セイント・フランシスのレビュー・感想・評価
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多様性を優しく肯定する良作
「35歳過ぎると高齢出産」ストーリーの冒頭から放たれるセリフ、事実なんだけど、人によっては耳を塞ぎたくなるだろう。
生理、妊娠、中絶、出産、産後うつ…
女性の性と身体にまつわるあらゆることが本作に描かれている。きっと多くの女性がどれか一つでも本作の描かれるエピソードに共感するのではないだろうか。
産後うつについては心が痛かった。子育ては“クソ孤独”、もう、これはほんとに経験した人にしか分からないこと。
中絶について、わりと淡々と描かれるんだけど、結局は傷つくのは女側。ブリジットが感情を爆発させるシーンにはもらい泣きしてしまう。
本作の年下の彼氏は割といい奴だったけどね。
子を持つも持たないもその人の自由。子どもが好きで、または子どもを望む人たちだけが産めばいいんだと思う。
(だからこそ、避妊はしっかりと)。
本作にはブリジットのような人も、マヤのような同性カップルも、いろんな人たちをさりげなく、そして優しく受け入れ、肯定している。
色んな生き方があっていいよね、色んな考え方があるよね、幸せの形って人それぞれなんだよね。そういったメッセージを感じた。
少女・フランシスの生意気さと可愛さのバランスが絶妙でスクリーン越しにハグしたくなる。本当に可愛い♡
ラストのブリジットに話すセリフには爆笑しちゃった笑
女性のリアルに正面から体当たりしている映画です。 性の話題をタブー...
女性のリアルに正面から体当たりしている映画です。
性の話題をタブー視する社会では性の悩みを抱えていてもなかなか大っぴらに話すことができませんが…
毎月の生理、中絶のダメージやバッシング、出産の痛み、出産後の満身創痍や寝不足、学歴や結婚、身体のことや自分の生き方に不安に駆られる姿が赤裸々に描かれてます。
同年代ならではの悩みに共感出来る部分はありました。
『セイント・フランシス』を観たら、ぶきっちょな自分でもまいっか…って思えました。
新たな“ブリジット・ジョーンズ“
シュールで、一種グロテスクなシーンが冒頭から散りばめられている。生理、出血、中絶、ゲイや差別…etc,。
日常に嫌気がさしたり、自己嫌悪で落ち込んだり。主人公ブリジットも周囲の人間も、皆、えっちらおっちら、息切れしながら生きている。でもその細やかな頑張りや品位を、誰かが認めて応援してくれたら、また新しい一日を迎えることが出来る。
"等身大ヒロイン”はブリジット・ジョーンズのみにあらず。こちらのブリジットも一生懸命に奮闘している。
なんといっても子役が上手い。観客は、子供の存在はそれだけで“セイント=聖なるもの”であることを、ブリジットと一緒に納得してしまうのだ。
大学を1年で週大して、いまはレストランのウェイトレスとして働くブリ...
