劇場公開日 2002年3月2日

モンスターズ・インク : 特集

2002年3月5日更新

「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」に共通するやけに明るく輝かしい世界像は、このスタジオの空気のせいにちがいない! そんな気になる、出来たばかりの新社屋の潜入リポをお届けしよう。ピクサー映画の秘密は、職場環境にあり!?

ピクサースタジオに潜入!

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セキュリティゲートをくぐると、そこはまるで大学のキャンパスだった。広大な敷地は緑で溢れ、ジョギングコースやサッカー場がある。その中央にあるレンガ作りの建物――まるで大学の校舎だ――こそ、噂のピクサー新社屋である。「トイ・ストーリー」でフルCGの長編アニメを生み出したピクサーは、それ以降も「トイ・ストーリー2」「バグズ・ライフ」とヒット作を連発。いつのまにサンフランシスコ郊外にこんな大帝国を築いていた。

まずその大きさに驚かされる。吹き抜けになったカフェテリアは体育館並の広さがあり、試写室も「映画館」といったほうがいいほどでかい。木製フレームのシートは椅子というよりソファーで、まるでだれかの家のリビングルームで映画を観るような感覚である。しかし、家庭的なのはその表面だけで、実はこの試写室ほどハイテクを駆使したところもない。何しろまだ全米に数十台しかないデジタル映写機と、最高のサウンドシステムを完備しているのだから。ここで最新作「モンスターズ・インク」の上映が行われたのだが、1ピクセルまで見えそうなぐらいクリアな映像と、針の落ちる音まで聞こえそうな音響システムのおかげで、それはものすごい映画体験だった。最新鋭のテクノロジーを駆使しながらも人間味あるアニメを作る、ピクサーの個性が出た試写室だった。

ピクサーの社員は現在600人程度で、会計や事務などを除いて、クリエイティブな業務に従事しているのは、その約半数だと言われている。さすがアニメ好きだらけなので、自分の部屋をキャラクタグッズで飾るスタッフが多い。なかには「千と千尋の神隠し」の人形を持っている人もいた。若者が多いせいか、会社全体が大学寮のような雰囲気である(ちなみに若者の服装はTシャツ、おじさんはアロハシャツが多い)。

ピクサーの魅力は何かと聞くと、みな口を揃えて「常に一番いいアイデアを採用する」という企業ルールだという。年齢や立場に関係なく発言ができ、それがいいものであれば、つぎつぎと作品に取り入れられていく。そして、ひとつのアイデアがまた別のアイデアを触発し、よりクオリティの高い映画が作られていくというシステムなのだ。作業はそれぞれの個室で行われているが、共同で仕事をしているという一体感を味わえるというのである。たしかに社員を見ると、好きな仕事を楽しんでやっているという感じが伝わってくる。例の試写室を使って定期上映会があり(予定表には「パール・ハーバー」や「未知との遭遇」があった)、ホッケーゲームなどがある娯楽室もあり、あまりに居心地がいいので、自宅に帰らない社員もいるそうである。

さて、新社屋に引っ越したピクサーの次なる目標は、量産体制の確立だ。これまで1本のアニメに3~5年の年月をかけていたが、いずれは毎年1作公開できるようにしていきたいという。そのためには、数本を同時進行で進めていく。「モンスターズ・インク」の監督をジョン・ラセターが退いたのも若手監督の育成を目指してのことだという。

現在ピクサーはディズニーとパートナー関係にあるが、ディズニーに対して不満を持っていると言われている。ディズニーとの契約である5作品を完成させたあと(「モンスターズ・インク」は契約第2作目)は、別のスタジオと提携する可能性もある。生産を急いでいるのも、もしかして契約を早く終わらせたいからだったりして。

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