ある男のレビュー・感想・評価
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家族が犯罪者
家族が人殺しのせいで人生がだいなしになるシリーズ、過去の代表的な類似背景ならば【手紙】山田孝之 が素晴らしかったが、これもなかなか最後まで見させられた感があります。
👌
世にも奇妙な物語
とても面白かった。
導入から怪しげな雰囲気を醸し出す
窪田さんが素晴らしかったし、
事故からの展開もどうなって行くのかドキドキしながら
観れました。
妻夫木さんのパートでは一気にミステリーになり
物語が加速し、在日と言うキャラクターもラストに
生きてて唸りました。
これは男だから分かるのか、それとも全員に当てはまるのかは分からないけど、
普通に生きてても、この場から逃げたい、この立場、
この責任から逃げたいと言う気持ちが湧く時がある。
ラストは賛否ありそうな、急な世にも奇妙な物語みたいなオチだったけど、
誰も知らない所でやり直したいと言う気持ちは分からないでもない。
難しい題材を簡単に分かりやすく、だけど映像や空気感は重厚でとても面白い映画でした。
ヘイトヘイト言うのが不自然に感じる
原作者の平野啓一郎は作風が合わないので芥川賞受賞作以来読んでないしきっと今後も読む予定はない。
物語は面白い。
窪田正孝側の事情はよく分かったんだけれど、仲野大賀の方がなぜ戸籍を交換したのかはわからないまま、確かにお兄さん嫌なやつだし清野菜名の涙目は言葉もないくらいではあるが。
妻夫木の顔で在日の顔って、それはちょっとないよなと思う。
そういう事言う人たちも何ものべつまくなし言うわけじゃないからね。
だからと言って心ない人からそう言われ続けて生きるストレスというのは言葉にし難いの程なのだろうし、いつか何かで発散する日はやってくるのだ誰もが。
この物語に在日コリアンのくだりを入れると話はややこしくなる気がする。
とは言え、原作にあるのなら やらない訳にはいかない。
自分ではどうしようもない事実を背負って生きる人間の苦しみ、
昔 宮崎勤という凶悪小児性愛の連続殺人鬼がいて
彼の行動の異常性は世間を嫌と言うほど騒がせた。
その父親は自殺し 結婚を控えていたきょうだいはもちろん破談になった(のちに遠方で幸せになっていると聞いた事もある)
そういう その人本人には全く罪のない事情で生きづらくなるのはやはり間違っているので
昨今 何かの事件があっても全国的にテレビで公表される事はなくなっているような気がする。
と思う。
というか 最近私はワイドショー見ないのでわからないだけかもしれないが。
そういう題材に在日を入れ込むのは なんとなく今の時代では方向が違うような気もしなくない。
真木よう子の配役も見ただけで これは真っ当にはいかないよねって分かっちゃうしね。
出自…
それは自分では選ぶことができない。殺人犯の息子という事実を消し去りたかった。僅かな時間だったが宮崎での生活は幸せだったのだろう。残された家族は複雑だろうけど、特に幼い娘は。ラスト在日の弁護士は妻の浮気で今の生き方を捨てたのだろうか。元々妻やその家族とは合ってなさそうだが。人によっては辛い過去、逃げ出したくなる今があり、人生をリセットして生きていきたい、ということ。柄本明は怪演だった。
自分とは本当は何者でもない
ハッとさせられる映画でした。
本当に観てよかった!
妻夫木聡さん演じる弁護士の心の闇がだんだんと現れてくるところから、ぐっと面白くなった。”人探しをしながら自分を癒している”というようなセリフがあったが、表向き立派な弁護士でありながら、在日3世という劣等感をぬぐいきれずもがいている様がしっかり伝わってきた。
キャストそれぞれの演技が素晴らしかったことで世界観に入り込むことができたし、1コマ1コマに無駄がないというか、短尺ながら訴えたいことを凝縮した演出も素晴らしかった。日本アカデミー賞を席巻したのも納得!
人間は「私というのはこういう者」という認識の上で自分の現実を作っている。もし記憶喪失になればその日から人生が変わる。つまり過去の経験やアイデンティティが今の自分を作っているということ。
そんなある意味不確実性に包まれた「自分」を他の誰かが定義することなんて、できないんじゃないかと思った。区別なんて必要だろうか。区分けを強調すればするほど差別の心は生まれてきやすくなる気もする。国籍、血筋、性別、学歴、そんなものは見えているほんの一部でしかない。肩書ではなく内側から発しているものを感じとる大切さを改めて感じた。
"この人大祐じゃないです"
"この人大祐じゃないです"
この言葉から物語は一変する。
夫が何者かわかった後、
知る必要がなかったかもしれないと里枝は言った。
夫と過ごした時間は確かに存在し、そこに愛があったから。
その人が何者かなど日々疑わずに過ごしていることに
気付かされる。
また、多くの人が、城戸のように、
自分は何者なのか?見失い、
どうしようもなく現実から逃げたくなった時、
他の人生を生きたくなる時があるのではないか。
妻夫木聡はじめ、安藤さくら、窪田正孝は
傷を負った過去をもつ人物をよく演じていて
流石であった、脇を固める俳優陣も良かった。
あいつと今、話したいことがいっぱいありますよ
予告編などである程度概要を知っていたので、序盤の平凡な流れに少し苛つきも感じたが、土台だけで厭な淀みが感じられた。
登場人物がいちいち濃くて、それでいて違和感なくシックリとハマっていて、観ていて安心感を植え付けられた。なのにモヤモヤをずっと抱かせられ続けた。
終盤に、やっと解決と思いきや……、またしても新たなモヤモヤを放り込む……。厭な作品だ!