大学を1年で週大して、いまはレストランのウェイトレスとして働くブリジット(ケリー・オサリヴァン)。
あるホームパーティで「34歳で仕事も上手くいかず困っているんだ・・・」とアッパーミドルクラスの男性の愚痴を聞かされる羽目に。
「きみは、まだ20代だから、ぼくみたいな心配なんてしていないと思うけど」という男に、「わたしはもう34歳。レストランのウェイトレス」と切り出すと、男はそそくさと退散した。
代わってブリジットのもとへやってきたのは8歳年下のジェイス(マックス・リプヒツ)。
「ぼくもウェイターだ」という彼と意気投合したブリジットは、その夜、彼と深い関係になるが、翌朝ふたりの顔には血の跡が。
ことの最中にブリジットの生理が始まっていたのだった・・・
といったところからはじまる物語で、その後、ブリジットは夏の間の2か月だけ、6歳の少女フランシス(ラモナ・エディス=ウィリアムズ)のナニー(子守り)を引き受けることになるのだが、フランシスはレズビアンカップルの娘、さらにはブリジットが妊娠していることが発覚し・・・と物語は展開します。
波乱万丈なオーバーサーティの女性の物語といえばいいのかしらん、とにかく、リアルな感じが前面に醸し出された物語で、定職もなく、まだ恋人ともいえないジョイスとの間に出来た子どもは迷うことなく堕胎します。
この即物的ともいえる決断は映画前半にあり、フランシスには迷いはない。
たしかに、あとすこしで高齢出産といわれる領域に突入するのだが、いまの状況で出産して子育てすることなど考える範疇にない。
この決断の背景は映画が進むうちに徐々にわかってくるのですが、日本のみならず米国においても女性間での分断はすさまじく、その差別意識はものすごい。
フランシスが属しているグループは、職なし・金なし・恋人なし・子どもなしグループで、米国でも負け犬的扱い。
かつての単科大学の同級生(単にいっしょの大学に通っていただけなのだが)、負け犬はかしずくのが当然と言わんばかりの扱いを受ける。
自分の階層グループを自覚しているブリジットは、女王気取りの彼女の命令を唯々諾々と受け入れる(が、自尊心は失っていない)。
また、フランシスの両親(マミーとママ)も世間からは白眼視されることもしばしば。
キャリアウーマンのマミーは、キャリアを守らなければならないために、家庭をおろそかにしてしまうし、ひとり子育て(新たに子供を出産した!)ママは育児鬱になってしまう。
オープンスペースで母乳を与えようとしたママは、ほかの母親から大いに非難される。
うーむ、女性が生きづらい世の中なのだ、ほんと。
女性の敵は、女性。
「じぶんと異なる属性の他人は非難してもかまわない、いや非難すべきだ」的なことになっている。
ならば、男性が女性の味方になってくれるかといえば、そういうことはなく、比較的女性の立場を理解してくれるジェイスは経済的には未熟だし、男性としてのセクシャリティも薄い。
冒頭のアッパーミドルクラス男性は、女性は若いにこしたことはないとと思っているし、もっといえば、やれればいいぐらいな感じ。
後半登場する、ブリジットがちょっと心動かされる中年ギター講師も、肝心のところでは心もとない(彼が女性を理解しているかどうかはあまり描かれていないが、冒頭の男性とそう変わらないようにみえる)。
どっちを向いてもブリジットは救ってくれるような大人はいないのだけれど、唯一、「子どものころ、泣き叫ぶあなたの足をもって、振り回して壁にぶつけてやりたかったわ」という母親は、ブリジットが考える「いい大人」のようだ。
ブリジットと仲良くなるフランシスも、まだ6歳であるから、大人の女性(男性もか)のバイアスに毒されていない。
生きづらい世の中だけれど、自尊心だけは失わない。
そう思いながら生きていくブリジットの姿が痛々しくも、生々しく、すこしばかりの希望も感じさせられる映画でした。
脚本は、ブリジット役のケリー・オサリヴァンによるもので、自身の経験が投影されているとのこと。
堕胎後、頻繁に下腹部から出血するブリジットの姿に生きることの生々しさがあらわされていますね。
漂流する人生と同性愛と中絶。
34歳の女性ブリジットと6歳の少女フランシスの心の交流を描いた物語。
そして、中絶とカソリックという宗教的テーマも"ゆるく"描かれている。
大学を1年で中退し、今はレストランのウエイトレスとして働くブリジットだったが、パーティーで知り合った26歳の男とSEXし妊娠してしまう。
男とは付き合うとも付き合わないとも言えない関係が続くブリジットだったが、子供を生むことはまったく考えず、あっさりと中絶手術を受けて堕胎してしまう。
そうこうするうちに、夏の間、レズビアンのカップルの家で子守の仕事をすることになったブリジットは、フランシスの世話をまかされることになり、ウエイトレスをやめ、レズビアンのカップルの家に通うようになる。
レズビアンのカップルはカソリックの信者だが、カソリックでは同性愛もタブーだと思うので、宗教的には認められない同性愛と中絶という問題をテーマとして描きたかったのかもしれない。
主演のケリー・オサリバンが自身初の脚本を手がけ、私生活ではパートナーということだがアレックス・トンプソンが長編初監督を勤めた作品。
初めてとしてはまとまった作品になっていると言えるだろう。
前半出てきた"付き合っていない彼氏"が後半は出てこなくなる。ブリジットの両親も含め、様々な登場人物との成り行きを描けたら、もっと厚みのあるストーリーになっていたかもしれない。
ぜひ、劇場でお確かめください!
