探偵マーロウのレビュー・感想・評価
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ハリウッドの古典芸能のような良作。あと矛盾を推理した。
ハヤカワ・ポケット・ミステリのイメージが強いチャンドラーのハードボイルド探偵小説が、フィリップ・マーロウ主人公の一連の作品だ。舞台は1939年のハリウッド。そそるね。
『大いなる眠り』が1939年の作品。この時マーロウは33歳という設定。ということは、本作のマーロウも33歳かというと、かなり老けている。その秘密は、原作のジョン・バンビル著『黒い瞳のブロンド』が、公式の『ロング・グッドバイ』の続編として書かれたものだからだ。そして『ロング・グッドバイ』の舞台は1949年の秋。マーロウは43歳、そして続編ともなるとさらに年齢を重ねているはず。
1939年が舞台なのにオッサンになってるマーロウのワケはここにあるのだろう。
作品はセピアの色調で、俳優陣も50年代のハリウッド映画のおとなしさ、というか役柄に対しての「しつけの良さ」が心地よい。共感しづらいストーリーだが、雰囲気に酔える。
キャッチコピーが「リーアム・ニーソン出演100本」というのが配給の弱腰に見える。映画の良さでPRしきれば良いのに、リーアムの名前に頼る。古くはアラン・ドロンからある悪習だが、昨今はニコラス・ケイジやブルース・ウィリスが鼻についていた。どうでもいいけど。
キャベンディッシュ・キャベンディッシュ
1939年LAで、行方不明になった愛人を捜して欲しいという女性からの依頼を受けた探偵マーロウのお話。
調査を始めたらあっという間に死んでいたことが発覚?と言いつつもお顔が潰れていたってことで、まあそうでしょうねな流れになっていく。
コルバタ・クラブなる会員制のクラブに集う私欲にまみれた人達のちょっかいを受けつつハードボイルドに調査を進め富裕層の闇に迫っていくストーリーで、これと言った見どころみたいなものはないし、ちょっとゴチャついてはいたけれど、まずまずのサスペンスだったかな。
喪いたくない「男の美学」
※今回、思いっきりネタバレしますのでチャンドラーファン、マーロウファン、「長いお別れ」「黒い瞳のブロンド」読了済みの方は映画鑑賞後にお読み下さい。
上記2作未読の方は鑑賞前でも気にせず読んで頂いて大丈夫です。
また、星4.5は「ハードボイルドファン向け」の評価です。贔屓入ってます(笑)
チャンドラー作品がお好きでなければ無理にご覧になる必要はないかもしれません。見る人を選ぶ映画かも。
さて、JCのみぎりよりレイモンド・チャンドラーと大藪春彦にめちゃくちゃ傾倒していたワタクシとしては本作ばかりは初日に行きたい!と、終わらぬ仕事は夜中に泣きながら片付ける事に決めてレイトショーに向かいました。
結果として最終的な感想としては
「うん、良かったんじゃない!」と思うに至りました。
やっぱり最初は
「いくらなんでも今のリーアム・ニーソンじゃ老けすぎじゃない?一体何歳って設定なの?長いお別れの続編なら40代半ばでしょう?」
と違和感が付き纏ったのですが、考えてみれば1939年という設定自体がおかしい。
それを思えば、ロバート・アルトマン&エリオット・グールドの「ロンググッドバイ」は1970年代設定という大幅改変だし、アルトマンが20年後ろ倒したから今度は20年前倒した?
そう言えば1939年って「フィリップ・マーロウ初登場!(つまり「大いなる眠り」リリース)」の年よね。と思い至る。
それにローレンス・オズボーン著作の「ただの眠りを」ではフィリップ・マーロウ72歳の活躍が描かれています。
「そうだよね、すでに72歳のマーロウが世に出ているし。大体、ボギーだって身長の低さを逆手に取ったくらいだし。」と少しずつ自分を納得させていきました。
そして、何より本作に好感度を抱いた決定的要因は!
ベンジャミン・ブラック(=ジョン・バンヴィル)の原作「黒い瞳のブロンド」に対して「えー!これってマーロウとしてはどうよ?」と違和感というか唖然というか憤りにも近い思いを抱いた部分が「すべて解消」されているんです!
