持つ異形のミュータント、ナイト・クロウラーを演じるのは、英国出身のアラン・カミング。この人は、実はこんなエンターテインメント大作に出なくてもよさそうな超個性派俳優。俳優になる前に編集者も経験してて、シリアスな舞台も多数、すでに監督業にも乗り出している。しかし彼がハリウッドで演じる役は、なぜかイロモノ系。それにはこんな理由があった。(聞き手:若林ゆり

アラン・カミング来日インタビュー
「だって僕自身、もともとヘンなやつだし(笑)」

ナイト・クロウラー
ナイト・クロウラー

「サークル・オブ・フレンズ」ではヘビのようなストーカー男、「007/ゴールデンアイ」はロシアのコンピュータおたく、「フリントストーン2/ビバ・ロックベガス」では緑色のミニミニ2等身宇宙人、「プランケット&マクレーン」は白塗りのおかま貴族、「タイタス」ではバカ殿な皇帝、「スパイキッズ」ではド派手な子供番組のホストのくせにワル……。このキャリアを、誰が真似できようか。「ヘン」な役ならもってこい。アラン・カミングは、その濃すぎる存在自体がビザールなオーラを放つ超個性派(別名・イロモノ系)。そんな彼が「X-MEN2」では全身真っ青のミュータント、ナイト・クロウラーに扮して本領発揮だ!

「ナイト・クロウラーに惹かれたのは、その二重性だよ。見かけは人を怖がらせるすごい容姿だし、冒頭では大暴れ。でもその実、中身はすごく気弱でやさしくて傷つきやすく、いろいろなものを背負っているんだということがだんだんわかってくる。たとえば彼の全身に刻まれてるタトゥーが、それをよく表している。あれは大天使ガブリエルが、人間がひとつ罪を犯すごとに傷を刻んでいくっていう聖書の描写がもと。彼の全身がタトゥーだらけなのは、彼が自分でそれだけの罪を犯したと思い込んでいるからなんだ。彼の興味深い過去やストームとの関係は、3作目でもっと深く描かれたらいいな」

役は愛しているものの、あのブルーのメイクには、気分もブルーになってしまったとか。

「特殊メイクは経験があったから、甘く見てた。4時間もかかるし痛いし目は見えないし、うんざりさ。でも、まだミスティークのほうがもっとたいへんだと思えたのが、精神衛生上よかった(笑)」

これまでも強烈な役柄が多かった彼。脚本の描写以上に、自分で膨らませているのでは?

来日時のアラン・カミング ナイト・クロウラーのフィギュアをもらって大喜び
来日時のアラン・カミング ナイト・クロウラーのフィギュアをもらって大喜び

「役者がキャラクターを演じる時って、その役者自身の持ってるものが出てくるのは当たり前だよね。それに、僕の演じてきた変わった人の役って決まり切ったタイプじゃないだけに、いくらでも広げられる可能性を持ってるんだよ。それで、やってるうちにどんどん広がっちゃうっていうのもあるね。だって僕自身、もともとヘンなやつだし(笑)。そうやって膨らませていくのは快感だね。僕は他人の演じた役を見て『自分がやりたかった』って思ったことはないんだ」

彼が役者になったのは、スコットランドで子供の頃にした「一人遊び」が始まりだったという。

「田舎のシャイな子供だった僕は、空想癖があってね。よく森で愛犬と一緒に、お話を作って遊んでた。そして、初めて他人からほめられたのが、高校での演劇だったんだ。役者になりたいと思ったのはスターになりたいとかってことじゃなくて、他人になりきることで自分から逃避したり、子供が夢中になって遊ぶ、その『遊び』の楽しさと同じものを感じたから。いまでもそれは変わらないよ。演技をそういうふうに『遊び』としてとらえたのが出発点だったのは、自分でもよかったと思ってるんだ」

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