「「ワンダヴィジョン」完結編」ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「ワンダヴィジョン」完結編

2022年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『ドクター・ストレンジ』の続編でありつつ、ディズニープラス配信の『ワンダヴィジョン』の続編でもあり、ストレンジ以上にワンダのドラマが大きくクローズアップされている。ワンダのポジションはかつてのメロドラマ映画のようだなと思った。家庭のことで悲劇を被り、涙を流すのは女性というハリウッド黄金時代のメロドラマの面影がワンダの辿る道にはある。『ワンダビジョン』では昔のシットコムのパロディを披露してそのジャンルに対するアイロニカルな態度を示していたが、今度は普通にメロドラマ的だった。
サム・ライミのセンスが今のMCUの体制でどこまで発揮できるのかと少し心配していたが、監督本人の個性という点では近年のマーベル作品では最も強くでていたのではないか。これは、サム・ライミだから特別なのか、MCUシリーズ全体の方針の転換なのか。去年の『エターナルズ』もクロエ・ジャオのセンスが全面にでていたし、これからは作家性も重視していくということなのかもしれない。

杉本穂高