劇場公開日 2021年6月18日

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「誰がOKを出したのか…」リカ 自称28歳の純愛モンスター みちすうさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0誰がOKを出したのか…

2021年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

数年前に原作を読んだ時の衝撃は忘れない。しばらくは夜道を一人で歩くのが怖くなったものだ。
原作リカの恐怖の根源は「得体の知れなさ」という点にあった。
神出鬼没の精神異常者リカはどこから現れるかも何を考えているかもわからない、まさに恐怖そのものの存在だった。
しかし、本作(映画)のリカは比較的位置情報が明確で、今どこで何をしているのか観客には常にわかっている状態が多く、加えてリカの精神状態も間接的に警察官の分析という形で明かされていたり、終盤ではリカ本人の口から明かされる描写もあり、原作のような「得体の知れなさ」は微塵もなかった。つまり、本作の大前提である「リカ=恐怖」という図式がそもそも成り立っていない状態だったのだ。
まあ、挙げ句の果てにはリカがサイコパスではなく超能力者のように表現されていたり、またそれらの描写も非常にチープで雑な演出で表現でなされていたりなど、内容云々以前の問題が山積みだった。
一体誰がこれを世に出すことをOKしたのか。
高岡早紀のキャリアに大きな傷が入ったことはまず間違い無いと言える。
それから、これは日本の芸能業界について思うことなのだが、芸能という分野は非常に密接に、しかし明確に隔てられているものだと思う。昨今、俳優が声優業をしてみたり、モデルやタレントが素人同然の演技で役者として作品に登場したり、挙句アイドルなどという全部やるけど何もできない業種を作り出してみたりと、本来細かく区分けされ、専門職として特化していたはずの分野の境界が曖昧になりすぎていると思う。内田理央さんも佐々木希さんも、確かに容姿端麗でとても魅力的な女性だが、それを理由にキャスティングしてしまっては荷が重いだろう。そうやってできないことを無理にやらせれば非難を受けるのは彼女たちなのだから、もう少し人間一人のキャリアについて真剣に考えてあげてほしいと思うものだ。キャスティングした側にはそれだけの責任がある。内田理央と佐々木希が二人で話しているシーンは正直みていられなかった。可哀想に思う。

みちすう