劇場公開日 2022年12月16日

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「正直言ってこの映画を舐めてました」Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0正直言ってこの映画を舐めてました

2022年12月27日
PCから投稿

正直言って舐めていた。序盤、アメリカの若者が勝手気ままにパーティームードで盛り上がる映画なのだろうと斜めから見ていた僕は、知らぬ間に本作の魅力にグイグイと引っ張られていた。出てくる奴らはみんなチャラくて、芯がなくて、モラルもへったくれもないが、しかしそれを演じる彼らはやけに呼吸がぴったりで、チャラさの裏側にキャラ作りの確かさが見える。この軽いノリを即興で固めるのではなく、きちんと観る側を意識しながら、周到なプランを持って演出、編集している印象を受けた。そしてチャラかったノリは同じ鮮度のチャラさを保ちつつ、しかしそれでいてカメラの照準をグッと絞るかのように周到に、確実に、たどりつくべき場所へと導かれていく。信じがたいほど強烈な顛末を抱き寄せながら(この瞬間、思わず吹き出してしまった)。二人の女優たちの掛け合いと友情とささやかな夢。この小さくて脆弱な唯一無二ワールドを構築した演出力を讃えたい。

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牛津厚信