劇場公開日 2023年11月23日

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「こうなったら「ご都合主義」を楽しむしかない」ロスト・フライト tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0こうなったら「ご都合主義」を楽しむしかない

2023年11月24日
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旅客機が、何らかのトラブルで、政府の手の届かない無法地帯に不時着するというのは、あり得る話だろう。
そこに、いつか「自分の身にも降りかかるかもしれない」という身近な「恐ろしさ」は感じられる。
ただ、現実的には、乗客が人質に取られた後に、反政府組織との交渉が行われ、身代金を払ったり、救出作戦が行われたりといった流れになるに違いない。
ところが、この映画では、旅客機の機長が中心となって、乗客を救出し、安全な場所に脱出するといったストーリーになっていて、そこが見どころにもなっている。
そして、こうした、あり得ない展開に説得力を与えているのが、機長が空軍出身であるとか、たまたま元傭兵の殺人犯が乗っていたとか、航空会社の民間武装組織が緊急に派遣された(こんな組織、本当に存在するのだろうか?)とかの、出来過ぎた設定ということになる。
こうなると、そんな「ご都合主義」にいちいち目くじらを立てるのは野暮というもので、後は、何も考えずに、乗客救出のサスペンスと、派手な銃撃戦と、ボロボロになった飛行機で脱出する際のハラハラ・ドキドキを楽しむしかない。
終わってみれば、「あぁ、面白かった」という感想しか残らないが、それでも、機長や殺人犯のキャラクターがもっと掘り下げられていたら、より深みのある後味が残ったのではないかと、少し残念に思ってしまった。

tomato