細田佳央太×駒井蓮「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」23年春公開　ジェンダー文学の新星・大前粟生作品を初映像化

(C)映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

大前粟生氏による小説「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」（河出書房新社）が、細田佳央太の主演で映画化されることがわかった。駒井蓮が共演し、監督は短編オムニバス映画「21世紀の女の子」の一篇「projection」や「眠る虫」などで注目を集める新鋭・金子由里奈が手掛ける。撮影はすでに終了しており、2023年春の公開を予定している。

最新刊「死んでいる私と、私みたいな人たちの声」のほか、「おもろい以外いらんねん」「きみだからさびしい」など繊細な感性で話題作を生み出し続けるジェンダー文学の新星・大前氏。本作は初の映像化となる。金子監督は大前氏と交流があり、「商業での長編デビューをするならこの作品」と熱望。実兄で演劇ユニット「コンプソンズ」主宰の金子鈴幸と共同で脚本も手掛ける。

(C)映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

物語の舞台は、大学の「ぬいぐるみサークル」。“男らしさ”“女らしさ”のノリが苦手な大学生・七森と、彼と心を通わす麦戸、そしてふたりを取り巻く人々を描く。細田が七森役で「町田くんの世界」以来の映画主演を務め、「いとみち」やNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」への出演が話題となった駒井が麦戸役を演じる。

細田は「お話を聞いたときは、間違いなく今やるべき作品だと感じました」と語り、「現代が不安定な中で、ぬいしゃべを世に送り出すことで必ず誰かを救うことができるのではないか」と話す。繊細で優しすぎる七森役を演じるにあたってプレッシャーや不安を感じたことを明かし、「同じような苦しみや悩みを抱えている人たちの気持ちが少しでも楽になって貰えたら嬉しいです」とコメントを寄せた。

駒井も「金子監督をはじめキャスト、スタッフの皆さんが、ずっとずっと『やさしい』空間を作ってくださったからこそ、私も麦戸として楽しくぬいぐるみと喋ることが出来ました」と振り返り、「この映画は、肯定するしないに拘らず、まず今の気持ちを受け止めてくれて、人々のグレーな部分に寄り添ってくれる作品」と魅力を語った。細田、駒井、原作者の大前氏、金子監督のコメント全文は以下の通り。

◆細田佳央太

初めて「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」のお話を聞いたときは、間違いなく今やるべき作品だと感じました。

現代が不安定な中で、ぬいしゃべを世に送り出すことで必ず誰かを救うことができるのではないかと。

繊細で優しすぎる七森を演じることはプレッシャーや不安が付き纏っていましたが、本当に温かいぬいしゃべチームに支えて貰い、演じ切ることができました。

七森と同じような苦しみや悩みを抱えている人たちの気持ちが少しでも楽になって貰えたら嬉しいです。

◆駒井蓮

「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」に出会えて本当に良かったです。また、金子監督をはじめキャスト、スタッフの皆さんが、ずっとずっと「やさしい」空間を作ってくださったからこそ、私も麦戸として楽しくぬいぐるみと喋ることが出来ました。

この映画は、肯定するしないに拘らず、まず今の気持ちを受け止めてくれて、人々のグレーな部分に寄り添ってくれる作品だと思います。是非、楽しみにして頂けると嬉しいです。

◆原作者：大前粟生氏

最終日に撮影を見学させて頂いたのですがめちゃくちゃ雰囲気のいい現場でした。

スタッフさんキャストさんひとりひとりが登場人物たちやぬいぐるみたちと友だちになっているみたいで、ぬいぐるみサークルの部室はとっても居心地が良かったです。

金子さん監督の“ぬいしゃべ”超楽しみです！

◆金子由里奈監督

弱いひとが弱いまま生きられる場所はないのだろうか。そう思っていた時にこの原作に出逢いました。

「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」には傷ついた人がたくさん出てきます。

撮影中、私自身も人間が持つ加害性や言葉について幾度も省みていました。

物語に共鳴してくれた俳優さんやスタッフ陣と、傷つくことや優しさについて、一緒に立ち止まって考えながら作り上げた映画です。

私たちは圧倒的に対話が足りてない。社会が少しでも優しくなりますように。日々の無力さに疲れてしまったあなたに観てもらいたいと願っています。