#147
ひと夏の経験
まぁ〜賢いわ!気分屋だわ!おませだわ!
そんなフランシスから目が離せなかったわ!
演じるラモナちゃん!大人達が霞む程の完璧な演技!恐るべし!
…何の取り柄も無いアラサー主人公ブリジットのひと夏を描いたハートフルドラマだが
中々題材になり難い生理や中絶を時にリアルに時にコミカルに描いてる様も潔い!
赤裸々な「女性あるある」ではあるものの
学歴、人種差別や同性婚…現代の社会的要素をたっぷり折り込み見応えの濃さをも感じられた
決して派手な仕上がりでは無いが結末の締め具合も心地良く、夏の終わりに出会えて良かったと思える作品でした!
…この先、何回目かの夏にブリジットとフランシスがランナウェズの曲をシャウトし演奏する姿が見れたら素敵ですね!
30代独身は色々複雑だけど自由でもある
30代は学生の頃からの友達との価値観がずれてきたり、仕事による年収格差などがはっきりとしてくる年代だと思います。
結婚しているか、子どもがいるか、収入がしっかりしてるかなどで生活が変わるのである程度は仕方のないことです。
この作品は34歳独身でフリーターの女性のお話ですが、やはり近い年代の方が共感できるのではないかと思います。
今後人生をどう生きていくか悩んだり、高齢の親の健康が心配だったり、子どもがいる友達の話し相手になってそれで虚しくなったり、30代は色々考えることがあるってことが本当によく描かれています。
フランシスやその家族との交流を通して主人公の心が少しづつ救われていく感じがとても良かったです。
フランシスと段々と心通わせていくところもとても良かったです。
見終えてとても暖かい気持ちになりました。
互いに少しずつ、それぞれのその先へ
冒頭いきなり、の出血にちょっと驚く。しかも、一度きりじゃない。何度も何度も、白地に赤い血、が登場する。男性はギョッとするのではと、余計な心配が頭をよぎった。が、そもそも、ギョッとしたのは自分自身。毎月のこと」に、いかに自分がフタをして、見ないようにして流しているか。それは、10代からそのように仕向けられてきたからであり、そんなルールを無批判に受け入れ取りこんできた結果でもある。
34歳のブリジットは、(少なくとも私よりは)堂々と出血しているように思えた。でも、彼女もまた、こんなはずじゃない人生の中でもがいている。やさしい年下の彼氏との日々も、すんなりとは受け入れられない。ダイナーよりもマシな仕事を、とレズビアンカップルの娘•フランシスのシッターに何とかありつき安堵したものの、思いがけない出来事が降りかかってくる。
戸惑いながらも妊娠を受け入れる、とかシッターする子とじわじわ関係を深めていく、といった定番コースを、本作は辿らない。むしろブリジットは、よりこんがらかる方向に足を踏み入れていく。
ささやかな突破口となるのは、産後疲れに陥るフランシスの母親だ。キャリアと家庭を手に入れた完璧な女性に見えた彼女の揺れや孤独に触れ、ブリジットにも変化が訪れる。そして、最後に彼女たちの背中を押してくれるのは、可愛げがなく困った子だったフランシスだ。欠けたところのある大人と子どもが、共に過ごすなかで少しずつ底上げされていく。そんな見過ごしてしまいそうな日常を、本作は丁寧にすくい取っていた。
アルバイトのベビーシッターは日本ではあまりなじみがないが、多くの地域には「ファミリーサポート」という仕組みがある。会員登録制で、子を預かってもらったり、習い事や学校の送迎をしてもらう。私はもっぱら利用するばかりだが、これまでさまざまな方々にお世話になってきた。子どもを介して関わるなかで、子ども以上に、自分が支えていただいたと強く感じている。それに、親だから、子どものことが一番なんでも分かるとは限らない。子について色々伝えていただく中で、そんな好みがあったのか、そんなことを言ったりやったりするのか、という発見が日々あった。家族親族、先生生徒とは異なる繋がりだからこそ、得られるものがたくさんあった。
