かかってこいよ世界

劇場公開日:

かかってこいよ世界

解説

脚本家を目指す女性と在日韓国人3世の男性、そして彼らを取り巻く人びとを描いたドラマ。

東京でミニシアター「白鯨坐」を営む祖父の正一と2人で暮らす浜田真紀は、脚本家を目指している。ある日、真紀はバイト先の居酒屋で映画配給会社に勤務する新井国秀と知り合い、恋仲になる。ある時、国秀は、正一にある作品を白鯨坐で上映したいと持ちかけてくる。それは在日韓国人を題材にしたドキュメンタリー映画だった。当初は上映を渋っていた正一だったが、国秀の熱い思いを汲んで上映を決断する。真紀と国秀の仲が深まる中、真紀は国秀から自身が在日韓国人3世であることを告げられる。その瞬間から2人の関係は少しずつ変わってしまう。

真紀役を「死刑にいたる病」の佐藤玲、国秀役を「きみの正義ぼくの正義」の飛葉大樹がそれぞれ演じる。監督は短編「触れてしまうほど遠い距離」などを手がけてきた新人・内田佑季。

2023年製作/80分/G/日本
配給:ライツキューブ
劇場公開日:2023年8月25日

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(C)「かかってこいよ世界」製作委員会(TOKYO CALLING/ライツキューブ)

映画レビュー

5.0色々な気づきを与える映画で、「福田村事件」と放映が近かったのも好印象

2023年9月14日
PCから投稿

今年311本目(合計961本目/今月(2023年9月度)21本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))

 もっとも、「福田村事件」の作品と放映時期が近かったのは、大阪市のみなのかもしれません(シアターセブン、ナナゲイでは、これに関係して、当時の関東大震災や、在日韓国・朝鮮人を扱う映画が多く組まれています)。

 さて、こちらの映画です。
「自分は実は在日3世なんだ」とカミングアウトした男性と、された女性が、それぞれその後に抱いた違和感と、外部からのいろいろな干渉を経て、どのような結論を下すのか、そして、この「在日3世」の層が作った「在日の方が作った」と言える映画を放映する、しないといった「表現の自由(の行使の方法)」vs「映画館の営業の自由」などが一部絡む、憲法論的な解釈が多々できる映画です。

 まず、私は大阪市という、在日韓国・朝鮮の方が多く暮らすという大阪市という、ある主特殊な事情を抱える行政書士の資格持ちという立場を理解いただければ幸いです。

 この監督の方は映画館上映は初監督となる作品であるとのことで、その事情のもとにおいて、ある意味「特殊な事項」をいろいろ配慮する必要が今現在でもどうしても必要とするといわれる2022~2023年に、このテーマについて触れた点は極めて高いものと思っています。こうした映画はどうしてもミニシアターの中でもミニシアター、つまり、シアター1つか2つかしかない映画館でしか扱われない傾向があるものの(ナナゲイは、シアターセブンとあわせて、実質3つと言えますが)、この映画を、テレワークが終わってから無難に見に行ける時間に合わせていただいたナナゲイさん(シアターセブンさん)には感謝です。

 映画の趣旨としては上記の事情から「国籍をどのように取るのか」「国籍が何であるのかは個人を愛する、愛されるについて重要な事実なのか」といったことがテーマになってきます。一方で、在日韓国・朝鮮の方に対してどのような思想を持とうと、それが「内在」にとどまる限り、規制はできません(思想良心の自由は絶対的に保護されます)。しかし、それが表現となって出た場合、他の人権との衝突を考慮して「何を優先するか」を決める必要が生じます。

 映画はこのようなある種憲法論的な論点を扱った部分があり、監督さんがここまで考慮されたかは不明ですが、外国人問題に興味関心を持ちアンテナをはる行政書士の資格持ちという立場からは極めて評価は高い一作です。

 なお、映画においては、「何が正しく何が正しくないのか」については、ある程度の誘導はあっても解釈を押し付けない構造になっています。この点も、「各自で考えてね」ということであり、その点も高く評価しました。

 普段から外国人問題に関心を寄せる方はもちろん、広く人権感覚を高く持っておこうという方にはおすすめの一本かな、というところです。細々といろいろな映画館で少しずつ拡大しているということであり、大ヒット(?)中の「福田村事件」と合わせてみることで「正しい意味」での在日韓国・朝鮮の方に対する理解が広まることをやまない一人です。

 採点に関しては以下を考慮しましたが、4.8以上あるためフルスコア切り上げ(七捨八入扱い)です。

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 (減点0.1/「即座解雇だからな」)

 解雇については「解雇法理」というものがあり「告知弁解の機会を要する」(つまり、一方的に言い放っていきなり何らの言い分も聞かずに処分するのは違法・不法のそしりを免れない」というのが裁判例です(最高裁判例に対し、高裁以下の判例を「裁判例」といいます)。

 映画内ではいきなりこの展開になるのがちょっとな…と思ったものの、この点をつつくと映画が0分で終わる事情もあり、仕方なしか…という気はします。

 (減点0.1/在日3世について少し掘り下げた解説が欲しかった)

 日本では在日3世ともなると、日本人と同じように小学校に行くのが普通になるため、日本語能力は全く問題がない(事実、主人公は映画事務所で働いている)一方、韓国語(便宜上、「北朝鮮語」という語も観念するものとしますが、以下では区別せず)については、家庭によりかなりの差があるといわれます(特段の教育を受けていない限り、韓国語はまったくわからない、という方も3世では少なくないし、「在日韓国語」と呼ばれる、日本語と韓国語がごっちゃになった言語もリアル日本では登場しています)。

 この点、韓国語については特段の説明もなく、日本語についても違和感のある表現が一切ないことも上記の事情ですが、このことは一般的に外国人問題(性質上、大阪や東京など、コリアタウンが多くある地域がメインになる)の行政書士の資格持ちは知っていますが、一般常識ではないので、この点は何らか説明が欲しかったです。
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yukispica

2.0ルーツに拘るんですね

2023年8月27日
Androidアプリから投稿

単純

好きになった男性が、在日コリアン3世と知り関係に変化をみせる女性の話。

脚本家を目指して上京し、名画座を営む祖父と暮らす女性が、小さな映画配給会社で働く男性と知り合い恋愛関係になって行くという展開で、しかも男性は祖父の営む名画座の大ファンで…。

個人的には知人に在日コリアンの知人もいるし、付き合いに関しては各個の問題であるとは思っているけれど、背景に色々とあるし主義主張も色々ありますからね…まあ、看板壊すのも各個の問題だしね。

ただ、相手の出自云々は別として、母親のあまりにもな娘へのアプローチはもはやマーラですか?という感じだし、そこからの話しの流れはまるでどこぞの宗教映画の様な雰囲気に感じられ、安っぽくなってしまった感じ。

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Bacchus

3.0真記

2023年8月26日
Androidアプリから投稿

面白い出会いでした。
ラスト良かったです。

舞台挨拶鑑賞

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完
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