劇場公開日 2023年2月10日

  • 予告編を見る

「必然は偶然を装ってやってくる、だから面白い」Sin Clock たいよーさん。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0必然は偶然を装ってやってくる、だから面白い

2024年3月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

今日は6本をイッキ見。その1本目に選んだのは、まさかの本格ノワールな邦画。結果、これを選んで良かった!めちゃくちゃ強烈。そしてこの哀愁。堪らない…。

何もかも失ったタクシー運転手たちが企てる現金強奪計画。果たして、待ち受けるのは偶然か、それとも夢にまで見た奇跡か…。密室の中で虎視眈々と足掻く男たちは見事に哀れで面白い。全てをスラッと流し込むような周到さも兼ね備えた本作には、日本の美しい景観とドロっとした人間模様が冴え渡る。終わりも清々しく、あまりにも…。

本作の舞台は神戸。偶然の3が作品の中で時折顔を出す。ありがちな空気を醸し出しながら、邦画らしさを感じさせるのは、そのロケーションが効果的なことを証明しているだろう。また、全体的に黒が統一された作品の世界観が観ていて気持ちよく、タクシーの黒が恐ろしくも映える。その偶然がフィクションになりきらないような緊張感は、演者たちの冴える眼差しによるものだろう。

主演は窪塚洋介さん。ロワールな雰囲気が似合うが、巻き込まれた男の風貌をしっかりと感じさせてくれる。小手先で生きている感じ、その渇きが何より良い。共演には坂口涼太郎さんと葵揚さん。葵さんバキバキにキマってたなぁ…。こんな姿も見たかったから、なお嬉しい。やはり似合うし、逃れられない運命を背負っている感じが最高だ。

終わってしまうとあっけなく感じる側面はあるが、そのメッセージと疾走感、背徳感は見物。本作が商業デビューとなる牧賢治監督、引き続き楽しみにしたい。

たいよーさん。