ディパーテッドのレビュー・感想・評価
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オリジナルを知らない
とても楽しめました。
オリジナルの「インファナル・アフェア」を見ていないので、なんとも言えませんが、一本の映画として見ても、十分の出来栄えで、豪華キャストがそれぞれの役に忠実に演じていたと思います。
こうなったら、オリジナルも見てみるべきでしょうが、なぜか香港ノワール系の作品は食指が伸びません。食わず嫌いです。
どのくらいオリジナルに忠実なのかわかりませんが、まんま同じなんであれば、すごいストーリーを考えたなと思います。
改変してあるのであれば、それはいい方に作用しているんではないかと思います。
特に後半の畳み掛ける展開から、2転3転するストーリーが素晴らしいと思います。
2014.6.17
「ヤクザの幹部、実は潜入捜査官」「エリート警察官、実はヤクザの潜入員」
とれあえずレオナルド・ディカプリオが汚れ役に挑戦して俳優としてのステップアップを狙うという趣旨は理解出来た。オーランド・ブルームかジョニー・デップが相方だったらビジュアルだけで盛り上がったに違いない。とりあえずオリジナルが見たくなったという意味で贔屓目の二つ星。
オリジナルはイケメン俳優のアンディー・ラウが警察のスパイ役なので、 ハリウッド版はレオナルド・ディカプリオがアンディー・ラウの役かと思った。 でも裏話でブラッド・ピットが当初の予定という話を聞き、 本当の主役はマット・デイモンだと分かった。 まあ、マット・デイモンだったら見ないだろうなあ・・・。 オーランド・ブルームかジョニー・デップあたりを起用して、 日本風にイケメン対決だったらもっと盛り上がっただろう。 それはともかく、まず最後にレオナルド・ディカプリオがスパイに撃たれて殉職という設定は有り得ないだろう。 過酷な潜入捜査を終えた御褒美が殉職では救われない。 しかも最後に笑うのがマット・デイモンかと思いきや、 レオナルド・ディカプリオの上司に撃たれて死亡。 ・・・これってどうなんだろう・・・。 オリジナルが香港映画だからあえて毒を強くしたのかは不明だが、 正直言って救われないし典型的なバッドエンドだと思う。
ちなみに日本でもTBS系ドラマ『ダブルフェイス』がOAされた(BS放送局のWOWOWと民放地上波放送局のTBSの本格的なコラボレーションは初の試み)。
難しかった
ちょっと長かった印象。
香港版は未視聴。
豪華キャストで驚き、
ブラピも制作に携わってたけど、
出演してなかったみたい。
あんなに携帯使っていたら、バレると
思いつつ、ハラハラしながら観ていました。
最後、何で身バレしたのか、わからなかった
凝ったストーリーのギャング映画としては十分に楽しめたのだが、マーティン・スコセッシ監督作としては少々物足りない
マーティン・スコセッシ監督による2006年製作の米国映画。
原題The Departed、配給ワーナー・ブラザース映画。
ディカプリオ、デイモン、ニコルソン主演の3人とヒロインベラ・ファーミガがとても良く、凝ったストーリーのギャング映画としては十分に楽しめた。
ただ、あの「タクシー・ドライバー」や「沈黙」を造ったマーティン・スコセッシ監督作としては、かなり物足りないところは有る。エリート警官でありながらギャング・ニコルソンに忠実なマット・デイモンの心の謎が、ファミリー意識の様でもあるが、こちらに伝わってこなかったし、警官とギャングの二人と付き合うヒロインの心情も良く分からなかった。ボストンの街も、あまり魅力的に見えなかった。
製作マーティン・スコセッシ、ブラッド・ピット、ブラッド・グレイ グレアム・キング、製作総指揮ロイ・リー、ダグ・デイビソン G・マック・ブラウン、クリスティン・ホーン ジャンニ・ヌナリ。原案フェリックス・チョン、アラン・マック、脚本ウィリアム・モナハン。撮影ミヒャエル・バルハウス、美術クリスティー・ジー、編集セルマ・スクーンメイカー、衣装サンディ・パウエル、音楽ハワード・ショア。
レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ、マーティン・シーン、レイ・ウィンストン、ベラ・ファーミガ、アレック・ボールドウィン、アンソニー・アンダーソン。
自分を取り戻す
以前から、
何故このタイトルなのか、
とずっと考えていた。
departed
劇中の字幕では、
「死者」と訳されていたが、
そもそもが、
「出発する」の過去形。
「出発しました」
肉体から魂が離れていって、
その亡骸は過去形になる、
のかな❓
うわ、ちょっとカッコえー事言った😜
確かに、すごく人が死ぬ作品だが、
その死者を指してる訳じゃない。
サリバンとコスティガン。
本望な職とは真逆の役目を、
自分を殺しながら黙々と務める。
ラスト間際にコスティガンが叫ぶ。
「本当のオレを返せ‼️💢」
ちょっと違うな😅
彼らはずっと、
魂を置いてきた「死者」として
働いていたんだなあ🤔
Jニコルソンはホント良かったが、
コステロが何したいのか、
よく分からなかった。
「インファナルアフェア」
また観たくなる。
原作は越えられなかった
監督スコセッシ、出演がニコルソン、ディカプリオ、マット・デイモンだけでも充分豪華だが、そこにウォールバーグ、マーティン・シーン、ボールドウィンが脇を固めるという贅沢すぎるキャスト。
原作の「インファナル・アフェア」を見た時の衝撃は忘れられないが、内容を知っている上で見てもちょっと迫力不足だと感じた。
もうちょっとニコルソンを完全悪にしても良かったかなぁと。
うーーーん。無限地獄の方が好きかな
どうだろう。
2部作くらいにした方が良かったんじゃないか…
と思うくらい、主演2人それぞれの葛藤が薄い。
リメイク元インファナルアフェアの
トニーレオンとアンディラウが上って事になるのか
制作側が良くないのか…
普通に観ればそこそこ面白いのかもしれないが
元が名作なだけにもったいない…
インファナルアフェアの方が
もっとアンディラウのことがムカつくし
トニーレオンが辛そうで辛そうで…
ちなみにインファナルアフェアのコステロとクイーナン警部役がめちゃくちゃいいので
やっぱりリメイク元の方が良い
ジャックニコルソンはさすがだったけど。
Who are you ?
犯罪組織のボス、コステロをジャック・ニコルソンが本作でも怪演。
特別捜査班( SIU )に配属されるエリート警察官コリン・サリバンをマット・ディモン、成績トップで警察学校を卒業した警察官ビリー・コスティガンをレオナルド・ディカプリオが演じる。
よく練られた脚本、緊張感の続く展開、鍵となる台詞の数々、キャスト陣の巧みな演技にラスト迄目が離せなかった。
魅力的な精神分析医マドリン( ヴェラ・ファーミガ )のその後の人生は…、子の父親とは…。
ークランベリー・ジュース
自宅での鑑賞 ( 字幕版 )
「インファナル・アフェア」のハリウッドリメイク。 ディカプリオにマ...
「インファナル・アフェア」のハリウッドリメイク。
ディカプリオにマット・デイモン、そしてジャック・ニコルソンの強烈な布陣。
オープニングから「ギミーシェルター」で、さすがスコセッシなスタートです。
始まってみると、完全にいつものスコセッシギャングムービー。
しかしこの密度が良いんですよね。
皆の芝居をじっくりと映し、その緊張感が心地良いです。
証拠となる「聞いてみろ」の録音メディアには、「エグザイル」のジャケット。オープニングと繋がる何とも憎い演出でした。
オーディオの件は、こちらではなんとMacintoshです。資本が違いますね。
あくまで二人の因縁に終始したオリジナルとは少し変化させた、因果応報のようなスコセッシならではのアレンジが冴えていました。
これはもうアメリカの作品でしょう、お見事でした。
ハラハラドキドキ
警察とマフィアの両方にスパイが。
そして、最後は殺し合いでみんな死んじゃうのね。。。
えー?マットディロンだけが生き残る設定って。。。?
セラピーに渡した、封筒はどうなったの?
