劇場公開日 2023年10月13日

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「えぐられる、問いかけられる。最後のセリフがひとつの答えなのか」月 Carryko Emiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5えぐられる、問いかけられる。最後のセリフがひとつの答えなのか

2023年12月2日
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鑑賞方法:映画館

あまり前情報を入れて映画は観たくない派なので、宮沢りえ、オダギリジョーと好きな俳優が出演していることだけわかっていて、ふらりと観に行きました。

スターサンズ作品ということも知らなかったのですが、それだけで相模原障害者施設殺傷事件をベースにした映画だとわかり、身が引き締まりました。

自分も含め、できれば善人でありたいと思う普通の人たちは、差別はいけない、どんな命も大切、と当事者でない限り言います。ただそこにはそこはかとなく、後ろめたさもあるはずで、なせなら決して自分の内に差別心はないと言えないからでしょう。特に意思疎通が難しい人に対しては、本能的に怖いと思ってしまう感情が少なくとも私にはあります。
さとくんの主張は絶対に認めてはいけないけれど、全否定できない自分もどこかにいる。映画の中ではそこを演出の力で観ている人にも問いかけているようでした。
洋子と昌平の間には話すこともできないまま亡くなった息子がいて、さとくんの恋人は聾唖者という設定。彼らを分けたのは何だったのか。最後のセリフが答えなのかと感じました。

こういう難しいテーマの中、4人のメインキャストの演技は凄まじかった。圧倒されました。

Carryko Emi