ゴヤの名画と優しい泥棒のレビュー・感想・評価
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善き隣人
映像も音楽も編集もエッジが効いていながら懐かしい感じもして楽しかった。60年代のロンドンの街の様子が素敵に挟み込まれていた。
主人公ケンプトンの顔を見るたび次に何言うんだろうとワクワクした。「ウェスト・サイド物語」やってるから見に行こうと妻を誘ったら(まさに1961年!)「映画館に行くお金なんてありません」と言われてしまう。パキスタン人の若い同僚を「パキ野郎!」と差別する上司に抗議してパン工場クビになるが妻に言えなくて色々工夫する。かわいい。「パキ」の言葉で映画「ボヘミアン・ラプソディ」の若いフレディーを思い出した。差別といえば警察関係者が頻繁に「イタ公」と言ってた。そして絵画といえば「黄金のアデーレ」でクリムトの絵をみごとにオーストリアから取り戻したお洒落で美しいユダヤ人役がヘレン・ミレン。この映画ではユニーク過ぎる夫持ちの地味な太った妻。言葉使いの悪さに"Language!"と諫めるのいい感じでした。家政婦姿も家のトイレ掃除する姿も堂に入ってました。どんな役もやる素晴らしい大女優!ヨーロッパの女優の強さと自己肯定力に力づけられる。
法廷場面はイギリスだからどうしても笑ってしまう。なんだあの鬘!イギリスってなんか変で面白い。被告のケンプトン、アマチュアでもさすが劇作家、紡ぐ言葉が素晴らしい。弁護人かっこよかった!ケンプトン役のジム・ブロードベントはいい役者!動きも表情も本当に良かった。この事件を受けてイギリスは2000年から75歳(70でしたっけ?)以上はBBC受信料無料!さすがプラグマティックな国!
おじいちゃん可愛い
ユニークで可愛いおじいちゃん。都合の良い方に頭が回りついでに周りを巻き込む。
それを見守るおばあちゃん。
おじいちゃんは悪意なく楽々刑務所へ。
数日滞在。数回経験(笑)
なんだか犯罪が軽い気持ちに錯覚してしまう。
ちょっとクスッと笑える、優しい気持ちになれる、そんな実話の物語でした。
シャンテ公開にうってつけな一作
名画を盗んだ泥棒が老齢の男性だったという実話を描いたコメディだが、ストーリーにハチャメチャ要素はなく、至って川の流れのようにほんわかほのぼのと進むのは予想の範疇で、盗んだのは実は…という意外な展開もそんなに驚く事なく。
だからといってつまらなかったわけではなく、主人公ケンプトンの口八丁ぶりにしてやられ、そんな夫に呆れる妻ドロシーも最終的には内助の功を見せ、その息子ジャッキーがこれまたイイ子すぎるわと、多幸感あふれる人物だらけ。要は極端な悪人が出てこないので、安心して観られる。もっともそこがヌルく感じる人もいそう。
旗艦劇場がTOHOシネマズシャンテになっているのも納得で、年配の観客層が多いシャンテで公開するために作られたような一本。ま、観たのは新宿だったけど。
こうしたジャンルの作品を観たくなるのは、やはり自分も歳を重ねたからだろうか。
ドクター・ノオも盗んだよ
2022年2月16日
映画 #ゴヤの名画と優しい泥棒 (2020年)鑑賞
テレビの受信料を払えない高齢者がいるのに、ゴヤの名画 #ウェリントン公爵 をアメリカから買い戻したイギリス政府への怒りが主人公を突き動かす・・・
実話というのが凄いですね
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
ユーモアにほんのりと香る優しい嘘…もちろん盗んじゃダメだけどネ
こういう小粋なユーモアは、やっぱり涙を誘ってくる…。いい歳の取り方、じゃないのは分かってるんだけど、そう見えちゃうのよ。2人がただ、微笑ましい。
歳を取れば取るほど頑固になって、その考えを曲げることが難しくなる。このお爺さんもその1人。公共放送の無料化を叫び、ほぼほぼ聞こえない声を上げる。周りの空気を気にすることなく、人種差別に反対したり、正しいためなら医師を曲げない。傍から見ればまがい物…。そんな彼が犯した罪。フライヤーを読んでなくて良かったのが1つ。面白い夢想家じゃないのよ…。それが。
実話を基にしているとはいえ、抱えている問題は結構いろいろ多く、今にも通じる。マンネリ化した夫婦関係、働かないと過ごせない余生…大変さが滲む。それと絵画がクロスしていく…。ケンプトンの饒舌さにユーモアがほんのりと乗っているから、ラストはやっぱりジーンとくる。オシャレでユーモアが素敵。いい時間を過ごさせてもらった気分。もちろんやっちゃいけないことだし、こうなるとは限らないんだけど。笑
ロジャー・ミッシェル監督の作品を観たのはこれが初めて。知ってるタイトルの作品もあるけど、こうして交わったのも1つの縁。惜しまれつつも遺作となった今作。これを機に過去作を漁ってみようかな…。
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