劇場公開日 2007年3月27日

恋愛適齢期 : インタビュー

2004年3月23日更新

ジャック・ニコルソンとダイアン・キートン、ベテラン名優の共演で魅せるラブコメ「恋愛適齢期」。いろんな映画に出演してきた2人だが、実は2人ともこの映画が大のお気に入り。なぜかというと……。

ジャック・ニコルソン インタビュー

「ロマンチック・コメディっていうのは、ドレスでいえばシンプルな黒いドレスさ」  大久保賢一

ジャック・ニコルソン
ジャック・ニコルソン

部屋に入ってきたジャック・ニコルソンはマルボロとライターをテーブルに置いて「灰皿ちょうだい」。まず一服。ミッソーニと見えるニットがよく似合う。腹はちょっと出ているが。

ナンシー・メイヤーズ監督「恋愛適齢期」は、ジャック・ニコルソンとダイアン・キートンという最高の役者が顔を合わせるコメディだ。ニコルソン扮するハリーは63歳だが30歳以下の美女とだけつきあうプレイボーイ。彼がつきあっている女の子の母親で、離婚して独身の人気劇作家エリカがキートンの役。エリカが持つ海辺の別荘で彼らが鉢合わせ、ハリーが突然心臓発作で倒れ、エリカがいやいやながら彼の面倒を見ることになる。

キアヌー・リーブス扮する若い医者のエリカへの一目惚れもあって、ハリーとエリカの感情は微妙に変化していくことになる。

若い女性とつきあってばかりのハリーだったが…
若い女性とつきあってばかりのハリーだったが…

「ナンシーの書いた脚本は、その微妙なところがすごくうまい。それに展開がシンプルなところもいいね。この両方を兼ね備えている脚本はなかなかない。今までいろんな役をやってきた。探偵も大統領も狼男もやったが、シンプルなコメディっていうのはなかった。ロマンチック・コメディっていうのは、ドレスでいえば着こなすのが一番難しいシンプルな黒いドレス。うまくスタイルが作れたら最高に格好いいものなんだ」

前半はドタバタもあり、そして後半は互いの距離の微妙な変化が丹念に描かれる。

「心臓発作で倒れる場面からしばらくは、まるで浜に打ち上げられた鯨みたいに仰向けで、ハリーは初めて自分の年も自覚するし、みっともなさも意識する。笑いの底にシリアスなラインがある。ハリーのエリカへの感情の変化は彼にとって新鮮な、素晴らしい体験なんだ」

バイアグラに関するギャグなど笑いの要素は多い。ニコルソンが病院の場面でお尻も見せるのも愉快だ。

心臓発作に倒れて病院へ
心臓発作に倒れて病院へ

「平気だよ。自分で夢中になるほど美しくはないけどね。(ダイアン・キートンも一瞬、美しい裸を見せるが)ダイアンだって平気さ。彼女は(60年代に)『ヘアー』の初演でヌードになってるしね。妙に隠したりするのがおかしい。これは僕が監督した『Drive, He Said』(71)のときから変わらない考えだ」

このインタビューをしたベルリン映画祭では、67年から76年までの“ニュー・ハリウッド”の映画を特集、「Drive, He Said」に加えて、ニコルソンの主演作6本も上映されていた。77年の「スター・ウォーズ」以前、CG全盛以前のドラマの時代だ。

「いろんな映画がなきゃいけない。以前は外国映画だってたくさんアメリカで公開されてた。トリュフォーも黒澤もカール・ドライヤーの作品も見られた。たとえば今なら『シティ・オブ・ゴッド』なんかもっと見られるべきなんだ。俺の出た『アバウト・シュミット』もね」

インタビュー2 ~ダイアン・キートン インタビュー
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