おもしろかった!
マフィアに潜入する警官(ディカプリオ)、警官に潜入するマフィア(マット・デイモン)、それぞれの駆け引きが最後まで中弛みすることなく楽しめました。
クイーナンの死から一気に進んでいき、最後はビリーの勝利で幕を閉じるだろうなーと思っていたところまさかの急な退場
まさかバッドエンドでコリンの勝利かーと思っていたら、最後の最後でディグナム再登場でもってくという…
スリル満点で最高でした
【心理的なハラハラがすごい。オチ以外は好き】
・2006年公開のアメリカのクライムサスペンス映画。
・香港映画「インファナル・アフェア」を巨匠マーティン・スコセッシ監督がリメイクした作品のようです。
・とあるギャング組織から刑事として警察へ潜入したコリン(マット・デイモンさん)、刑事となったがいきなりとあるギャング組織へ潜入捜査を命じられ同僚にも誰にも知られずにギャングに潜入するビリー(レオナルド・ディカプリオさん)。入れ替わった2人は、それぞれの場所でスパイ活動を行う。その中で、警察にもギャングにも「ネズミが侵入しているが誰だかが特定できない」状況となり、それを暴かれないように一報を暴こうと奔走する2人 という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・設定が面白い
・終始、心理的ハラハラ
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
[物語]
・ビリー(レオナルド・ディカプリオさん)を中心に物語が進みます。彼のピンチ=心理的なハラハラが物語の見どころ。コリン(マット・デイモンさん)は珍しく悪役設定でした。とにかく、ビリーが自分の正体を悟られずにどうやって「ネズミ」を見つけていくのかをひたすら追ってしまいます。その過程は非常に面白く、何気なく鑑賞し始めても、気になって一気見してしまいますね。
・ただ、私個人的には終わり方だけが納得いかないと言いますか、好きではなかったです。確かに、ある意味爽快なんですが、ちゃぶ台をひっくり返されたような気持ちになってしまいました笑 とはいえ、一鑑の価値ある面白い物語だと思います。これを観ると、原作となった「インファナル・アフェア」を観たくなってしまいました。
[演出]
・引きの画で壮大なドンチャカなどはありません。物語をしっかり魅せてくれるバストショットが多いカット割りで、操作室の密着感やギャング組織の秘密裏感などが際立ってきます。しっかりした「ドラマ」を観れた印象です。
[映像]
・ギャングが題材ですが、非常に綺麗な街並みやマンションなど、ダーク一色ではない映像でした。荒廃した裏路地ばかりの映像だと、どこか違和感やモノ寂しさを覚えるので、非常にバランスの取れた映像作品だと思いました。
[音楽]
・際立って感じたことはありません。
[演技・配役]
・レオナルド・ディカプリオさん、マット・デイモンさん、ジャック・ニコルソンさん、マーク・ウォルバーグさん…とにかく豪華。笑 普段見るものとはちょっと異なる独特な役柄なところも好きでした。特に、マーク・ウォルバークさん演じるディグナム巡査部長はしびれました!ので、もう少し物語に登場させてほしかったなぁと欲ばりな気持ちになりました。
[全体]
・この映画は結果を知ってももう一度観てみようかなぁ、と思えました。ラストのオチだけは納得できませんが、それまでのサスペンスが非常に面白いからですね。ドンチャカはないので、エンタメ×アトラクション映画ではないですが、サスペンス×ドラマ映画として複数観したくなる作品だと思います。ありがとうございました。
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#全体3.5 #物語3.7 #演出3.5 #演技3.7 #配役3.6 #映像3.5 #音楽3.4
黄金色のドームを持ち、燦然と輝いているマサチューセッツ州議会議事堂をサリバンは見つめるその意味は深い
ディパーテッド
タイトルの英語の意味は単に「死人」
映画の内容からすると、日本語の「死人に口無し」ぐらいの意味でつけられたらタイトルだと思う
そのような会話のやり取りやシーンが多い
内通者が誰だか分からない時はどうするか?
