劇場公開日 2023年1月20日

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「「志」の高さが「物語」に結び付いていない」エンドロールのつづき tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「志」の高さが「物語」に結び付いていない

2023年1月21日
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もっとほのぼのとした話なのかと思っていたら、終盤に向かうにつれて重苦しい雰囲気に包まれていくことに戸惑う。映画への愛というよりは、フィルムへの郷愁と哀惜がテーマだったとは・・・
実際、映写技師が「物語が大切」と言っている割に、主人公の少年の興味は、物語を作ることよりも、フィルムを映し出すための「光」に向いているように思える。それは、劇中、少年自らが、度々口にしていることでもあるし、自分達で映写機を作ってしまったのも、そうした理由からだろう。
少年の夢は、映画製作者になることではあるが、これだと、将来、監督や俳優ではなく、撮影や照明などの技術者になるのではないかと思えてならない。(それは、それで、良いことなのだが・・・)
どうしても、「ニュー・シネマ・パラダイス」のようなハート・ウォーミングな話を期待してしまうが、貧困とか、窃盗とか、収監とか、体罰とかも描かれるため、どうしても重たい話になってしまう。コメディー・タッチの場面もあるにはあるが、笑うに笑えず、かえって困惑してしまう。何よりも、脚本と編集が雑で、話がぶつ切りになり、うまく転がらないところは気になる。
映写機やフィルムが処分され、スプーンやブレスレットに再生されるのは良いのだが、工場見学のようなシーンが延々と続くのはいかがなものか?クライマックスの旅立ちも、突然のことだったのに、あれだけ多くの知人・友人に見送られるのは不自然ではないか?
「志」は高いのだが、それを説得力のある「物語」に昇華させることができなかったのは、残念としか言いようがない。

tomato
印刷局員さんのコメント
2023年1月25日

社会科見学なん?と突っ込みたくなった…

印刷局員