自転車版「マッドマックス」に込めた80年代への熱!「ターボキッド」の魅力とは?

2015年10月2日 15:40


女の子だって自転車で爆走
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[映画.com ニュース] 人気シリーズ最新作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」がヒットを記録した今年、同じく文明崩壊後の荒野を男たちが爆走する低予算バイオレンス「ターボキッド」が劇場公開される。メガホンをとった監督チームのひとりで、女優としても出演しているアヌーク・ウィッセルが本作について語った。

本作の出発点は、クリエイティブ集団「Roadkill Superstars」が手がけた短編「T is for Turbo」だ。「基本的に格好良さを求めたコンセプトにおける一大バトルシーンの塊です。まさにBMXに乗った『マッドマックス』」を描いた同作は、「ホーボー・ウィズ・ショットガン」のジェイソン・アイズナー監督の目に留まり、オムニバスホラー「ABC・オブ・デス」に応募するが惜しくも落選。しかし、アイズナーの「迷いなく自信を持って、後悔は絶対にしない」というアドバイスと協力を得て、長編化に踏み切った。

物語をふくらませるため「強靭な“ハート”が必要」と考えたウィッセルらは、ラブストーリーとして再構築することを決意。「初めての経験なのでリスキーではありましたが、同時にこのラブストーリーが信じられるものであれば、バトルシーンがあっても観客はキャラクターに感情移入できると思ったのです」。そしてノスタルジーを主題に、1980年代の香りを随所にちりばめ、「ネバー・エンディング・ストーリー」「グーニーズ」「BMXアドベンチャー」「BMXサイクル・キッド」など子ども時代に影響を受けた世界を作り上げた。

「我々は極端でクレイジーな映画製作が行われていた時代、80年代に育ちました。この時代の映画が大好きで、最近そのようなものが見られないのが寂しいし、とても懐かしく思っています。物語の持っていき方、映画の宿るハートの部分、特殊効果、音楽など80年代映画の素晴らしい部分は最近なかなか見られなくなってしまった。しかし、最近この時代にインスパイアされている映画製作者が増えていて、それらの作品を通じて現代の若者は80年代に育ったことがどれだけ面白く素晴らしいことだったかを知るのです」

本作は、第31回サンダンス映画祭でプレミア上映され、SXSW映画祭2015で最優秀観客賞を受賞。近年は、「マンボーグ」「カン・フューリー」といった80年代にインスパイアされた作品が人気を呼んでいる。「(『マンボーグ』を製作した映像集団『アストロン6』など)今カナダの若い映画製作者たちが出てきていてひとつの波となっています。とても誇らしいことです。我々に共通しているのは、80年代に対する情熱。でも、みんなそれぞれのトーンとアプローチをしています。パロディや偽物感で勝負することもありますが、我々は模倣と敬意で80年代を描いています」と語った。

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本作で描かれる世界は、終末を迎えた97年。「子どもの頃に見た当時の映画で、未来を描いたものはすべて90年代を舞台とし、それはダークな時代、アポカリプス、世界の終末を意味していました。そこで謳われているのは、この年代以降、人類がサバイブするチャンスはわずかであるということでした」。主人公キッドをはじめ、「死に覆われた荒廃と暴力の中の喜びと生のポートレイト」である少女アップル、「インディ・ジョーンズ、名なしの男的なニュアンスを含んだハン・ソロ」をイメージしたフレデリックといった個性豊かなキャラクターが、荒れ果てた土地で自転車「BMX」を乗り回し、命がけのバトルを繰り広げる。

悪役も強烈で、マイケル・アイアンサイド演じる極悪人ゼウスは「権力に突き動かされた、とても礼儀正しい教養のあるサイコパス」として、キッドの前に立ちはだかる。日本に影響を受けた敵も登場しており、「子連れ狼」「ゴースト・ハンターズ」要素を盛り込んだ浪人笠のバウンティハンターなど、映画ファンにはたまらないキャラクターにも注目したい。

現在は「ターボキッド」の漫画化を進めているそうで、「コミックという舞台で『ターボキッド』の世界を広げることに大きな喜びを感じています」と充実感をにじませる。そして、「『ターボキッド』が成功したらぜひともやりたいと思っています。すでに大量のアイデアがあるので!」と続編製作に意欲をのぞかせた。

ターボキッド」は、10月3~9日に東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋でレイトショー公開。

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