原作ではクレアと割と序盤によろしくやっちゃってるんですが、そんなの「長いお別れ」のあとのマーロウとしてはあり得ない!と感じるわけですよ!
しかして、本作ではファム・ファタールに対してすらクールでストイックな、しかしほのかな苦味を噛み締めるようなせつなさも見事に醸し出してくれていました。(この時に年の差設定はかなり邪魔なんですがw)
また「この場所でレノックス以外とギムレット飲むわけないだろー!」と突っ込んだシーンでもリーアム・マーロウはギムレットは飲まないし、アイリッシュビールも飲まない。
(原作は「これって舞台はLAじゃなくて英国?」って気がするほど、なんか不思議と英国小説テイストです)
原作のブラックマーロウはスノビズムというかペダンチックが過ぎる印象を受けましたが原典はもっと行動派。
本作にて第一次大戦従軍という過去設定を付け加えて腕っぷしの強さを魅せたのはアクション俳優としてのリーアムと原典マーロウを共に上手く活かしたと感じました。
あとね!「飲むふり」をしたシーン!
原作は「ふり」じゃなくて、思いっきり飲んじゃって捕まって拷問(水責め)受けるんですよー!
いくら、叩かれてからの復活がマーロウパターンとは言え、
おいおい?ここは飲むわけないだろー!飲んだらただの阿呆や!
という残念な箇所なので本作の改変に大賛成(笑)
あ!あとね、あとね!
割と気に入った配役がアラン・カミング。
だってね、原作の「あの役」のイメージって私個人的にはスターウォーズのジャバ・ザ・ハットなんですけどー???(大笑い)
アラン・カミングじゃカッコ良すぎますw
いやー、いいわ、これ(笑いが止まりませんwでも原作での彼は事件にここまで絡まず、問題なく生きてます)
その他にもあれやこれやございまして
「これ、これ!これでこそ我らがフィリップ・マーロウですよ!」と大満足なのでした。
加えて言えば、本作はクレアに兄弟も存在しないし、何より「テリー・レノックスも出て来ない!」
そして、ハタ!と気付く。
「これって、全然、『長いお別れ』の『続編』なんかじゃないんだ!」と!
(前半がかなり詳細に原作の情景描写に忠実だからすっかり気付くの遅れたわw)
そう!本作はレイモンド・チャンドラーに最大限の敬意を払い、「長年フィリップ・マーロウ大好き」な「現在のリーアム・ニーソンの為にカスタマイズした」マーロウだったんだ!
そう思ったら、この映画が好きになりました。だから贔屓も含めてサービス加点w
ちなみに原作小説の2/3辺りで話をぶっちぎって改変して終わらせてます。
だから原作の仰天ラストは登場しません。個人的にはその方がありがたいと思う。原作は「長いお別れ」を台無しにしちゃってると思うから。
ただしその分、ストーリーは単純というか陳腐になり、ラストのマーロウの二重の痛み(情を交わした女の裏切り。親友の裏切り)すら消失してしまっているのは大きな減点対象ですけれども。
それって(痛み)ハードボイルドの醍醐味には不可欠な要素だと思うので、最初に付けた4.5点から0.5下方修正しました。
(う〜。そう考えると原作も「上手いっちゃあ上手い」わけか。原作vs映画(本作)は1勝1敗の引き分けってところですかね。早い話がどちらも標準以上の面白い仕上がりだと思います。
結局、原作者も監督も主演もみ〜んな「チャンドラー大好き!マーロウ大好き!」って原典愛に満ち溢れてるのよね。
あー、やっぱりその点加味して4.5に戻すわー。何やってんだ、私www)
決して権力に諂わず、クールな背中に優しさと痩せ我慢を隠して・・・。
もし、本作だけでは「固茹で卵の魅力」が乏しいと感じたとしても、チャンドラーやハメット、ロス・マクドナルドやギャビン・ライアルに想いを馳せれば、本作からもそれらに通ずる断片を見出し、胸に去来する寂寥感に身を任せる事が出来るだろうと思うのです。
(脳内補完してね、って書いてしまう時点で本作に「大切な何か」が足りないって事でもあるんですが。マーロウはつい擁護したくなる。)
