劇場公開日 2022年10月8日

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「これがコロナ禍の現実だった(ユーモアに救われました)」夜明けまでバス停で 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5これがコロナ禍の現実だった(ユーモアに救われました)

2023年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

コロナ禍で飲食店はキャルセルが相次ぎ、アルバイトは最初に解雇され、
路頭に迷った多くの人々が苦しみ、追い詰められた。
それを追い、寄り添った映画です。

本当に苦しい展開で、
誰かに助けを求めて!
お願いだからgive upして!!
と祈るように気持ちで北林(板谷由夏)を見ていました。
そんなに《プライド》
大事ですかね!
《プライドが一番大事》
そう公言する友だちいましたっけ!
プライドなんて【甘ったれ】の言う台詞!

高橋伴明監督作品は一本も観たことがありません。
バクダン(柄本明)が監督の代弁者の気がします。
腹腹時計?
知りませんでした。

《コロナ禍に苦しみ、生活基盤を失い、困窮した人々を取り上げた作品》
それをエンタメ作品の映画にしたのは。
高橋伴明監督、お一人ですね。
一番に切り捨てられた社会的弱者を主人公に、
ヒリヒリする前半と、
一転してバクダンの狂言回し的役割で、
明るいエンタメ作品に仕上げる。
メッセージは伝わりました。

社会が悪い、そして政府も政治家も悪い奴ばかり、
利権にたかり、おこぼれに与ろうとする人の群れ、

この映画では描かないけれど日本の現実は
《弱肉強食》
それがまごう事ない現実です。
太古の昔から《悪知恵の働く目先の利く奴》には、
勝てないのです。

柄本明の元学生運動の闘士・・
柄本明の台詞こそ高橋文明監督の言いたかったことではないでしょうか?
ユーモラスで棘があって三知子と【全く噛み合わない】
そんな会話の面白さ。
成田闘争とか三里塚とか・・・
なんか凄い時代がありましたね。
元学生運動の闘士だったと聞く高橋伴明監督。
だから《役所に助けを求める》
その選択肢はないのかなと。
あと疑問だったのは、北村三知子(板谷由夏)が、
介護の仕事をコロナ禍で断られた後、
もっともっと【必死こいて】仕事を探さないこと。
水商売や風俗が選択肢にないのは良かったですが、
健康でまだ40代なら、
私なら新聞配達をします。
住み込みも可能だし、
寮とか住宅費補助なんかありますよ。
あと国の政策で疑問なのは、
失業者が多いなら、
なぜ農業や酪農に都会の若い人やシングルマザーを受け入れる
体制を作らないのでしょう?
食料自給率を上げることは、戦争が始まれば急務です。
《食糧危機は目の前です》
それに農業や酪農は辛くても心を育む仕事。
希望がない、元気のない日本人の心を満たす・・・
《若い子はyoutube rとか、インスタグラマーになりたい・・》
楽する事、そればっかり・・・
本当に情けない
現実にはみんな必死で働いてます。
生きるため、家族を養うため、子供を教育するため、
雨の日も嵐の日も吹雪の日も、
必死に働いています。
大半の人は。

まぁ映画的設定だし、もっと厳しい条件の人もいます。
病気の人、障害のある人、小さい子供を抱えて働けない人。

でも農業や漁業。
漁業は今、若い女性が続々と参入しています。
そして日本の米・野菜・果物はメチャ美味しい。
本気でフランスのような農業国に変えませんか?
そこに政府は補助金を注ぎ込むべきです。
外国人労働者を安く働かせること・・・そればっかり!
そこじゃない。
《心を病んで引きこもってる中高生が多いです》
《働かない中高年の引きこもりも多すぎる》
日本人が労働者になりたがらない現実を変えて行かなければ。
北林だって小綺麗な【ジュエリーデザイナー】って、
一見アーティストっぽい響きの仕事に、プライドを満足させていた筈。
焼き鳥屋のバイトは【仮の姿】
自分はアーティスト・・・それが支えだった。
現実を見ろ!!
とも思った。

三知子が男に渡したカード4枚で借入限度額一杯借りられた・・・
そうなる前に早くカード解約せいや!!
アホか!
とも、思った。
男にカードなんか渡すな!!
その男は完璧に犯罪者予備軍だよ。
(そりゃあ、恥ずかしいさ、自分の馬鹿さが公になる)
甘やかすから、その馬鹿男に騙される女がまた出る。
北林は被害者であり加害者なんだよ。
(・・・本気になって心配になる映画でした)

