劇場公開日 2002年12月7日

「「ブレードランナー」とは異なり、原作本を読みたいとの気持ちまでには…」マイノリティ・リポート KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「ブレードランナー」とは異なり、原作本を読みたいとの気持ちまでには…

2024年3月28日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

各映画祭でも、
またキネマ旬報ベストテンでも
高い評価は受けなかった作品だが、
なにせ監督がスピルバーグで、
原作が「ブレードランナー
(アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)」の
フィリップ・K・ディックということで
鑑賞してみた。

この作品、
ひとつはマイノリティーへの理解や大切さ、
また、
技術(ここでは予知夢で犯罪防止という、
セキュリティに関してのシステムだったが
荒唐無稽過ぎて技術と言えるかどうか?)の
発展は人類に幸福をもたらすだろうか、
との問い掛けもあるのだろうとは思う。
ラストシーンで、予知システムは廃止となり
手間の掛かる体制に戻した。
暗に、時には非効率な体制の方が、
より良い社会を構築すると
言っているようだ。

また、映画「オッペンハイマー」のように、
この作品でも、新しい科学技術は
世界を危機的状況に導く可能性に
警鐘を鳴らしているようにも。

しかし、映画としての出来としては、
主人公が逃亡を図るシーン等々で
特撮をアピールしたかったのか
やたら冗長感がある一方、
肝心の核心部分への集約性が
弱くなっているようで残念だった。

同じ原作者による「ブレードランナー」は、
アンドロイドのリーダーが
己の命が尽きると知って
自分たちを追い詰める人間の捜査官を助ける
という命の大切さを謳う内容に、
(そう言う意味では、
主人公がアンドロイドだと解釈して
ユニコーンの夢を見るシーンを加えた
リドリー・スコット監督の
ディレクターズ・カット版は好きではなく、
原題のように、人間が羊の夢を見るように
アンドロイドが電気羊の夢を見たとする、
虐げられたアンドロイドが人間の命を助ける
という構図こそがこのドラマの核心で
あるはずだから、
私は最初の劇場公開版を好きだ)
是非、原作を読みたいと思わせられ
一読したが、
この映画ではそんな気持ちに
させてもらえなかったのは大変残念だった。

KENZO一級建築士事務所