初の日韓合作映画に挑んだキム・テギュン監督「彼岸島」

2010年1月15日 19:17


「グラン・トリノ」のような映画を 撮るのが夢だとか
「グラン・トリノ」のような映画を 撮るのが夢だとか

[映画.com ニュース] 「火山高」「オオカミの誘惑」「クロッシング/祈りの大地」で知られる韓国アクション映画の名手キム・テギュン監督の新作「彼岸島」が絶賛公開中だ。これまで青春アクションから、ラブストーリー、コメディ、社会派ドラマまで、様々なジャンルの映画を手がけてきたキム監督だが、本作では自身初となる吸血鬼映画に挑んでいる。

「韓国で数本の吸血鬼映画の企画を温めてましたが、結局実現できませんでした。最近は世界的な流行で、韓国でもパク・チャヌク監督による『渇き』などが製作されましたが、韓国で吸血鬼映画を撮るとなると、吸血鬼そのものを真摯に扱って、真面目で堅いストーリーになってしまう傾向がある。私としてはそういう映画ではなくジャンル映画としての吸血鬼映画にこだわりたかったんです」

本作の原作となったのは松本光司による同名人気コミック。失踪した兄を探すため彼岸島と呼ばれる謎の孤島へ赴いた高校生・明と吸血鬼たちの死闘が描かれる。「日本のどこかの島には本物の吸血鬼がいる」と思いこんでいたキム監督は、この日韓合作の監督オファーを二つ返事で引き受けたという。

「韓国の伝統衣装を身につけている吸血鬼というのはまったく似合わないと思っていましたし、日本という異文化の国で吸血鬼映画を撮るのはむしろやりやすかった。それに日本の俳優やスタッフと、私の母国語とは異なる言語で映画を作るということに興味がありました。たしかに不安もありましたが、映画ということでは日本も韓国も同じ。今回私にとって良かったと思うのは、たとえ周りの人が、私に対して何か悪いことを言ったとしても、私には聞こえないということです(笑)」

荒削りだが、現在の日本映画では見ることのできない力強いアクションが見どころとなっている本作。キム監督は日本での映画製作をこう振り返る。

「韓国人の私が監督で、スタッフ・キャストのほとんどが日本人ということで、お互いに何らかの緊張感があったと思いますが、だからこそお互いが相手を尊重しようと思い、最善を尽くそうと思ったので、その結果がむしろ良くなったのではないでしょうか。楽しかったので、また撮ってみたいですね」

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