嗚呼!内藤陳御大がこの映画を見ることが出来たら一体どんな評をするのかなぁ?新宿ゴールデン街の「深プラ」では一家言あるお歴々が感想を交わし合っているのかなぁ。
マルガリータかギムレットでも飲みたいと思っていたら、高2の娘が一言
「ハードボイルドってなぁに?」
と質問してきましたー。
ガーン!(大ショック)
令和の若人にはすでに馴染みのない言葉になるほど、ハードボイルドは痩せ細っているのですね。
確かにリーアム・マーロウくらい歳降りた姿で適正なのかもしれません・・・。
ボギー、あんたの時代は良かった・・・
今宵はハードボイルドの黄昏を肴に、
「黒い瞳に乾杯!」なぞとカッコつけてみようか・・・
古き良きアメリカ
有名な小説が原作らしいけど、原作は知りません。
30年代のアメリカLAが舞台で、ウッドベースで渋く始まります。
当時の古き良きアメリカが全開で、ファッションや髪型、車や街並み、など、とにかくオシャレでカッコイイです。
暗すぎず明るすぎず、そんなにハードボイルドじゃないです。
推理モノとしては、まあまあ…
ありがち?な結末かな…
あまり観る人を選ばない映画かと。
檄シブ、ハードボイルドだど!
本作は私立探偵フィリップ・マーロウシリーズ「長いお別れ」の公認続編という位置付けにあたるジョン・バンヴィル作『黒い瞳のブロンド』の映画化。(なのでレイモン・ドチャンドラー作ではない)
フィリップ・マーロウは長身の中年という設定なのだが、リーアム・ニーソンはやはり少し歳をとり過ぎた感はあり、一方設定以上の長身ゆえに当時のスーツやハットが似合い、渋さは半端ない。
聞き込み先ごとにイベントがあり、情報を少しずつ集めながら徐々に核心に迫っていく探偵小説の王道設定だが、謎の美女?ダイアン・クルーガーの妖艶さとお久しぶりのジェシカ・ラングの大物感が事件解決まで道のりを遠回りさせ、ミステリーとしても見応えが十分な作品だったと思う。
観たい度○鑑賞後の満足度△ 現代ではどうしても流血とアクションが必要らしい。だが其よりも残念なのは、マーロウものを読んだ後に去来する寂寥感と何よりもマーロウの孤高さが決定的に欠けていること。
①私の愛するアガサ・クリスティの作品(『オリエント急行の殺人』)を”実に馬鹿馬鹿しい“と思いっきりぶったぎってくれたレイモンド・チャンドラー。
でも私、そんなレイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウものも大好きです。少し前に『プレイバック』を読み終わって、これで短編集以外は全長編を読了。
②で、そのチャンドラー原作ではないマーロウもの。別の作家が書いたものが原作らしいけど、その原作は『長いお別れ』の続編らしいから1950年代が背景の筈だが、映画化に際しては時代背景を『チャイナタウン』と同じ1930年代にしている。
はてさて如何なるフィリップ・マーロウ像、如何なるハードボイルドミステリー映画になるかと、興味半分、心配半分にて鑑賞。
②リーアム・ニーソンは柄としてはマーロウに相応しくないこともない。原作にマーロウは「背が高い」と書いてあるから。
ただ、30年代のマーロウにしては年取りすぎ。
それに所々マーロウらしさがみられるシーンもあるが全体的に見てやはり似て非なるもの。
走ったりするシーンも年齢が出てちょっと痛々しい。
③ダイアン・クルーガーはキレイだが30年代ハードボイルドミステリーのファム・ファタール役には不似合いであった。角度によってはちょっとキャロル・ロンバートに似てるところもあったが。
④そういう意味では母親役のジェシカ・ラングが若ければピッタリだったかも知れない。
まあ、彼女のキャスティング自体がある種のオマージュではあるのだが。
⑤ハリウッド製ハードボイルド映画へのオマージュがあちこちに散りばめられているのを見るのは楽しい。
それが本作の魅力とまで成っていないのが残念。
特に『チャイナタウン』へのオマージュはあまりに露骨過ぎて笑っちゃうくらい。