そんなサポートさんとの出会いと別れは、大抵新学期にやってくる。サポートさんの人生の節目もあり、こちらの節目もあり。フランシスとブリジットのせつない別れの先にも、きっと新たな「はじまり」があるはず。フタをしてしまっていた感情を腑分けし、伝えられるようになったブリジットのその先を、あれこれ想像しながら帰路についた。
もっとポップに
女性が抱える悩みや苦悩を、出会った純粋無垢な少女が身近な問題、そしてライトな感覚にしている。男性としては、デリケートであまり触れないように避けている部分があったが、これを観て理解というよりは、これらについてもっと聞こうと思った。映画館で例のナプキンを貰えたようだが、生理用品をポップなものに扱おうとする試みが素晴らしいと思う。しかし、俳優陣が素晴らしく良かったなあ。
フランシスには癒されましたが
フランシスには癒されましたが、主人公のブリジットには共感できませんでした。
映画で出てくる海外の女性の生き方に、いつも共感できないことが多いのは、本人が努力を怠る一方で、高望みしたり、自分を偽ったりするからなのかなあ?
聖人フランシスと聖人ブリジット
ある種のバディムービーだな
ブリジットはフランシスに救われていくけれど、同時にブリジットはフランシスとその家族を救っていく
家族崩壊の危機はブリジットの一言、ブリジットの母親から授けられた神の啓示ともいうべき一言で救われた
一時解散となるけれど、彼女達の仲はその時が来てもきっと変わらないだろう
そこには揺るぎない信頼があるからだ
ブリジットも34年間で最高の夏を過ごすことで自分の道が見えたんじゃないだろうか
いうほど
いうほどフランシスの言動が影響力を持つわけではない。どちらかと言えば象徴的な感じで、むしろ30代独身女子あるあるを自嘲気味にやってみせるのに受け止めやすい態度をフランシスが見せくれる。
経血絡みの描写も映画では初めて見た気がするが、あるある的な着地。とても現代的な作品とは思うけど。
まさに女性の映画
レストランで給仕として働いている平凡な30代の独身女性ブリジット。彼女が同性婚(女性同士)家庭で育てられている6歳の女の子フランシスのナニーとして働いたひと夏に起きたさまざまな出来事を綴った映画。
同性婚と偏見、女同士の夫婦間の嫉妬、セックスと避妊、中絶と宗教また男女間の負担の違い、中絶後の身体の変調、産後鬱、やたらに出てくる生理の話。ブリジットの母親の子育て時の話(育児ノイローゼ)等々。また、公園で授乳するマヤにクレームをつける白人女性とのやりとりは、所謂典型的な保守的常識的女性たちの考え方を表したものなのだろう。そして、ギターを習うフランシスを褒める時にギターの講師は、懐かしい女性だけのロックグループ、ランナウェイズのギタリスト、ジョーン・ジェットを引き合いに出す徹底ぶり。まさに女性の映画なのである。じゃあ、男にこの映画は関係ないのか?男の回りには妻、恋人、娘、憧れの人、都知事、文部科学大臣(関係ないか)、…会社にも学校にも女性はたくさんいるよね。男なら尚更女性について知り考えるべきなんじゃないですか?(因みに僕は男です)
20年の変貌。
女流監督シャロン・マグワイアが2001年に公開したコメディ「ブリジット・ジョーンズの日記」は、レニー・ゼルウィガーが、恋を求める32歳の独身女性を演じて、大ヒットした。
主人公は、イマイチ恋愛に不器用な、小太りなアラサー超えのプチブスなキャラクター設定。理想のイケメン&玉の輿へなかなか到達できないチグハグ、感情のスレ違い、間の悪さ、ゴージャス&ナイスバディ女性へのコンプレックス、など盛りだくさんの恋愛喜劇だった。当時はそれで、観客席は沸いていた。
20年後に、いみじくも『ブリジット』という同名で34歳の独身女性が主人公。彼女がナニーとして雇われる先は、黒人と白人のレズビアンカップルで、そこの黒人側の娘の子守り。白人側は子供を出産したばかりで、産後鬱に悩んでいる。一方ブリジットも行きずりの性交渉で妊娠し、中絶したばかりで体調はすぐれない。こちらのブリジットは20年前と違い、恋愛にこれっぽっちも憧れを持ってないようだ。それでも、温かみあるエンディングは(とりあえずの)ハッピーエンドなので、コメディと言って良いのだろう。
