劇場公開日 2023年2月10日

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「序盤は濃厚な展開なのだけど、後半が紙芝居で巻き巻きモード…。」Sin Clock yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5序盤は濃厚な展開なのだけど、後半が紙芝居で巻き巻きモード…。

2023年2月11日
PCから投稿

今年47本目(合計699本目/今月(2023年2月度)13本目)。

ということで、呪呪呪と5分違いでこちらの映画。
テーマとして「時の同時性」(偶然性)というものがすべてにおいて流れています。タイトル名の sin は(文学的な意味での)「罪」という意味ですが(crimeより硬い語)、おそらく synchrony (時の同時性) などとかけているのでは…と思います。

この通り、「何らかの理由で偶然に同じ事象にあった3人の主人公」がテーマで(この映画の主人公を1人に決めるのは無理?)、この3人のそれぞれの生い立ちや、その結束までは丁寧に描かれるものの、問題はそこからで、その「問題を解決する」(換言すれば、何か事件を起こす)、その後半の要は「お楽しみ部分」になると一気に巻き巻きモードになっていて(この映画は100分ない映画)、やや何を言いたいのだろう…というところが疑問点として大きく残ってしまいます。
もちろん何の理由もなく180分(インド映画級)も困りますが、「100分未満ではやや説明不足かなぁ」という点はどうしても否めません。ただ、趣旨は理解できるし、監督の方も長編では本作がデビューであり(公式サイト参照。なお、そのような事情なのに大手映画館でやっていたので、一定の評価は受けているのだと思います)、ある程度傷があっても仕方がないかな、という気がします。

こうした細かい点は気になるものの、今週はバビロン(180分級)やバンバン(インド映画。180分級らしい?)など3時間級が2つもあるという特異な週で、120分(2時間)きらずにさくっと見たいというならおすすめです。日本映画なので、理解につまづくところはないからです。

採点に関しては以下の通りです。

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 (減点0.3/趣旨を理解するのが後半困難)
 ・ 多くの方が書かれている通り、100分を切る形で作品にまとめた点は理解できるものの、前半の濃厚な登場人物の描写と比べると後半は監督さんが入れ替わっているの?というくらいに巻き巻き展開になっていて、ここの部分はどうしても指摘対象になってしまう、と思います。といっても、一応最低限の展開描写はあるし、一応理解は可能です。
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 (減点なし/参考/車両運転における警察のいわゆる「違反きっぷ」について)
 ・ 速度違反等も明確な罰則規定がありますが、車社会の日本ではそれをすべて裁判にかけるというのは実質的に無理があります。
そのため、赤切符などがきられた場合、任意に指定された金額を支払えば起訴はされない、という仕組みが取られています(特殊な扱い。国民に浸透しすぎてすべて検挙するのは無理)。

 したがって、これによって任意に金額を支払うと、そのあとにその警察(警官)の処分が無効だとして取消訴訟で争えないというのが日本の判例の立場です(このように大量に行われるものを簡易迅速に対応しているのに、任意に金額を払った後、さらに取消訴訟等(行政事件訴訟法)で争うというのは、刑事訴訟と行政訴訟が両方交差してしまうため、裁判の進行の想定するところではない、というもの)。
では警察(警官)の処分に不満がある場合、「放置して起訴されたら、そこ(刑事裁判)で自身の無罪を争う」ということになります(同判例)。

 ※ したがって、「任意に」支払っているに過ぎない、ということに注意です(ただ、実際問題そうしないと、地方裁判所はパンク状態になるため、多くの国民がそうしているにすぎない、ということです)。

yukispica