ハンソン役にジョン・ヒューストンの息子のダニー・ヒューストンをキャスティングしているところとか。
ニコの収集品の中に“マルタの鷹”があったりとか、その他諸々。
⑥監督はニール・ジョーダンなので演出には安定感があるし、前半の緩やかに事件の核心に迫ってゆくところはハードボイルド映画として悪くないけれども、後半はマーロウものファンとしてはちょっとビックリの展開(原作もそうらしいけど)。
事件の真相も暴いてみると、結局金と権力と野心絡みの事件で、それへの社会批判的な視点と、事件に巻き込まれた人間達への冷徹だけれども寄り添うようなマーロウの視線が欠けているのも物足りない。
⑦ミステリーファン、オールド・ハリウッド映画ファンとしては、もっと酔わせて欲しかった。
追記:アラン・カミングはつまらない役。こんな役引き受けなきゃ良いのに。
【”ロング・グッバイ、黒い瞳のブロンド。”1930年代後半の衣装、意匠を含め作品の雰囲気、風合佳き作品。リーアム・ニーソンとダイアン・クルーガーとジェシカ・ラング共演作だったら、そりゃ観るよね!】
ー ご存じの方も多いと思うが、リーアム・ニーソンとダイアン・クルーガーはジャウム・コレット=セラ監督の「アンノウン」(個人的に好き。)で共演している。
そして、今作では舞台を1939年のLAに舞台を移し、今では稀少な第二次世界大戦前のどこか浮かれた世界観に魅入られる作品である。-
◆感想
・ご存じの通り今作は、R・チャンドラーの”私立探偵フィリップ・マーロウ”シリーズの続編として他作家により書かれた”黒い瞳のブロンド”を底本にしている。
故に、リーアム・ニーソンのいつもの派手な立ち回りは少ない。
それを期待していくと、肩透かしを食らうのである。
■私立探偵マーロウ(リーアム・ニーソン)のオフィスに妙齢の美女クレア(ダイアン・クルーガー)が元愛人のニコ・ピーターソンの捜索を依頼しに来る。
ー もう、このシーンのダイアン・クルーガーの美しさにヤラレル。派手さは全くないが、ヤラレル。リーアム・ニーソンの劇渋にヤラレル。-
・クレアと映画俳優の母ドロシー(ジェシカ・ラング)との微妙な関係性や、ハリウッドの富裕層が集う怪しげなクラブも、魅力的である。
ー クレアとドロシーとマーロウが、お互いの腹の中を探る様に高級喫茶店で会話するシーンにも、ヤラレル。-
■怪しげなクラブで行われていた事。そして、それにニコ・ピーターソンが関わっていた事。ダイアン・クルーガーのファム・ファタールなる姿が堪りません・・。
<今作は、現代の映画では普通になっている派手なアクションは余りなく、マーロウも探偵なのに見事な推理を披露するシーンもない。
故に、今作を退屈と思う方もいるかもしれないが、私は今作が醸し出す今や希少な、作品の風合が好きなのである。>
う~ん。なんか違うなと思ってしまった。
怪我をして、映画館で映画鑑賞するのは1ヶ月ぶり。60余年生きてきたが、精神の柱が折れてしまったようで、何もする気が起きなかった。
私の好きなアート系やシリアスな映画は、ちょっと辛くて鑑賞したくなかった。楽しめれる娯楽作品ならと考え直して観てみた。
フィリブ・マーロウが主人公の映画には、決定打がない。ハンフリー・ボガードやロバート・ミッミャムも健闘はしているが、ちょっと違うと思う。リーアム・ニーソンも雰囲気は良いが、歳を取りすぎている。もっと若い頃に撮ってほしかった。
マーロウとマーロイ
推理物にありがちなんだけど、登場人物が多く名前を覚えるのがちょっと大変。セリフの言い回しも文学的というか直接的でないというか、ストーリーのスピードや相関関係に取り残されまいと集中していなければならなかった。なので、これくらいの時代が舞台のアメリカ映画は好きなんだけど、その雰囲気を堪能しきれなかった。
でも、リーアム・ニーソンは好きなので是非シリーズ化してほしい、劇場作品として。
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