今現在の状況下で、過去を知った事で物理的状況は何も変わらないはずなのに、それでも識りたいモノなのだろうな…。
違う自分を望むのも然り…。
なんともモニャモニャが残る。
城戸が1番掴めなかった
生まれ落ちた境遇から、望まないレッテルを貼られ自分の人生を歩むことができず苦しんだ末、他人の名を語って別の人生を生きていた大祐。不慮の事故にあった彼の死後全てを知ってなお、遺された妻も血の繋がらない息子も目の前に存在していた彼を受け止めて慕う。
メインキャストはもちろん、悠人役の坂元愛登がよかった。大祐が死んでもう悲しくはないけど寂しいと泣いたところ、まだ幼い妹にはいつか自分からどんな父親だったか話すと伝えたところ、それを受け止める安藤サクラも素晴らしかった。
ラスト、城戸は誰になったのか…
人は家族でも知らない顔を持ってる。
ある男のあるという事
「ある男」平野啓一郎さんの原作の小説を読んだ時にも衝撃的な作品だなと感じる部分がありました。
この映画化された作品もまた違った印象を受ける事が出来ました。
窪田さんの父の役と現在の役の対比がとても印象的でした。
安藤サクラさんの安心感を与える表情も良かったです。
妻夫木さんの真実に近づくにつれて、自分の存在というものに謎を迫る姿も良かったです。
自分が結婚した夫、全然知らない人であった。では、あの人は、誰なの?そんな謎からその人の真実の近づく事になってくる。
自分が知っている部分がその人の全てでは、ないのかなと感じました。
その人が実は、悪い人かもしれない。もしくは、自分が感じているままの人かもしれない。
それは、全てがそうではないと思う。なぜなら、生きていれば環境や状況が変わればその人の考え方も自分の考え方も変わってしまうから。
とても文学的な作品で見終わった後に自分の存在は、本当は、誰なのだ。誰でありたいのかなと考えたい。
このまま生きている事に生きていたい。何を望んでいたいのかなと思いました。
あなたの過去など知りたくないの~♪
愛した夫は別人でしたというから、謎めいたミステリーものだと思ったら、事故が起きるのは20分後、ようやく真相に迫る戸籍売買人の下りが50分後と超スローテンポ。
主人公の弁護士は在日3世、謎の男は死刑囚の息子、いわれのない蔑視や差別に悩むのは共通項で世間の差別意識に物言う社会派ドラマ的でもある。
原作の平野啓一郎は分人主義者(自分の中の複数の人格すべてを「本当の自分」だと捉える考え方)だそうだが監督の石川慶も東北大学で物理を学んだ後、映画監督を志しポーランドのウッチ映画大学に留学し演出を学んだ変わり者、自分探しのためにあえて海外に学ぶ道を選んだようだが二人には、「自分とは何か」という共通する哲学的テーマがあったのでしょう。
ただ、キャスティングや演出は自分好みでは無いので観ていて違和感が否めなかった。
柄本明、安藤サクラ、小籔千豊、きたろう、でんでんと癖の強い人を好むようだが本人の存在感が強すぎて役ではなく本人にしか思えない、これもテーマに沿った監督の意図なのでしょうかね。
最近も昭和の連続企業爆破事件の犯人が偽名で50年も潜伏していたというニュースを観たばかりだからか、犯罪者かと想像したが「砂の器」のような悲劇、もっともこちらは単なる現実逃避。
ミステリーにしては雑味が多すぎるし、稚拙な心象描写っぽいシーンが多すぎ、特に自身も別人に変わろうとする弁護士のラストシーンは蛇足でしょう。
生命保険の件があるから本人探しを弁護士に依頼したんでしょうね、愛していたなら戸籍などどうでもいいし、生前の夫の苦悩を知っても今更どうなるもんでもありません、安藤サクラの心のうちは、あなたの過去など知りたくないの~♪の唄でしょう。
過去を捨てるということ
映画の流れとしては前半部分がかなり退屈でしたね。事件が起こるまでがすごく長く感じました。その分は減点です。
減点しましたが、この映画で主張したいことがこれでもかと伝わってくる迫真の演技、映像が素晴らしかった!
