劇場公開日 2022年1月14日

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「自分の故郷は消えてしまった……ヘンリー・ゴールディングにとって半自伝的物語!!」MONSOON モンスーン バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0自分の故郷は消えてしまった……ヘンリー・ゴールディングにとって半自伝的物語!!

2022年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ベトナム戦争のときに混乱を避け、国外に避難したボート難民であるキットが、6歳のころの脆い記憶を辿りながら、故郷に30年ぶりの帰還。

ベトナム人でありながら、母国語よりも英語しか喋れない。ホーチミンは自分のあやふやな記憶にある頃とは、全く違うほど経済発展を遂げている。

今作はキットの自分のルーツを探求するロードムービーであると同時に、異国から見た、現在のベトナムを映し出している作品ともいえる。

唯一の知り合いである従兄のリー。英語が少し話せるとはいっても、ときどき会話がままならない。一番近い人物とのコミュニケーションもままならないことから、自然と話しをする相手は、英語の話せる観光客やグローバル企業なとに努める若い世代。

故郷であるはずなのに、疎外感や喪失感を味わうキット。子どもの頃に遊んだ池は跡形もなくビルになっていて、そのビルさえもすでに過去の産物になりかけている。 ノスタルジーに浸れるような場所がどこにもない。

戦争に限らず、何かしらの理由で、母国を離れた移民の人々には、少なからず共感できるような作品ではあるが、何よりもキット役の ヘンリー・ゴールディング 自身がその経験者だ。

ヘンリーは7歳から、イギリスで育っているが、生まれはマレーシア。大人になってから、自分のルーツを探しに20代の頃にマレーシアに帰国していることもあって、半自伝的要素も感じられる役どころである。

ヘンリーのいつもとは違った、繊細な演技をみられるのも、自分の経験を重ね合わせながら演じているからなのだろう。

バフィー吉川(Buffys Movie)