劇場公開日 2023年8月4日

「火も水も土も風も包む、大きな愛で!!」マイ・エレメント 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0火も水も土も風も包む、大きな愛で!!

2023年11月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

笑える

楽しい

映像の美しさ、華やかさに目を奪われました。
一言で言えばファンタスティック‼️
イメージの洪水!!
パステルカラーの泡や風やエレメントの小人たち(?)
枝とか、炭(すみっ子)とか!
美しく作り込まれた街並み。
空中モノレールが走り、立体交差する高速道路などの近代的街並み。
ピクサー作品では「リメンバー・ミー」が大好きですが、
「マイ・エレメント」は作画も個性的で、映像はひときわ
飛び抜けた美しさを感じました。

火・水・土・風の4元素のうちの2つ、
火の女の子のエンバー、
そして水の男の子ウェイド。
2人の住む都市エレメントシティで、
2人が出会って、恋をして巣立つ、
そんな成長物語りです。
(もちろん差別問題もテーマ)

エレメントシティを支配するというか中心になるのは、
《水たち》
移民のような《火の家族=エンバー家》は、
立場がそれはそれは弱いのです。
《火の国》からはるばる船でエレメントシティに移り住んだ
エンバーのお母さんはその時身重でした。
エンバーがお腹にいたのです。
ファイア語を話す2人は、言葉も通じず、
お部屋を探すのもひと苦労。
そんなお父さんが20年後には立派な雑貨店を構える店主。
娘のエンバーに店を継がせて、
生活安定と娘の幸せをただただ願うのでした。

そんなある日、下水管の漏れ目から市役所検査係りの
ウェイドが現れたのです。
それが2人の運命の出会いです。
燃え盛る火の女の子エンバーは勝ち気で癇癪持ちで怒りっぽい。
良家のお坊ちゃんで、感激屋でプラス思考のウェイド。
広い心の持ち主です。
エンバーのどこが気に入ったのか不思議ですが、
燃え盛るブルーファイアを秘めたエンバーの情熱でしょうか?
(君の輝く炎が好きなんだ)
そうでございますか!!

オナラーズのゲームを観戦したり、
バイクでデートしたり、
やがてウェイド家にも招待されるエンバー。
感激症の家族は一言話すごとに涙が洪水のように溢れて、
《大泣きの泣き虫家族》です。
(けっこうコメディタッチ!!)

2人の恋、そしてもうひとつ大事なことは
《エンバーが内心はお父さんの店を実は継ぎたくない》
それを隠していたのです。
苦労して育ててくれた父親を悲しませたくない・・・
癇癪持ちでカッカカッカするけど心根は優しいんです。
それを見抜いてたのがウェイド。・
誰にでも愛される心の広い、水の流れのような男の子。
エレメントシティでは水漏れが大変な事態になっていて、
ウェイドは土嚢を積んで対処するんですが、その時、エンバーが
セメントを燃やしてガラスの堰(せき)を作る才能を発揮するのです。
水は一時的に堰き止められます。
そうなんです、
ウェイド家でも割れたグラスを炎で接着して、
見事に美しい花瓶に蘇らせたのです。
実は《エンバーの夢》
それは硝子工芸作家になること!

エレメントシティを洪水が襲います。
【この映画のハイライト!!】
バイクにまたがり避難を呼びかけ、
みんなを高台へ向かわせるエンバー。
でも大変!!
元火(元となる火)であるプルーファイア入りのランタンを
持ち出すのを忘れたのです。
大洪水の中、店に戻るエンバー。
水が押し寄せます。
《火は水で消されちゃう》
エンバーは今にも消えそう、です。
その時ウェンディがなんと鍵穴から救助に来るのです。
ところがお店の中は燃え盛る火事!!
今度はウェイドが熱で蒸発してしまいます。
《ウェイド》は死んじゃったの?消えちゃったよ!!》
ここからがドラマティックで少しコメディで、
(ちょっとご都合主義的!!・・・許せ!!)
ここで、とっておきの涙のチカラを借ります。
まだ店を守っていた両親とウェイドに、
思いっきり悲しいお話を語りかけるのです。
◎蝶々の羽が折れちゃたよ、飛べないんだよ。
◎死ぬ間際のお年寄りが、ひと夏の恋を思い出すんだよ!!
お父さんが、
◎土禁(出禁が正解)は取り消すぞ!!
お年寄りの80年間の恋物語に大泣きしたウェイドは、
お盆一杯の涙を溢れさせて、
☆☆☆見事に復活。
数ヶ月後、復興を遂げたエレメントシティを、
ガラス会社で勉強をするために旅立つエンバー。
もちろん傍にはウェイドも一緒です。

「火」と「水」
水と油のように相容れないと思われるものたちも、
分かり合える、
補いあえる、
そんな【大きな愛】を描いていました。

映像の美しさ可愛さ独創性、すべて素晴らしかったです。
Superflyのエンディング曲は、この映画の世界観を
余すことなく伝えてくれました。

琥珀糖