劇場公開日 2023年2月24日

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「ボクシングシーンは迫力あり」レッドシューズ 天野空男さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ボクシングシーンは迫力あり

2023年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

幸せ

朝比奈彩さん演じるシングルマザーの奮闘記といった内容で、次から次に降りかかる災難は展開的にややベタな感じで、これでもか、と言うぐらい不幸やトラブルが続きます。
主人公はそんな境遇に自暴自棄になったり泣き言を吐いたりするものの、愛する娘の為に立ち直り、世界タイトルのかかった試合に臨む、というストーリー。
昔観たハリウッド映画「チャンプ」の女性版という感じです。

主人公は思い込みが強く、後先考えずに行動するところがあり、やや情緒不安定気味なので、観る人によってはイライラさせられるかも。そんな主人公の感情を、朝比奈彩さんが目つきで演じ分けていて、さすがに表情豊か。これは共演の市原隼人さんにも言えることで、各シークエンスごとの主役の二人の表情が実に良い。

朝比奈彩さんはなかなかの熱演で、ボクシングのシーンは相当特訓したのでしょう、迫力もあって見応えは充分です。ただ、クライマックスの試合シーンは少し尺が足りないうらみがあります。死力を尽くしての闘いなので、もう少しじっくり見せて欲しかった。

ストーリー的にやや詰め込みすぎた感があるので、試合シーンや義母との葛藤(特にその原因)辺りはもう少し描いて欲しかったですね。

あと、ロケ地として北九州市の風景が出てきますが、いかにも観光地っぽい場所が出てくる訳でもなく、それでいて物語を盛り上げています。中でも港や波止場が、海のきらめきや逆光とともに印象に残ります。北九州市=工業都市のイメージしか無い私には特に印象的でした。

女性ボクサーの物語、と言うことで「ケイコ、目を澄ませて」と比べる方も多いですが、内容もテーマも全く違うので、比較する必要は無いと思います。

天野空男