零落

劇場公開日:

零落

解説

「ソラニン」「おやすみプンプン」などで知られる漫画家・浅野いにおが漫画家の残酷なまでの業を描いた同名コミックを、俳優のみならず映画監督としても活躍する竹中直人のメガホンで実写映画化。

8年間連載してきた漫画が完結し“元”売れっ子漫画家となった深澤は、次回作のアイデアが浮かばず敗北感を募らせている。すれ違いが生じていた妻のぞみとの関係も冷え切り、自堕落で鬱屈した日々を過ごしていた。そんなある日、風俗店を訪れた彼は、猫のような眼をしたミステリアスな女性ちふゆに出会う。自分のことを詮索しないちふゆにひかれた深澤は、ちふゆとともに彼女の故郷へ行くことになるが……。

斎藤工が主演を務め、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」でヒロイン役を務める趣里がちふゆ、「台風家族」のMEGUMIが深澤の妻・のぞみを演じる。

2022年製作/128分/PG12/日本
配給:日活、ハピネットファントム・スタジオ
劇場公開日:2023年3月17日

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(C)2023 浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会

映画レビュー

3.5美しさと抜け出せない孤独と、表現者としての苦しみと

2023年3月26日
PCから投稿

監督としての竹中直人というと、かつて『東京日和』で魅せた柔和さに微かな哀しみを織り交ぜた感触が忘れられないが、今回の作品は変わらぬ映像美を持ちつつも、全編を通じて張り詰めるような心象風景が胸を侵食していく。主演の斎藤工はこの精神状態をずっとキープするのにさぞ苦労したことだろう。というのも、本作の主題には「表現者の生き様」と直結する部分があるからだ。ひとつの作品を終えた虚脱感をいかに克服するか。大衆が望むものと自分が追究したい芸術性との落差をどう埋めるか。葛藤というより無限地獄に等しい産みの苦しみが横たわり、いちばん近しい人に最も辛く当たるなど、表現者としてと言うより人間として堕ちていく姿が生々しい。斎藤も竹中も、娯楽系とアート系を自在に行き来する表現者であるからこそ、彼らがこんな作品を作り上げることにフィクションとはいえ興味深さを禁じ得ない。それにしてもどよーんとしてしまう作品ではあるが。

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牛津厚信

5.0産み出す人の孤独

2024年4月14日
スマートフォンから投稿

凡人には体験し得ない孤独と葛藤を垣間見させて頂きました。
産み出す作品と主人公の生きる現実=嘘と本当?(それとも本当と嘘?)が、主人公の深層の裏と表なのか、それとも表と裏なのか。
裏との世界を泳ぐ風俗嬢が持つ純粋さと、仕事を離れた後の元アシスタントの醜悪さも対比も秀逸。
その後、主人公はどう生きて行くのでしょう。嘘の中でうまく泳ぎ続けるほど、器用ではなさそうだった。気になります。

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すいすいか

2.0「落ちっ放し」という訳でもないけれど…

2024年3月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

作品が売れている間は、アシスタントとの関係も良く、あまつさえ、自分の担当編集者とも結婚してしまうほどの「人生バラ色」だったようですけれども。
しかし、人気の連載が完結し、次が続かなければ、たちまちそれらの関係性が崩壊し、風俗漬けの自堕落な生活に陥っていく…。
その「脆(もろ)さ」を描いたということなのだとは思いますが、そこには「表現者(=クリエイター)」としての苦悩もあったことと思います。
ある意味では、常に「無」から「有」を生み出し続けなければならないのが、表現者(=クリエイター)の宿命と、評論子は思います。

風俗嬢と客とが、こんな関係性を築くかは別論として、それなりの関係性を築いていたちふゆには「宇宙飛行士ではない何か」としか明かさなかった自分の職業を、そこまでの関係性を築いていない後の風俗嬢には「漫画家」と明かしたということは、妻やアシスタントとの破局を乗り越えて、自分が漫画家(表現者=)という職業を人生の生業として選び取ったという現実をを、ちゃんと自分の中に受け入れたということなのでしょうか。

それなりの良作ではあったと思います。評論子は。

(追記1)
「犬は人(飼主)に懐(なつ)くが、猫は家に懐く」とも言われますけれども。
ちふゆの「猫目」は、一見すると人(相手)に懐いているように見えて、その実は、客には懐くものの、客である人そのものには懐かない(素性=陰の部分を他人には見せない)ことの象徴だったように思えてなりません。評論子には。
(そういうところには行ったことがないことに、一応なっているのて、評論子には、しかとは分かりかねますけれども。)

(追記2)
光の使い方が独特だなぁと思いました。本作は。
昼間のシーンでも、あえてカーテンを閉めて、光量を制限する。
人物を、あえて逆光気味で撮る。
それでいて、夜(風俗嬢と過ごすラブホテル)のシーンの明るさ・鮮やかさ。
深澤の鬱屈した心理の描写としては、活きていると思いました。

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talkie

4.5秀でた才能の在り方

2024年1月26日
iPhoneアプリから投稿

2023年劇場鑑賞21本目 傑作 75点

鑑賞した時よりも評価を上げている印象深い作品

才能に長けた人は他人に理解や共感が得られづらいとはまさしくこの事で、仕事仲間やファン、古い知人からはある種煙たがられる対象で、仕事仲間は斎藤工の才能にリスペクトしている様で、本当の意味でついてきている人はいない様な感じで、どいつも自分の位置や金中心で、面構えよくして利用しているだけの様な感じで、ファンもいかにも日本の現代ファンという感じで、所謂にわかファンと言うか、トップチャートのエンタメばかり搾取している傾向にある日本人の体質が本質や本音の部分まで覗こうとしない、この感じを世間から見て良い時と割るときの斎藤工とそのファンの関係でよく描かれていた。

古い知人は、いったら一番斎藤工と親しいだけあって、本質をついている残る言葉を放っていて、漫画を描き続ける限り、ずっと一人、誰にも理解されないみたいな言葉と、その時の印象的な猫目の眼差しが混合して、脳裏に刻み込まれ、事あるごとに思い起こすされるのが、斎藤工にとっても、鑑賞している我々にとっても印象的でした

こと日本映画にしても、昨今配信時代になりセリフがなく絵変わりしないと10秒スキップするような風潮があるらしかったり、現代人はセリフでしか情報を得れない弱者が増えてしまったらしく、それ対策じゃないけど演技や撮り方、間などで観客に伝えるような手法が減り、何でもかんでもセリフ偏り型が年々増えています

監督も脚本家も仕事もらえないと食っていけないし、名前も廃れていってしまうので、どうしても消費者に媚びないとやっていけないので、そうせざれおえない現状があります

この現状も今作の斎藤工に通ずるところがあるので、何かを生み出す人をリスペクトし、探求し追いかける人々は、ちゃんと本質を見抜木、消費者も本物にならないといけないと、今作を通して改めて思いました

素晴らしい作品です

是非

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サスペンス西島
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