ロマン・ポランスキー、晴れて自由の身に

2010年7月13日 16:38


米の身柄引き渡し要請は却下
米の身柄引き渡し要請は却下

[映画.com ニュース] アメリカ当局はかねて、1977年の性的虐待に関する裁判に出廷させるために、スイス政府に対してロマン・ポランスキー監督の身柄引き渡しを要請してきた。スイス司法省は7月12日、これを拒否する決断を表明し、ポランスキー監督は逮捕から9カ月を経て、ついに自由の身となった。

ポランスキーは、77年にハリウッドのジャック・ニコルソン邸で当時13歳だった少女にアルコールや催眠剤の一種を与え強かんした容疑で、6つの罪状に問われていた。後に非合法の性交渉に関する罪状を認めているが、懲役50年の刑を恐れたポランスキーは78年、判決を受ける直前にアメリカから逃亡、その後はフランスを生活の拠点としていた。「戦場のピアニスト」でアカデミー賞監督賞を受賞した際も訪米せず、アメリカと犯罪人引き渡し条約を結んでいる国への渡航も控えていた。

ポランスキーは昨年9月、チューリッヒ映画祭で生涯功労賞を受賞するためにスイスを訪れた際、アメリカの要請を受けたスイス警察に逮捕された。昨年12月以降、スイス政府がアメリカによる身柄引き渡しに応じるかどうか決断するまでの間、西スイス郡のスキー・リゾートにある自らの別荘に軟禁状態になっていた。

スイス司法省は、アメリカの要請を拒否した理由として、スイス側が提供を求めた米司法当局者の証言記録が得られず、移送が妥当か判断できないことなどを挙げた。今回のスイス政府の決断には、ポランスキーが国籍を持つフランスとポーランドをはじめ、多くの映画関係者から称賛の声が上がっているのと同時に、性的虐待の被害者を代表する団体からの厳しい批判が寄せられている。ポランスキーがアメリカからの逃亡者であることに、今後も変わりはない。

Amazonで今すぐ購入

DVD・ブルーレイ

Powered by価格.com

関連ニュース