マジック・ロード　空飛ぶ仔馬と天空の花嫁のレビュー・感想・評価

人のいいイワンは強欲な王様から無理難題を突きつけられる。
しゃべるポニーと一緒に旅に出るのだが・・・。
この王様、今はいないんでしょうな。

　当方はロシア語はさっぱりだが、本作品の中でひとつだけ分かる単語があった。「ナロード」である。「民衆」という意味だ。たしか高校の世界史で習った。「ヴ・ナロード」で「民衆の中へ」となり、ロシア革命の勢力であるボルシェビキの活動のスローガンだったと記憶している。

　本作品での「ナロード」は、王が自分の人気を気にする母体の意味合いで使われている。王は人気がなくなると自分の立場が危うい。だから自然と民衆に迎合するようになる。もしかしたら人気取りの政策を連発するアホな政治家を皮肉っているのかもしれない。
　そんなことを知りもしない田舎の青年である主人公イワンは、王が人々から漏れなく愛されているものだと思いこんでいる。民主主義という概念が生まれるよりもずっと前の時代の話だから無理もない。家父長制のパラダイムの時代に育てば、それ以外の考え方を思いもしないだろう。

　ストーリーは一本道で、若者がいくつかの試練を与えられてそれに見事に応えるというのはファンタジーでは王道中の王道であり、ハズレが出にくい。本作品もそのひとつだが、主人公が持って生まれた才覚を発揮するのではなく、一緒にいるポニーが大活躍するところが面白い。
　フェニックスやリスやクジラやカニなどの動物がそれぞれの役割を果たすディテールがよく出来ていて、基本的に動物が好きな子供たちには受けるだろう。イワンが美女に夢中になって「ワーニャ」と呼ばれても気づかない場面では、その理由が分かる人は分かるだろう。ワーニャはイワンの愛称で、親しい人が使う。ワーニャと呼ばれても気づかないのは、イワンがそれほど親しい立場の存在が近くにいないと思っていたからだろう。だから「イワン」と呼ばれて初めて振り向く。

　王の側近たちがまるで忖度する官僚のようだったりとか、ロシアも日本も似たようなものだと思わせるところは大人向けでもある。善か悪か、敵か味方かというところでしか判断できない子供たちには、そのあたりのことまで理解出来ないかもしれないが、なんとなく割り切れないものは残るはずだ。その割り切れなさは、子供たちが大人になったときに役立つと思う。

　表面的には子供向けの童話のような作品だが、深読みすれば、現在の政治を揶揄しているようにも受け取れる。ロシア製ファンタジーも悪くない。

遥か昔、子供の頃に大好きだった絵本「せむしの小うま」をストーリー通りに映像化しつつ、お兄さんたちのエピソードを削ったり、子供心にショックだったエンディングを優しめにアレンジしたり、適度に面白要素や恋愛要素を含めてとても丁寧に描いているな、と思いました。
子供向けでありつつ、大人も楽しんで見られます。

イワンのバカ正直なアホ可愛い笑顔、太陽と月の娘である精霊如く崇高な存在のはずなのになんだかおちゃらけた美しい姫君、カッコよすぎる火の鳥と鯨、仔馬は少々お笑い演技が過ぎるけど、これまた原作通りのロバのような大きな耳と背中の大きなコブがあるのにとてもキュート。
ダメな王様や家臣たちですらアホ可愛い。
ロシアの昔話の街並み、衣装、見慣れないエキゾチック感がまた堪りません。

正月一発目から良いもの見たなぁ。
音楽や建物なんかはヒックとドラゴン好きには刺さるかも。
あと、有無を言わせぬハッピーエンド感が、フリー・ガイとか好きな人にも刺さるかも。

馬を助けたことから、恩返し(!?)に来た喋る子馬と共に、意地悪な王様からの無理難題に挑む物語。

本国１位獲得の作品だそう。最近思うのだが、ロシアってファンタジー好きなの!?

手に入れた馬を売るために町にやってきたイワン。王様が愛されるのは王様だからであって、才能は関係ない…って、それかの人に言えるのかいw？

人気者となったイワンが気に入らない王様は、イワンを処刑する大義名分を作ろうと、彼に無茶な命令をくだす。

出たよこういう独裁者。そんなガセ言われたって無理に決まってるでしょ・・・と思ったが、火の鳥も雲姫も実在はするのね(笑)

全体的に、とにかくファンタジーなのでツッコミ禁止のなんでもアリ展開!!
とは言え、いきなりの羽はギラン戦の悟空レベルにご都合主義だぞw急に生えるかッ!!

後、馬の恩返しはわかるけど火の鳥・・・。キャッチ&リリースされた魚が逃がしてくれてありがとう、なんてならないよね？そしてお姫様の王様への策略、あんた結構ヤバい人ね(笑)

とにかくずっと可愛らしく愉しい展開で、子供向けだな～って印象だけど、ファンタジーは好きだし、画の美しさはピカイチ。この世界観がたまらなく好きです!!

これだと言う展開は無かったけど、逆につまらないと思う場面も全然ない、未体験ゾーンとして普通に面白い作品だった。

・・・まぁでも、この作風なら主人公はもう少し若い正統派イケメンの方が合ってるかな～なんて思ったり(失礼!!)

イワンとポニーの優しさが光ってました!!

小麦畑を荒らした空を駆ける光る白馬を助けた男が、白馬の子供の力を借りて幸運を獲る話。

畑を見張っていたら白馬に出会い、捕まえて売ろうとしたけど沼にハマった様を見て助けたら、その子供がやって来てと始まって行くストーリー。

せむしの仔馬という童話が原作とのことだけど、有名なんですかね？まったく知りません。
仔馬もポニーっていうけどロバにしかみえないしマネしてたしw

バカ殿ならぬおバカな王様の無理難題の数々を、ポニーの力とある意味おバカなラバ脳主人公のガンコさと超絶ラッキーで熟していく物語で、明るく愉快なTHE童話ファンタジーという感じかな。

童話なんだろうけどなんか微妙だなー。雲姫も王様もポニーもイワンもだれもがずっこけ道中の喜劇作のようで展開に同調できない。ただ、ギュッとつまったカラフルな映像はみていて楽しめた。