A・ナデリ監督「CUT」は3部作 西島秀俊の続投を示唆

2012年1月29日 13:51


約90分間のトークショーを行ったアミール・ナデリ監督
約90分間のトークショーを行ったアミール・ナデリ監督

[映画.com ニュース] 日本滞在中のアミール・ナデリ監督が1月28日、東京・シネマート新宿で公開中の最新作「CUT」(西島秀俊主演)のトークショーを行い、同作が3部作の“第3章”だと明かした。現在、1000年前の日本を舞台にした“第1章”を準備中だといい「引き続き西島さんに出演していただく予定。ご存じの通り、多忙な俳優さんなので製作時期は明言できないが、スケジュールの見通しが立てば、資金集めを始めたい」と意気込みを語った。

亡兄の借金を返済するため、殴られ屋をして金を稼ぐ売れない映画監督・秀二(西島)の狂気的なまでの映画愛を描き出す。ナデリ監督によれば、3部作を通して主人公は“秀二”で「名前は寺山修司さんに由来している。1970年ごろ、イランの演劇祭にいらっしゃった際にお会いし、とても自由でワイルドな印象を抱いた」。劇中にはナデリ監督が愛する名作103本へのオマージュが随所に登場し、寺山氏の代表作「書を捨てよ町へ出よう」(71)もそのうちの1作として挙げられている。

昨年12月の公開以来、毎日のように劇場で観客と接しており「日本の文化を描いた作品なので、皆さんと身近に接し、リアクションを知ることで初めて映画が完成に近づく。日本とイランでは国民性に通じるものがあるし、今や皆さんは私の大切な友人です」。日本のお菓子である鳩サブレーが大のお気に入りだといい、「あちこちで鳩サブレーが好きだと話していたら、メーカーさん(鎌倉市の豊島屋)から連絡をいただき、先日詰め合わせが届いたばかり」と大喜びだった。

トークショーはTwitterで質問に答えるQ&A形式で進行し、予定時間を大幅に超え約90分に及んだ。客席には、自己資金でインディペンデント映画を撮っているという映画監督の姿もあり「絶対にあきらめずに、映画を作り続けてほしい。(劇中の)秀二もあなたも日本映画界におけるラストサムライだ。自らを犠牲にしても、大切なものを守ろうとしているのだから。私の作品が少しでも励みになれば」とエールを送っていた。

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