妻夫木さんの在日三世を指摘された時の困ったような、それでいて怒っているような実に複雑な表情の演技がとてもよく、それがあってこそのラストシーンだと思います。
もちろん主演の妻夫木さんは素晴らしかったんですが、戸籍交換をして生きていた誠を演じた窪田正孝さんのものすごくリアルな演技がなければこの映画は成立したかったと思います。前から知っていましたが、これは最上級の演技ではなかったでしょうか。人殺しの息子のレッテルを剥がしたく苦悩した末に表舞台にたちたくないとはっきりとしたメッセージを残し、戸籍を二度も変えて、ようやく安らぎの生活を手にしたのに事故死。曽根崎時代の演技はなかったですが、原誠時代、谷口大祐時代の2つの演技は本当に素晴らしいものでした。
どこか行っちゃってた伊香保の旅館の次男坊谷口大祐が中野太賀さんなのは、超もったいない。もっと演技させてあげて!!
原作を知らないのですが、この三本柱の人生の機微が描かれているのが本線なんでは無いのかと思いました。もしくは元々曽根崎だった人も含めて描かれているのかもしれませんね。最初の結婚に至るまでの描写を少なくして、中野さんの部分を厚くして欲しかったな。
まあ、とにかく心に響きました。
ぜひみんなに見て欲しい。
濃密な衝撃作
2022年~2023年にかけて最も話題になった邦画の一つ。愛する夫を亡くした女性が、夫の死後に彼が別人に成りすましていたことを知り、弁護士に依頼して夫の本当の正体を突き止めようとするという、なんとも複雑なストーリーで、多くの場面で多くの登場人物の感情が混ざり合うコントラストが見事でした。夫は一体何者だったのか、なぜ他人を装っていたのか、それは開けてはいけないパンドラの箱だったのかもしれません。
まず、弁護士を演じる妻夫木聡、離婚後に結婚した夫を亡くした2児の母親役の安藤サクラ、そして素性を隠し別人を名乗っていた謎の男役の窪田正孝、この3人の演技が作り出すシリアスな世界観が素晴らしかったです。過去の回想シーンも多く、ストーリーそのものは複雑ですが、一見和やかな場面でもどことなく緊張感が走っており、終始目を離すことができませんでした。メインの3人を取り巻く人たちも、一人一人が濃いキャラクターを持っていて、一体どんなことをしている場面なのか混乱してしまうこともありました。妻夫木さん演じる弁護士も、途中で本当の目的を見失ってしまうような葛藤が描かれていて、少々感情移入しすぎてしまいましたね。窪田さん演じる謎の男の過去や真相も相まって、どうしても自分と重ねてしまいます。窪田さんのセリフ一つ一つに、一言二言では言い表せないほどの重みを感じました。自分の本当の気持ちと向き合うのってすごく難しいことですが、それがいかに大切なことなのかを教えてもらった気がします。
最後の場面からスタッフロールに画面が切り替わる瞬間に感じた、心に残る衝撃はいまだに忘れていません。よくぞこんな映画に出会えたなとしみじみ思っています。
刺さる刺さる。
重い。愚行録までは行かないけど、同じ監督とあとから知り、やっぱりねとは思いました。
自分の父が殺人をする。それも目の当たりにした少年。悲しすぎる。どうやって受け入れることができるだろう。想像を絶する。しかし事実、加害者家族はいる。被害者もまたいる。共に不幸である。
人類が、犯罪を無くすためにできることは何か、人々と国家が、犯罪、犯罪者と、どう向き合い解決してゆくべきなのか、今、この社会は犯罪を無くすための良い方向に果たして向かっているのだろうか、考えさせられる。
妻夫木聡は、こういう重いテーマが得意なのかな、伝わりますね。今回も驚かされた。終盤、事務所で、旅館の長男を前に抑えてきた感情を初めてあらわにしたシーンに震えた。人間は怒る時は怒らないといけないのだ。泣くときは泣かないといけないのだ。
息子くんがお母さんに僕がお父さんのことを大きくなったら妹に話すよって言ったシーン泣けたな。だってどんな良いお父さんか僕がわかっているからって。そうだ。
人生ってなんでしょうか。長さだけでは無いことは確かというメッセージもある。人はなぜ、不幸になるのだ。しかし幸せになりたいと誰もが懸命に生きる、素晴らしいメッセージ性の強い映画だった。
在日、差別、犯罪と偏見。暗い映画で、何回も見たいとは思わないが、ズシリと刺さる映画で、感動しました。
ただ、最終シーンは必要だったかなあ。妻の不倫(そもそも妻が妻夫木聡とうまくいってる感が最初から無さそう)と、妻夫木聡のなりすます?!謎シーン。
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