この20年の間に、ここまでアメリカの文化は変貌しているのだ、という驚き。2001年は平成なら10年以上経っている。それから考えれば、僕らにとっては、つい昨日のような「昭和」は、世の感覚では、遥か古代の歴史でしかないのだろう。
現代のいろいろな考えるべき要素が盛り込まれている
セックス・生理・避妊・中絶・学歴・同性愛・子育て・学歴・宗教など、現代のテーマが全て盛り込まれている。
普通は隠されるようなことが、丁寧に描かれていて、そうだよなと思い出してしまう。
普通の目線から、現代アメリカの状況が見られ、それは日本と変わらない。
これらの課題を受け入れて、前向きに行こうとしている、というか、しょうがないなぁ的に行く主人公に共感。
母親の言葉は、自分にも響いた。
静かに元気づけられる映画でした。
どう評価すべきか?
恐らく何らかの主題があるんでしょうけど、個人的には特になにも感じない。
妊娠、中絶、レズ夫婦、辺りらしいけど、どうも狙いがわからない。
1時間40分のちょうどいい長さで飽きずに見られたので、つまらなくはないものの、面白かったとも言い難い。
女性ならわかるのかもね?感受性に訴える作品が苦手の人には不向きです。
さりげなく現れた奇跡のような傑作だ。
予想を遥かに超えた傑作。すべての女性に観てほしいし、すべての大人の男性にはもっと観てほしい。ひと夏のナニーの仕事を得たフリーターの30代女性。対象の子供やその家族、ボーイフレンドらとの関わりの中、生理や経口中絶薬による中絶等の女性性をユーモラスにリアルに描く。
ボーイフレンドが、こういう場合によくあるクズとかではなく常識もあり優しい点や、ナニーをする相手家族がレズビアンカップルであったり、これまで「常識」と思っていたことを「思い込み」として払拭することで、更なる「ほんとう」が見えてくるのがとても面白く、奇跡のような作りだ。
中絶に対する彼女の気持ちや選択はこれまでの「女性へのお仕着せ」を脱ぎ捨てさせる。レズビアンカップルの葛藤や悩みが男女の夫婦とまったく同じなのも、子育てやパートナーとの問題に性別は実は関係ないのだと気付かされ面白い。かといってフェミニズム的啓蒙映画ではなくとても愉快で温かいのだ。
経血とか普通に出てくるけど、ところどころクスクス場内には笑いが起きるようなユーモラスな描き方。でもわたしは何ヶ所か、笑いが起きてる場面やシリアスな場面、いろんなシーンでけっこうな涙が出たわ。なんか隠して我慢してたところを掬い上げられた感じ。でもほんと「男女みんなの」映画だと思う。
幸せの形は自分が決めればいい
男で性的にはストレートである自分にとって、共感できるポイントは少ないにもかかわらず、なぜか自分も救われた気がする。
夏休み中の6歳児とナニーの日常を中心にストーリーは進んでいく。大きな事件が起こるわけでもなく、燃え上がるような恋があるわけでもない。それでも、スクリーンに観客を惹きつける力がすごい。
リー・オサリヴァンが素をさらすようブリジットを演じていることが伝わってくるし、演技をしているようには見えないほど、自然な表情を見せるフランシスを追いかけていると、あっという間に時間がすぎてしまう。
幸せの形というのは、周りが決めるものではなく、自分が決めればいい。フランシスの笑顔を見て、そう思った。
妙にいろいろなものを突っ込んだ結果、難易度が高くなりすぎ…。
今年251本目(合計527本目/今月(2022年8月度)27本目)。
30代女性と6歳の少女のひと夏を描くヒューマンドラマ。主人公を誰にとるかは難しいですが、ブリジットさんととるのが妥当でしょうね。
