【インタビュー】永瀬廉&杉咲花が築いた“特別な絆” 永瀬が震えた、「ずっと忘れない」と語る共演シーンとは?

2023年11月7日 09:00


永瀬廉、杉咲花に「なんでずっとそんなにいい人なん?」
永瀬廉、杉咲花に「なんでずっとそんなにいい人なん?」

第62回メフィスト賞を受賞した五十嵐律人氏による法廷ミステリー小説を映画化した「法廷遊戯」で、初共演を果たした永瀬廉杉咲花。予測不能な展開で観客を釘付けにする本作において、“特別な絆”で結ばれたふたりの過去と現在、選択までを演じきり、シビれるような化学反応を披露している。劇中では緊張感あふれるやりとりを見せた彼らだが、インタビュー時は「なんでそんなにいい人なの?」と互いの素顔に興味津々となるなど、和やかなムードたっぷり。共演の感想をはじめ、それぞれの正義が浮き彫りとなる本作が自身にもたらした影響について、笑顔いっぱいに語り合った。(取材・文・写真/成田おり枝)


■魅力的な座組で築いた、特別な関係性

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本作は、無辜(むこ)ゲームと呼ばれる裁判ゲームの果てに起きた殺人事件をきっかけに、ロースクールの同級生3人の仮面の裏に隠された真実が暴かれていくノンストップミステリー。永瀬が演じるのは、弁護士の道に進み、殺人事件の第一発見者となる“セイギ”こと久我清義。そのセイギの幼なじみで、殺人事件の容疑者となる織本美鈴を杉咲。そして裁判ゲームを主宰する異端の天才で、殺人事件の被害者となる結城馨を北村匠海が演じる。監督は、「白夜行」や「神様のカルテ」で知られる深川栄洋が務めた。

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――何が真実で、誰が嘘をついているのか、予測のできないストーリーが展開するなか、驚愕の結末へと辿り着く本作。オファーを受けた感想を教えてください。

永瀬「監督が深川さんで、キャストさんには杉咲さん、北村さんがいる。そんなに素敵な方々のなかで、僕が主演という立場をやらせていただけるなんて……という驚きが大きかったです。杉咲さんとは、初共演です。深川監督からは、『現場でちょっと変わったオーダーをするかもしれないけれど、よろしくね』と言われたことをよく覚えています」

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杉咲「私もこの座組に参加できることが楽しみでした。美鈴は事前に準備をしていけることがあまりなくて。というのも、清義と対面してから美鈴の物語が始まるのだろうなと思っていたので、現場に行くのを心待ちにしていました。初めて永瀬くん演じる清義と目を合わせた時に、なんだか美鈴としての感覚が湧き上がってくるような気がして、それだけを信じていればこの撮影は大丈夫だと思っていました」

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――清義と美鈴は幼なじみでありつつ、ロースクールの同級生。さらには殺人事件の容疑者と弁護士という間柄にもなっていきます。“特別な絆”で結ばれたふたりだと感じましたが、彼らの関係性にどのような印象を持ちましたか?

永瀬「幼い頃にある経験を共有していて、そこからは彼らだけの世界があるようなふたりですよね。お互いにとって、本当に特別な存在だと思います」

杉咲「ある出来事を境に、美鈴のなかでは、清義の存在がすべての原動力になっていくと感じているのですが、永瀬くん演じる清義の佇まいを見ていると、勇ましく見える瞬間と、はかなく見える瞬間があって、そのバランスが魅力的で。美鈴と清義はお互いにシンパシーを寄せ合っていて、引力のようなものを感じる存在なのかなと感じました」


永瀬廉杉咲花の熱演に「震えた!」

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――美鈴が容疑者となり、面会室で清義と対峙する場面は緊張感と迫力に満ちたシーンになりました。杉咲さんの感情を爆発させるお芝居も、すさまじいものがありました。

永瀬「そのお芝居を受けるこちらは、本当にヤバかったですよ!」

杉咲「めちゃくちゃ緊張してたなぁ」

永瀬「ええ! そうなの!? 僕は緊張していたけれど、杉咲さんが緊張しているようには全然見えなかった。あのシーン、震えたもん」

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杉咲「お互いが発するものを感じ取り合いながらお芝居をしている時間だったので、集中の糸を切らしてしまったら崩れてしまうのではないかと思うような緊張感がありました。私自身、あのシーンに臨むのは怖かったです」

