谷口ジローさんのコピーではなく、精神を尊重して作る――「神々の山嶺」プロデューサーが語る

2022年7月10日 21:00


ジャン=シャルル・オストレロ氏
ジャン=シャルル・オストレロ氏

フランスのアニメーション映画「神々の山嶺(いただき)」が、7月8日から公開された。原作は、夢枕獏氏の小説を谷口ジロー氏が漫画化した山岳コミックの傑作。プロデューサーを務めたジャン=シャルル・オストレロ氏は原作漫画に惚れ込み、谷口氏に手紙を書いてオファーしたという。

「登山家マロリーはエベレスト初登頂に成功したのか?」という登山史上最大の謎に迫りながら、孤高のクライマー・羽生と、彼を追うカメラマン・深町が不可能とされる冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂に挑む姿を描く。

幼少期から登山が好きで、山岳に関するさまざまな本を読んでいたというオストレロ氏は、原作漫画に出合い、「どうしても私のキャリアの最も大事なプロジェクトとしてやり抜きたい」と映画化を決意する。

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映画化に向けてまず谷口氏に手紙を送ったといい、「映画化を決心した理由、その経緯について手紙で説明させていただきました。とにかく精魂込めて書いたのですが、数カ月後にその手紙に対して内容を承諾したということと、契約に向けて動きましょうという、非常に前向きなご返事をいただくことができました」と振り返る。

「その手紙の中で、この映画化はアニメでいくということをはっきりと書いていたんです。今までアニメ化されたことがなかったために了承していただけるか不安だったのですが、私の思いを伝え、谷口さん日本サイドとも関係が少しずつ構築されていき、何より谷口さんと良い関係を築いて、実現することができました」

谷口氏とは、パトリック・インバート監督も交えてアートビジュアルについて話し合いをしたそうで、「この作品を谷口ジローさんのコピーではなく、ただし裏切りでもなく、谷口さんの精神を尊重して作りたいという気持ちが伝わっていたと思います。全体的なアートディレクション、それから詳細なディテール、それから人物の作り込みの部分も、満足していらっしゃったのではないかなと思っています」と明かす。

フランスでは口コミや批評サイトで評判が広がり、上映されてからすでに40週目に入ってもロングヒットを続けている。オストレロ氏は「日本の皆さんにも、フランス人がこんなにも日本的な作品・漫画をどのように映画化したのかと、興味を持っていただけたらと思います」と話していた。

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