劇場公開日 2023年2月3日

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「チネマット試写会にて。ムズムズするけど、これもまた1つの生き方だよ...」生きててごめんなさい たいよーさん。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5チネマット試写会にて。ムズムズするけど、これもまた1つの生き方だよ...

2023年8月2日
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鑑賞方法:試写会

チネマット試写会にて。ムズムズするけど、これもまた1つの生き方だよな…としみじみ。自分を生きながら他人と生きることは、最もありきたりで難しいことかもしれない。

個としての生き方を優しく捉えながら、返ってくる痛みがまた残酷というか…。上手く生きられないことを自他共に認めていながら、そのぼんやりとした関係性を改めて見つめた時、人はまた1つ進むのだろうか。

最近よく見る痛エモ的な感じかと思いきや、充足感とは真逆にいるふたりの空っぽさが容赦ない。「#イキゴメ」なんか作るからなおさら。そんなマーケティングが合わないと感じるほど、理想だけの生き方にしか映らない。共感性は低く抑えられながら、現代的な若さを感じる。見ながら思うのは、世界を劇的に変える魔法も手段もない上に、理想論の痛さ。じゃあ、足りないふたりがバランス良く保てるかと言われると、そうでもない。様々な顔や正義が小さな枠の中で行き交う現代だからこそ、この不安定さに胸が締め付けられる。

主演は黒羽麻璃央さんと穂志もえかさん。不器用にも程があるだろ…と言いたくなる協調性の無さは、生きる為の術を知らない不器用さを引き立てる。かまってちゃんや夢想家、上手い言葉で形容できても、彼らの想いは微塵も届かない。それを諦めたような自分にとって、感覚が掴めない辺りも面白い。順応なのか、はたまた不器用なのか…名もなきボーダーに落とし込んだ柔さもこの作品の魅力だ。

このテーマであれば、振り抜きたくなるようなテンポと転調を持っているが、本作にはない。華も枯れ、愛を憂う2人の生活を問いながら過ぎる様に、今の若さを感じながら余韻に浸る。

たいよーさん。