配信開始日 2022年11月16日

「力作」聖なる証 ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0力作

2023年1月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

19世紀半ばアイルランド。ロンドンの看護師エリザベスが4ヶ月絶食しているという少女の観察を依頼される。閉鎖的な田舎町の一家の娘アナはしかし健康であった。何で食べないのかという質問には「天のマナを食べている」と答え、朝に夕にお祈りを唱え、とにかく信仰に厚いのだった。アナには聖なる明石として頻繁に訪ねて来る人がおり、その人らから食べ物をもらっているのか、と疑う。エリザベスはアナに負担になっていると判断して家族にも面会を禁じる。
ある日アナやこの地域の取材にロンドンから記者が訪ねて来る。アナは彼に村の泉を見せ、彼はアナに世界旅行の話をし、鳥カゴのおもちゃをプレゼントする。
徐々に衰弱していくアナに無理矢理食物を与えようとするが、ある時、母親が面会時に口移しで食べ物を与えていたのだと気づく。なぜそこまでして食べないのかアナに問い詰めると、9才の時に死んだ兄とは二重の関係、つまり兄と妹プラス夫と妻の関係でもあった、と告白される。
口移しで食べ物を与えていたことは、当然、彼らには否定され、村の聖職者や医師に説明しても信じてもらえず、このまま衰弱死するアナを見殺しにできないと判断したエリザベスは、一家が夜のミサで留守にする日に、ある企てを実行する。エリザベスは皆には未亡人と話していたが、実は生後3週間の子どもを亡くしており、まだ救える子どもを見捨てられないのだった。
泉に瀕死のアナを連れて行き、一旦目を閉じさせて、ナンに生まれ変わらせるエリザベス。
火事の一件の調査後、それまで常に彼女と交代で観察していた修道女がエリザベスに質問する。何か見られているのかと警戒するが「胸騒ぎがしたのでミサを抜け出すと、天使が馬に乗った少女を連れているのを見た」と言う。
ある女性のモノローグでスタジオのセットから始まるオープニングと、そのセットで終わるラスト、という凝った作りも含めて、力作だと思った。

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ミーノ