劇場公開日 2001年9月22日

コレリ大尉のマンドリン : インタビュー

2001年9月14日更新

ジョン・マッデン監督インタビュー
「観客の反応を考えるのは、一番最後だよ」

聞き手:森山京子

「恋におちたシェイクスピア」の大成功で、Aリスト監督になったジョン・マッデン。当然、監督依頼が山のように寄せられたが、その中からこの「コレリ大尉のマンドリン」を引き受けたのは、ちょっと変わった事情による。実は、この映画はマッデンの友人でもあるロジャー・ミッチェル(「ノッティングヒルの恋人」)が企画していたものなのだ。

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「プロデューサーのケビン・ローダーと一緒に何年もかけてデベロップして、ようやく実現の見通しが立ったところでロジャーが病気になってしまった。それで、僕に引き継いで欲しいと話が来たんだ。準備稿が出来ていたからまずそれを読んで、それから原作を読むという、とても普通じゃない経験をした。返事を待たせられないから、猛スピードで3回原作を読んで、OKしたんだ。ただし、僕と一緒にもう一度最初からやり直すつもりならって、条件をつけてね」

友人のピンチヒッターを引き受けたことからも察しがつくように、マッデン監督はとても穏やかで実直な感じの人。強烈なカリズマで人を引っ張っていくというより、相手に敬意を払ってその気にさせてしまうタイプの監督だ。さて、監督を引き受けたマッデンが最初にやった事は、物語の構成を変えたことだ。

「原作はとても複雑で特殊な語り口を持った本でね、いろんな人間の視点から物語が描写されるし、あちこちで脱線したり、ジャンプしたりする。映画では物語を進めて行く勢いが重要だけど、それがないんだ。例えばヒロインの2人の恋人であるマンドラス(クリスチャン・ベール)とコレリ(ケイジ)は、本の中では一度も会わないんだ。これは映画には不利だから、三角関係の恋愛になるように構成をやりかえたわけなんだ」

原作は、イギリスの社会現象と言われる程のベストセラー。それを「恋におちた~」を大ヒットさせたマッデンが監督するのだから、話題も期待も特大。プレッシャーはなかったのだろうか。

「作っている時はそんな先のことまで考えないんだよ。自分が感じていることをどう形に表すか、このやり方で間違いないか、毎日千も百も判断をくだしていかなきゃならない。見た人がどういう反応を示すかなんてことは、プロセスの本当の最後だよ。最後に、テスト・スクリーニングという物凄い試練がまっているからね。観客の反応を考えるのはそれからだよ(笑)」

ロケ地のケファロニア島は映画で描かれた悲劇が実際に起こった場所だ。

「歴史的な事件が起こり、空中にはまだ亡霊が彷徨っている場所で撮影するんだからね。島に着いたとたん、名状しがたい強い力を感じた。結局はあの島のすべての雰囲気が、この物語のテーマでもあるんだよ。戦争や地震といった破壊に打ちのめされても、人々は愛の力で再び立ち直り、生活を続けていける。大切なのは生き抜くことなんだ」

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