ブリジットさんは良い人で、たまたまうまく回らないがためになかなか良いことに恵まれない、「それだけ」なのだけど、さらにこの映画には「血」というものが多く登場します。「女性に特有の現象」です(一応ネタバレ回避)。この「血」の描写も結構出ますので(グロ映画ではない)、それにも何らかの意味があるのかな…というところです。
一方、この映画がそれらを超えてさらにわかりにくいのは、突然男女同権思想の話や黒人差別の話(出てくるのは看板だけ)、さらに「持続可能な社会」がどうだのという話まで出るかと思えば、今度は教会のシーンだったりと、映画のストーリーやここの紹介に反して出るものは結構多いです。
こういった事情もあって、主人公のブリジットさんはそんなに「悪物」でもないのに、ストーリーがあっちこっち飛ぶために、「結局、彼女誰だっけ?」となりかねない(余計なストーリーが多くてブリジットさんさえ忘れそうになる)点など、「妙に関係のないシーンが多くて混乱させる」パターンです。正直「オムニパス方式」だとか「2話連続放送」でもやってるのか??とすら思ったくらいです。
なお、「ナニー」という語(ここの特集にも出てきます)は立派な「とある職業」です。このことを知らないと映画でハマリが生じますが、これを書くとネタバレになります(ただ、一般的な日本の教育を受けていれば、「ナニーをやらない?」と呼ばれていった先で何をやっているかで「ナニー」がどういう職業かはある程度推測はできる)。
採点に関しては下記を考慮しました。
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(減点0.3) ブリジットさんは良い人で彼女こそ描かれるべきなのですが、他にLGBTがどうだの地球温暖化がどうだの持続可能がどうだのといった(多分、どこかから横やりが入って)話を入れまくった結果、あっちこっち話が飛んでわかりにくい点は確かに存在します。中には「どう考えても無理やりのセリフでしょ」みたいな「一応入れましたからね」みたいなセリフすら存在します。
ただ、他の方も書かれているように、ブリジットさんがそういう活動をしているシーンがいっさい存在しない以上、LGBTだの地球温暖化だの何だのというシーンは、横やりが入って無理に入れた結果理解が困難になっているのだろう(換言すれば、それで映画の製作費の一部を、それらを主張する方から寄付していただいているのだろう)と考えることができる現状では、減点幅としてはこの程度です。
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ほぼあらすじなのは、好きを説明したい「一心」の裏返し。。。
34歳、「何者でもない」自分に引っ掛かりがあるものの、日々をやり過ごすブリジット。
けして「自己肯定感」が低いわけではありませんが、時に他者からの目線や扱いが「否定」と感じてしまうことは否めません。
そんなブリジットが「ナニー(Nanny)」として雇われた家族との出会いと、自身にまつわる大きな出来事が彼女に「大切なもの」を気づかせ、そして得難い経験となる物語です。
何と言っても6歳の少女フランシスを演じるラモナ・エディス=ウィリアムズが素晴らしく、抜群に愛らしいです。
「ナニー初経験」のブリジットは当初、利発で絶妙に子憎たらしいことをするフランシスに巧く距離を縮められず、また自分のことで仕事に集中力を欠いて失敗をしたりします。
でも、実は子供から信頼される「隠れた才能」でもつブリジットは徐々にフランシス、そして親であるマヤ、アニーらとも本音で付き合える仲になっていくのです。
と、今回の映画評、ほぼ「あらすじ」になってしまって大変申し訳ありません。
正直、後半は落涙しそうになりながら観続けました。まぁ、おじさんの涙腺は少々バカになっていることもあり、単純に「評価に影響」するわけでもありませんが、少なくとも「今後もたまに観たくなるであろう1本」確定のこの作品となりそうです。
そもそもかく言う私が、自身を「何者でもない」と自認していることもあり、「優しさに浸りたいとき」にまた観たいですね。
全49件中、21~40件目を表示