どれにしても三浦貴大の焼き鳥チェーン店のマネージャー。
パワハラ、セクハラ、横領。
クズっぷりが凄まじくて、三浦貴大も随分太ったし、
好感度ゼロの憎たらしい役。
上手い役者になりましたね。
それとYouTuberの柄本佑。
ひろ○○そっくりのムカつく奴で、
馬鹿っぽさに笑った!!
どんな役でも見事にハマる(親子共演ですね)

ウクライナ侵攻
物価高
地震の恐怖

(最近の方がレストランや店の閉店が多くなっている)
(コロナ禍でなんとか持ち堪えてきた店が次々とつぶれている)

お先真っ暗だけど、
病気で働けないとき、
本当に困って頑張れないとき、
最後に頼れる友人と、
社会のセイフティネットは、
絶対に必要だと思いました。

琥珀糖
もりのいぶきさんのコメント
2023年3月13日

琥珀糖さん、お邪魔いたします。

>元学生運動の闘士だったと聞く高橋伴明監督

そうなのか、と改めて確認してみたら、この監督と
柄本明って、年齢的にもほぼ同世代 (1歳違い)ではないですか。
これはやはり↓

>柄本明の台詞こそ高橋文明監督の言いたかったこと
>バクダン(柄本明)が監督の代弁者

ということで間違いないでしょう。うん。

それにしても柄本明。
こういった役柄が似合ってますね と、しみじみ。
(柄本明 好きなもので …^_^; )

もりのいぶき
いぱねまさんのコメント
2023年3月13日

ご丁寧な返信コメントありがとうございました 大変参考になりました 改めて私の愚考に対しての真摯なご解答、恐縮しております

貴殿の仰ること、本当に正しい志しだと敬服致します
あくまでも今作品の解釈というか、私なりの思い込みに依るところが大きいので、私自身の思想信条とは異なる事、ご理解願います

まぁ、『働かざる者喰うべからず』は世の常ですしねw
義務を果たさず権利ばかり主張する輩はこの世に存在しない方が世の為かと^^

返信せず捨ておいて下さい

失礼しました

いぱねま
いぱねまさんのコメント
2023年3月13日

失礼します 共感ポイントありがとうございました

まず彼女が仕事を探さなかったことの解釈というかタラレバは観賞後の感想の醍醐味ですね それだけ作品に感情移入しているという事でもありますしね
私の愚考では、彼女はもう諦めてしまったのではと思います コロナ過の状況はほんとに求人募集はありませんでした 彼女のプライドは、アクセサリー細工に集約しているのだと思います それさえも絶たれた事で、一気に彼女の攻撃性が発露してしまったのだと思います まぁテロリストの心情というか、過激思想ですね 多分、彼女に夢がなければ貴殿の仰るように、後ろ暗い仕事は別にして、所謂一次産業への従事も考えたのかも知れませんが、何度も言うように求人は激減し、ましてや何度も不採用が続けば社会が自分を必要としていないんじゃないかと考えるのが一般的かと・・・ それとも一般的に何度も這い上がってチャレンジする人が普通ならば、ほんとにやりがい搾取ですよね(苦笑 ちなみに一時産業の後継者不足の理由は色々な情報でご理解頂けると思います 作業は本当に厳しく、簡単に奨めないのは、ハローワーク行くと実感します ちなみに老人ホームも奨めませんね(苦笑 「仕事がないんだから低賃金でも働け」というのは勿論正論ですし、体力が無かろうとも躰壊そうとも従事すべき事は耳障りが良いですね でもそれって結局支配構造を肯定していることに他ならないのではと、そう思案したかどうか作中には表現されていないが主人公はその構造自体を壊す、その先のアナーキズムかどうか分らないがそのベクトルに傾いたのではと・・・その思想への至る道に"手先の器用さ"というのが大きなモチベーションになったのだと思います 彼女はその才能を手段として今迄アーティストとして夢の実現に奮闘していたが、何のことはないその才能そのものが夢への近道だったのだと悟ったのでしょうね だからオチは記載しませんが、あんなことになっても却って生気が漲る表情だったと思うのですが・・・ あ、もしかして夢オチだったのかな?w
いずれにしても、今作は分かり易い作劇分、感想戦での共通のプロトコルが多くて語り甲斐があると存じます

駄文失礼しました

いぱねま