コステロは、その時は部下をみんな殺すのさというのだ
大元の筋は香港映画のままだが、ボストンの南側アイルランド系住民街サウスシーを舞台にしている
調べてみると、コステロなどの本作のエピソードの多くはボストンのその地域で実在した人物や実際にあった事件や出来事をモチーフにしてあるという
ギャングとFBIとの癒着まで実話だという
劇中何度も写る美しい黄金色のドームを持つ建物
あれはマサチューセッツ州議会議事堂
コステロに相当する70年代から80年代に実在した人物の兄弟が上院議員だからだ
その兄弟は暗黒街と、政治の両方のトップとしてボストンに君臨していたのだ
だからあのシーンをみた米国の観客はもちろんそれを認識して、スクリーンに写る美しい議事堂に込められた意味を分かって見ている
自由と民主主義の殿堂であるはずの議事堂
そもそもマサチューセッツ州は、メイフラワー号が到着したところ
合衆国の始まりの土地
その州議会議事堂なのだ
だからこそ黄金色のドームを持ち、燦然と輝いているのだ
しかし、そこの主がギャングの兄弟の片割れなのだ
天を仰ぐような、果てしない絶望だ
マット・デイモンが演じる、サリバン刑事はギャング側が州警察に送り込んだスパイだ
彼が住まう広いアパートから議事堂が見える
彼はその議事堂を見つめるのだ
どこまでも伸びる暗黒街の手の長さ
逃れようがない絶望がそうさせたシーンなのだと思う
前半は設定と人物紹介に当てられているが、いささか長い
そのためシーンの切り替えを早いテンポでどんどん切り替える工夫を入れているのだが、それでも若干ダレれるし疲れる
しかし、佳境に入った後半は俄然スコセッシの実力が炸裂している
これほど興奮し心臓がバクバクする緊迫感を味わった映画も久しぶりだ
クライマックスの顛末は正に「ディパーテッド」
死人に口無しそのそのものだった
レオナルド・ディカプリオは、州警察がギャング側に潜入させた秘密捜査官
レオナルド・ディカプリオ32歳、マット・デイモン36歳
ギャング映画の世界は、アンタッチャブルのように戦前の話、イタリアマフィアのゴッドファーザーの世界は70年代ぐらいまでの話
21世紀の現代ではもはや過去の話
過ぎ去った時代の神話のはずだった
それがこの二人ように若い世代でも繰り返されている
それもより深刻に
その絶望で映画は終わるのだ
サリバンの子供を身ごもった、精神科医のマドリンだけがただ一人真実を知ったまま生きている
そのことにサリバンは気がついてエンドマークとなる
ディパーテッド
死人に口無し
マドリンの運命が暗示されている
強烈な印象が残る映画だ
メインキャスト達の素晴らしい演技を味わう作品。
オリジナルは未鑑賞で予備知識無し。最初から最後まで、いつバレるかの緊張感にハラハラドキドキの2時間。そして、殺されそうで殺されないネズミとしての恐怖、心の葛藤と精神的な疲弊を見事に表現。
レオナルド・ディカプリオの迫真の演技が最高。精神的に病んでいくところや、救いを求める純粋さ、人の表の顔と裏の心の表現が素晴らしかった。
ジャック・ニコルソン、名前は知っているがちゃんと演技を観たのは初めてかも知れない。底知れない恐怖感を纏ったマフィアのボス、渋くて格好良い演技に観入ってしまった。
マット・デイモンは、、、まぁ、いつも通りか笑
警察官➡︎マフィア(潜入捜査) vs マフィア➡︎警察官(情報漏洩)。お互いに顔を知らないまま進むストーリーはありがちと言えばありがちだが、素晴らしい演技が素晴らしい作品へと昇華してくれる。
気になる伏線の未回収、細かい設定の説明不足もあり、スッキリしない所もチラホラ。いきなりの急展開、結末に衝撃を受けた。もう少し後日譚も観せて欲しかった。
どっかの原作をマーティン・スコセッシがリメイクした作品。アクション...