永瀬「面会室のシーンを撮り終えた時は、終わったという安堵感がありつつも、しばらく余韻に浸る時間がありました。監督含め、みんなが手応えというか、一体感を味わったシーンだったなと感じています。清義にとっては、これまで知らなかった美鈴の一面を見ることになるので、驚きもありつつ、逃げ出したくなるような気持ちになったのをよく覚えています」

杉咲「そのシーンを撮り終える頃には、気づいたらふたりとも同じ空間に集まっていて。ともに山を越えた安堵感が互いを引き寄せたのかなと。ほっとしたことを覚えています」

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――こうしてお話を伺っていても、おふたりの間に和やかな空気が流れているのが伝わってきます。

永瀬「絵しりとりをしたもんね。あれは撮影期間の序盤の方だったよね。覚えている?」

杉咲「覚えてる!」

永瀬「僕らふたりが撮影の待機をしている部屋に、ホワイトボードがあって。さらにペンとクリーナーがあったので、『絵しりとりをやろうよ』と誘ったんです」

杉咲「実は私もやりたいなと思ってたんです」

永瀬「マジ!?」

杉咲「あれは本当に『どうぞ絵しりとりをやってください』と言われているような空間だったよね(笑)」

永瀬「そう! 『他に何をすることがあるんだ』というくらい(笑)。盛り上がったよね。これまで杉咲さんの作品はいくつか拝見させていただいていますが、本作でそのすごみを肌で感じられてものすごくうれしかったです。先ほどお話しした面会室のシーンなどは、ずっと忘れないと思います」

杉咲「永瀬くんは『人見知りなんです』と言いながらも、頑張ってみんなに話しかけてくれて、座長として、みんなから愛される力を持った方なんだなと感じました。監督からの要求に果敢に挑んでいく姿も、『すごいな』と思いながら見ていました」


■「法廷遊戯」で得た宝物 「永瀬廉の人生としても経験値を上げてくれた作品になりました」

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――永瀬さんは今回、座長として心がけたことはありますか?

永瀬「差し入れをしました! チーズカレーとかあったよね? 僕は、“座長らしく”ということはそんなに意識したことがなくて。『みんな、ついてこいよ!』と気負ったりするのも得意ではないので、自然体かつ『みんな一緒に頑張れればいいな』と思っています。座長っぽさは、食べ物で出せたらと(笑)!」

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――秘密がテーマのひとつになる本作ですが、互いのこんな秘密、秘訣を知ってみたいと思うことがあれば教えてください。

永瀬「なんでずっとそんなにいい人なん?」

杉咲「あはは! いやいや」

永瀬「疲れを出さないよね」

杉咲「それは、私も思っていました。永瀬くんは撮影時期もとてもお忙しくて疲れていたはずなのに、それを表に出さない。周囲に『大丈夫?』と気を遣わせないような穏やかさがあるんです」

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――疲れを出さない秘訣はあるのでしょうか。

永瀬「もし疲れていたとしても、いつも“楽しい”が勝っているからだと思います。疲れていても、それを忘れてしまう。この仕事が好きだから、というのもあると思います」

杉咲「そう思えるのも才能だなぁ」

永瀬「ありがとうございます! 僕は杉咲さんがいい人すぎてびっくりしたんです。杉咲さんは包容力がすごいんです」

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――馨役の北村さん含め、同世代のキャスト陣と刺激的な感情のやりとりを見せた本作。ご自身にとって、どのような経験ができた作品になりましたか。

永瀬「弁護士役を演じるにあたって、初めて裁判の傍聴に行かせていただきました。それもこの作品がなかったら多分していなかった経験なので、永瀬廉の人生としても経験値を上げてくれた作品になりました。また“正義”について、いろいろと考えた時間にもなって。各々が違う正義を持っている本作の登場人物から、自分の正義を貫き通すことの難しさ、大切さも伝わってくる。それぞれの正義があるからこそ、もちろんそれを貫き通そうとするのは自由だけれど、自分の正義を誰かに押し付けようとしないことも大事なんだなと思いました。そうやって、僕自身の考えを改める機会にもなったように感じています」

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杉咲「深川監督の演出が、とても新鮮で。気づいたら予想もできなかった場所に到達していたという瞬間が何度もありました。監督から求められたことに対して、焦りや緊張感を抱きながらも、みんなが同じ場所に向かって進んでいく時間を過ごすことで、日々思いもよらぬ瞬間が生まれていくことが刺激的で、ものづくりの可能性を感じられたこともうれしかったです」

法廷遊戯」は、11月10日より公開。

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