復讐者たち

劇場公開日:

復讐者たち

解説

ホロコーストを生き延びたユダヤ人たちによる復讐計画の行方を、史実を基に描いたサスペンスドラマ。「ザ・ゴーレム」のドロン&ヨアブ・パズ監督が、復讐計画の生存者への取材を基に脚本を執筆しメガホンをとった。1945年、敗戦直後のドイツ。ホロコーストを生き延びたユダヤ人マックスは、収容所で離れ離れになった妻子がナチスに殺されたことを知り、復讐を決意する。ナチス残党を密かに処刑しているユダヤ旅団に合流したマックスは、より過激な報復活動をするユダヤ人組織「ナカム」に参加。彼らはドイツ人600万人を標的にした驚くべき復讐計画「プランA」を企てていた。「イングロリアス・バスターズ」のアウグスト・ディールが主人公マックスを演じ、「ブレードランナー 2049」のシルビア・フークスが共演。

2020年製作/110分/G/ドイツ・イスラエル合作
原題:Plan A
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2021年7月23日

スタッフ・キャスト

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(C)2020 Getaway Pictures GmbH & Jooyaa Film GmbH, UCM United Channels Movies, Phiphen Pictures, cine plus, Bayerischer Rundfunk, Sky, ARTE

映画レビュー

3.5ユダヤ人迫害を扱う映画の多様化

2021年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

ナチス戦犯の孫息子と迫害されたユダヤ人の孫娘が恋に落ちる「ブルーム・オブ・イエスタディ」、ヒトラーユーゲントに所属する少年が自宅にかくまわれていたユダヤ人少女と出会う「ジョジョ・ラビット」、第二次大戦下の東欧でユダヤ人少年が受難の流浪生活を送る「異端の鳥」など、ユダヤ人迫害を題材にした映画の多様化が近年顕著であり、本作もそうした流れをくむ一本だ。

共通するのは、ナチスドイツ=絶対悪の加害者、ユダヤ人=絶対善の被害者という単純化された図式で描くのではなく、善と悪を相対化すること。善き行いをするドイツ人もいれば、悪さをするユダヤ人もいる。個人の内面も単純ではなく、善の部分と悪の部分が混在している。作り手が戦争の体験者たちから子や孫の世代に引き継がれ、ホロコーストの悲劇を客観視しようとする傾向が強まっているのも一因だろう。

さて本作は、敗戦直後のドイツで、ホロコーストにより家族を殺されながらも生き延びたユダヤ人らの過激な一派「ナカム」が、密かにドイツ人を殺して復讐していたという史実に基づくサスペンスドラマだ。戦後にイスラエルで生まれた世代であるドロン・パズとヨアヴ・パズの兄弟監督も、子供の頃は聞かされたことがなかったといい、いわばユダヤ人コミュニティーにとっての黒歴史なのだろう。なお、実在の人物はナカムの首謀者アッバ・コヴナーだけで、主人公マックスを含む他の主要人物は創作されたキャラクターだ。マックスは潜入捜査のような使命を帯びてナカムに仲間入りし、報復のためドイツ人600万人を殺害しようとする極秘計画「プランA」を知ることになるが、彼自身も妻子の命をナチスに奪われた喪失感と憎悪を抱いており、復讐に加担するか阻止するかで激しく葛藤する。開けてはならない袋をマックスが開けたとき、何が起きるのか。終盤の見せ方を含め、ストーリーテリングにセンスを感じさせる力作だ。

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高森 郁哉

3.5史実の重みは諸刃の剣

2022年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ジェノサイドを生き残ったユダヤ人達が、ドイツ国民に復讐を企てる姿を映す物語。

大戦直後に起こった実話を元にしたお話のようです。
大戦中のホロコーストの映画等は数多く観ることは出来ますが、大戦直後の映画は初めてなので興味深く鑑賞。

実話をもとにした映画は、「結末」をどのようにつくるかが鍵になりますね。鑑賞者はそれを知っているわけですから・・・その意味で言えば、この映画は結末の作り方を失敗しているように感じられます。大規模テロ以外にも、個人的な復讐を絡めて物語を進めれば、結末に対する興味を引きつけることが出来たように感じられます。

着想が面白く、中盤迄は見応えのある作品だっただけに、少し残念に感じました。

評価は普通です。

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よし

3.5そりゃあ恨むよ

2022年9月9日
iPhoneアプリから投稿

 ホロコーストを生き延びたユダヤ人の復讐計画、計画に加わった人物に取材して、とあるが、どの程度が事実なのか。この映画のように水の中に毒を混ぜるとか、そんな恐ろしいことまで計画があったんだろうか。実行されずに済んで本当に良かった。
 ただ、実際にホロコーストを生き延びた人からしたら、凄まじい体験をして、恨まない訳は無いし、マックスのように家族が犠牲になった人々も大勢いて、そりゃあ恨みは凄まじいだろう。だからドイツで無差別に人々を殺していいわけではない。実行されずに本当によかった。
 最後のマックスの言葉、いちばんの復讐は自分が幸せになって生きること。そのことに気付く事が出来たマックス、すばらしい。

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アンディぴっと

3.5【”幸せな人生を送る事が、”彼ら”に対する復讐である”と、愛する家族をナチスに殺された男は、血を吐くように言った。その男が、”PLAN A"に加担する逡巡する過程を描いた作品。】

2022年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

難しい

幸せ

ー ナチスの残党狩りは、イスラエルのモサドを中心にした作品を数々見て来たが、”PLAN A"については、全く知らず。
  しかも、”PLAN A"とはナチスに加担していなかった、ドイツの一般市民600万人を標的にしたユダヤ人による復讐計画であったことに驚愕する。-

■1945年、敗戦直後のドイツ。
 ユダヤ人のマックス(アウグスト・ディール)は、強制収容所で離ればなれになった妻子がナチスに殺された事実を知る。
 復讐心を煮えたぎらせるマックスは、ナチスの残党をひそかに処刑しているユダヤ旅団の兵士・ミハイルと行動を共にすることに・・。

◆感想

・悪は悪を来すという言葉があるが、今作はまさにそれを実行しようとしたメンバーが懊悩し、計画を実行しようとする姿が描かれている。

・妻子を、ナチスに殺されたマックス(アウグスト・ディール:テレンス・マリックの「名もなき生涯」の抑制した演技で注目した俳優である。)が、今作でも哀しみを抱えた男を好演している。

・彼と心を通わすアンナを、シルヴィア・フークスが同じく抑制した演技で魅せる。

<復讐心は、何も生み出さない。
 マックスが、後半に、血を吐くように言った”幸せな人生を送る事が、”彼ら”に対する復讐である”という言葉が、微かな希望を感じさせる作品である。>

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NOBU
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