どっかの原作をマーティン・スコセッシがリメイクした作品。アクション少なめのサスペンスという僕的には好きなジャンルの映画。その上で無駄なシーンが少なく、ご都合主義に話が進まなかったため面白かった。
また、初代ジョーカーで衝撃を受けたジャック・ニコルソンと、個人的に好きな賢さの裏にどこか葛藤を持つような魅力的な演技をするマット・デイモン、あとはディカプリオという名キャストによる作品という所も興奮した。
冒頭のシーンで語られた、ジャックの1分程のスピーチがこの作品の全てだと思う。
誰も与えない。我は服従せず。自分で奪う。
レビューにはマット・デイモンはだんだん頭がいかれてしまっただのなんだのあるが、彼はジャックのこの教訓を見事自分のものにした。
最初のシーンであったがマット・デイモンは学校で議事会を見つめていた。他にも議事会の隣に住んだりしたことから、議員になることが彼の野望だと言える。
最初は自分を育ててくれたことに感謝していたため、その夢との葛藤が描かれていたが、ラストの方で彼がジャックはFBIにスパイを売ることで実はFBIと繋がっていたということを知った。それでマット・デイモンがいなくても捕まらないのは納得。そこで彼は、今まで可愛がってくれていたジャックは、忠実な駒を手に入れるために自分を道具として育てたんだと理解する。途中でもジャックは嫌な匂いがしたら、手下は全員殺すと言っていた。自分の身が危ないと悟ったマット・デイモンは、ジャックを検挙することで昇進することを一石二鳥と考え、嵌めて殺した。そう考えると付き合ってる医者も結婚しているという事実にくわえその妻が医者という信頼感を得るために道具として利用したとも考えられる。その後も上手く立ち回り順調に高い地位を手に入れた。
しかしディカプリオが残した手紙を元に妻は巡査部長に連絡しマット・デイモンも最期を遂げたと思われる。
ずる賢く、自分で奪う道に生きるマット・デイモンとジャック・ニコルソンも、途中サブのサブキャラがボソッとこぼした【驕る者久しからず⠀】が体現された。ディパーテッドという題目が語るのはただ、メインの登場人物がほとんど死ぬだけでそこにメッセージ性はないと思う。
伏線も含めて最初から最後までしっかりした因と果があって見応えがあった。役名は忘れたので一通り俳優名で書いた。
信頼と欺瞞に揺れる人物の描き方が見事。
〇作品全体
登場人物の多くが終始信頼と欺瞞の渦の中で苦悩する。欺瞞のカードを手元に置きながら信頼を求める姿の緊張感と、ほのかに漂うバッドエンドの匂いが燻る空気が作品を覆っていて、独特な作品だった。
信頼を求める各登場人物の姿が本当に印象的だ。コリンとビリーのフランクへの信頼を求める心は同じであっただろうが、同じアイルランド系という同胞としての信頼の要求と、職務と崖っぷちの必死さからくる信頼の要求、という相反する感情が根底にあるのが面白い。しかし手元にはしっかりと欺瞞の感情を隠している。だからこそ関係性は簡単に瓦解するし、機能不全を起こす。
結末のあっけなさには驚かされたが、作中でも度々口にする「ネズミ」という欺瞞が軒下で柱をかじり続けた結果、大きな代償を払うことになった…と考えれば当然の結末ともいえる。
スコセッシ監督の作品は、なにかが欠けた人物の描写が上手い。『タクシードライバー』では社会との関係性の欠如を、『グッドフェローズ』や『ウルフオブウォールストリート』では自制心の欠如があって登場人物を魅力的に描いていた。
本作も俯瞰してしまえば滑稽にも見える相反する感情の渦がある。でも、それだからこそ、登場人物は魅力的になるのだ。
〇カメラワーク
・アイリスイン、アイリスアウトの使い方がそこ!?って感じで驚いた。初めて州警察本部へやってくるコリンのカットでアイリスイン、警察内のネズミを探すために事務室で孤立するコリンのカットでアイリスアウト。アイルランド系のコミュニティで過ごしてきたコリンの世界を一気に開かせるアイリスイン、一方で孤独感とコリンの世界の狭さを強調させるアイリスアウト。正直ギャグっぽい。
・スコセッシ映画で好きな要素として、トリッキーなアクションカットでシーンを繋げるところがある。神父とシスターが登場した後、キリストの肖像画を映してそれを寝ている人物に叩きつけるところか。オペラで白い羽を散らすカットとヤクを贅沢にばらまくフランクをオーバーラップで繋げてたり。クスっと笑ってしまうアイデアなんだけど、カット割りのテンポ感が心地いい。
・ラストカット、窓の向こうに議会議事堂とネズミ。ネズミは正直語りすぎでは…と思わなくない。アニメだと結構見る演出だけど、アニメで馴染むのは実写とアニメの、噓の許容範囲の差だろうな、と思ったりした。窓から見えるところまで近づいた議会議事堂だが、ネズミ(嘘つき)にとっては遠すぎる…というようなニュアンスもあるか。
〇その他
・最近『ボーンシリーズ』と『ローンサバイバー』を見たからマット・デイモンとマーク・ウォールバーグが出てきてびっくり。マーク・ウォールバーグのアンチヒーローっぽい芝居がとても良かった。軽い性格なようで嫌味ったらしく賢しく暴れ馬…なんとなく『アウトレイジ』の椎名桔平を思いだした。
・コリンが欺瞞を腹に抱えた代償として夜の機能不全を起こしてるのが面白いアイデアだなあと思った。後ろめたさがあるから起たないっていう。州警察に最初来た時、ディグナムから股間も立てろみたいなしょーもない下ネタ言われたけど、ここに掛かってた。その前にクイーナンから手柄を立てろみたいなことを言われているから、手柄は立てるけど裏がある分、股間はキチンと立たない…みたいなニュアンスを勝手に感じた。
・率直に書くと、マドリンずるくない???って思った。欺瞞の渦中にいた人物たちは全員その償いをうける格好で死んでる。でもマドリンだってコリンを裏切ってビリーと過ち犯してるし、欺瞞の渦中にいたよな、と。いや、まあ人の生死とは関係ない(子供は本当にコリンの子か?という疑問はあるが)ところにあるし、きちんと関係性を断ってはいるけれど、コリンの言い分を一方的に遮断して、間接的にコリンへ引き金を引く立場か?と思ったりしてしまった。
コリンの欺瞞が暴かれた場面で「私のほうが汚れていると思った」って言うのもずるいよなあ。相手の汚さに、自分の汚さを隠してる。
簡単に言えば一人潔白面してるのが腑に落ちない。
感想書いてみて思ったけど、この作品、自分が一番書きたいのはマドリンのことだった。マドリンに引っ掛かりを覚えた、そんな2021年の自分に苦笑。今しか書けない感想かもな…。
緊張と緩和
最後までヒリヒリとした緊張感で張りつめた傑作。善人の面をした悪役のマット・デイモンと、悪人の面をした善人のディカプリオに、渋すぎるジャック・ニコルソンが映画に奥行きを与えている。スコセッシっぽくない映画といえばそれまでだが、徐々にバランスが崩れて破滅に向かっていく様がたまらなかった★
どこだったっけ?よかったの
あれ?と思った。以前観たとき印象がすごく良くて、見直したわけだが、どこだったっけ?よかったの、と自分の記憶に困惑してるみたいな感じ。
もちろん、それでも個人的に4で問題ない。どっちやねん、だがやっぱり映画としてちゃんとおもしろい。
今回の見直しで気になったのは、どっちも勘が悪すぎるだろ、ていうところ。そうじゃないと成立しないシナリオなんだけど、バレない確率のほうが低い設定だよなあ、と。いや、これはダメな見方だな、そんな映画ではない。。
この映画テンション上がるところは、やっぱりこのキャスティング。個人的にはどこを観ても最高の並びだと思う。また、それぞれがほんとかっこいい時期の作品。そこは、見直してさらに強く思ったかな。
まあ、おもしろかった、
後半になってようやくお互いがお互いを疑いだすような展開で、後半からは見入った。
でも最後はみーんなあっけないかんじでの幕切れ。
そこまで高い評価でもないしまた見るかというとそこまででもないけど、まあ、おもしろかったかな、と。
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